第36話 黒幕は? 25.3.15リライト
屋上で赤ちゃんを抱いてたツバキは続けた。
「気が付くと、マッパになっててさ……腕を後ろ手に縛られ、四つん這いでお尻を高く突き上げたかっこで木に縄で
「え? サイトーがおまえに睡眠薬を飲ませてむりやり……」
「うん。あいつ、『男の娘っ!』とかって叫びつつ、あの悪魔の爪の手でぼくのデリケートなところを散々いじくってさ……明け方まで延々とあいつのいいようにされたんだ。ゼッタイ許さない……」
サイトーって、そんな計画的な犯行をするようなタイプだろうか?
睡眠薬飲ませて、エロの限りを尽くすなんてかつてのおれみたいじゃないか……。
睡眠薬じたい、かつては市販薬ではなく、医師の処方が必要だった。それなりにガウリイルの操作に慣れてないことには簡単には用意できない筈……。あのサイトーにそんなのは、ちょっとできそうにはなさげだが……。
「いっそ、ガウリイルでこの子の父親が誰か調べて、サイトーの子だったら、ここからこうして……」
「ちょ、やめろよ!」
ツバキは抱いていた赤ちゃんを屋上から落とそうとしたので、おれはすかさず止めた。
「……サイトーが歩いてきたところ、ここからその頭上目がけてこの子を落としてやろうか、なんて何度も思ったさ」
「……サイトーを殺したのは、ツバキ、おまえだったか」
「……うん。サイトーは自業自得だよね。妊娠したら中絶しなきゃだし、死刑でも許せないくらいだよ」
にしても、サイトーがツバキにエロの限りを尽くすのは理解できるが、睡眠薬を飲ませて手際良く縛って拘束するとか、その点はつくづく考え難いな……。
そもそもあいつ、
……あるいは、ツバキにサイトーを殺すように誘導した?
何者かが。
その線じゃないだろうか。
サイトーを消したい何者かがいる?
サイトーを消したい理由とは?
サイトーの特性のようなものって……唯一、地下都市を知る人物であったというくらい?
地下都市の存在をおれたちが知ってしまうことを阻止するために? 口封じ……って、考えると地下都市はサイトーの妄想ではなくなる?
本当にある……のか……。
だが、なんでおれたちに地下都市の存在を知られたくないのか?
*
ツバキと二人で屋上に居たところ、クロエとキリエにニョロもやってきた。
クロエは、おれとツバキの間に割って入り、おれに満面の笑みを見せた。
屋上の下には、まだサイトーの死体が転がっていた。
暑さでどんどん腐敗も進んでしまうだろう。早いところ片付けないと雑菌が更に増殖するし、疫病が蔓延する恐れがある。
でも、つい先送りにしたいのは皆同じなのではないだろうか。
下を見るとそんな地獄の様相を呈していたが、真っ直ぐ視線を向ければ、暑いとはいえかなり景観が良かった。
豊かな大自然の中、真っ青な海が見えていた。
おれの描いた壁画のアダルトコーナーにあった『殺してやる!』はツバキが書いたものだが『じわじわ苦しめてあげるんだから!』のほうは一体誰なんだろうか?
そこへ不意に、久しく会ってなかったクトゥルフ女子のカナロ姉さんまでやって来た。
話してはいたけど、特にキリエとニョロは姉さんの姿にびっくりしていた。
そりゃあびっくりするだろう……。お互いに。
何なのか? と思っていると姉さんは思わぬことを語り始めた。
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