第8話 魔力測定 ★リオ SIDE

 な、なんて事!魔力は少しでもあれば良いってカミルは言ってたけど、さすがに少な過ぎるでしょ……先に測った子達の100分の1なんて、ちょっと胃が痛くなるレベルの数値よね?まぁ、少なかった事はもう仕方ないわよね。そこは諦めて、魔力が少しでもあったから良かったと思いましょ。


 結果の書いてある場所を覗いて、内容をパッと読んでみる。スキルは『鑑定』と『カウンター』、モヤがかかって見えないようにされてるスキルもあるわね。あら?最後の1行に日本語で何か書いてあるわ。


 ゆっくり読む時間もなく、薄く半透明な板に結果を写した物を渡され、カミルの元へ戻った。


「か、カミル……」


 おずおずとカミルを見上げると、カミルは良い笑顔で頷き、複写した板を見せてくれと言う。


 ゆっくり最後まで2度ほど読み終えたカミルは、問題は無いとばかりに笑顔で頭を優しく撫でてくれた。


「リオ、問題ない。とても良い結果だよ。少しでも魔力があれば大丈夫。スキルの発動条件はクリアしてるしね。後でゆっくり話そう。大丈夫。ちゃんと考えているし、僕からすれば素晴らしく良い結果だったんだよ」


「でも、さすがに少な過ぎない?これからの努力で何とかなるかしら……」


「大丈夫だよ。可愛い僕のリオ。これで正式に僕の婚約者として、皆に紹介できる事が嬉しいなぁ」


 とびっきりの笑顔で私を見つめるカミルに慌てて自分の頬を両手で包む。カミルが大丈夫だと言ってくれるなら本当に大丈夫な気がするわね。結果は変えられないのだから、気持ちを切り替えて今後の事を考えたい。


 早く落ち着いてカミルと話がしたいわ。これからどう行動すべきか、カミルの考えを聞きたいと思ってしまう。カミルと目が合うと直ぐに理解してくれたようだ。


「これから婚約式が行われて、その後にパーティーがあるんだけど、どうしたい?疲れたなら夕食は2人でとろうか。婚約記念に2人でゆっくり乾杯したいしね」


「えぇ、そうしてもらえると助かるわ。貴族の名前や作法は覚えたけど、疲れているから余計に、上手く立ち回れそうにないしね」


 カミルの心遣いが有難いわ。私が好奇の目に晒されない様に、この場で声に出してくれるなんて。これでパーティーに出ていなくても、疲れたんだなって勝手に理解してくれるでしょうからね。


 婚約式は書類に名前を記入するだけで直ぐに終わった。カミルの心から嬉しそうに微笑む横顔だけが、今の私の心の支えとなっているのだった。

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