魔女を賛美せよ 地獄を共にせよ

村日星成

第1話 リララは何処へ?


 むかし、一人の魔女に会った事がある。

 当時、周囲に馴染めず親もいない俺は一人であちこちとウロチョロしていた。


「そっちは危ないわ、魔物が出る」


 ピンクの長い髪と水色の瞳、紫色のローブを着た少女が手を引きながら話しかけてくれたのが始まり。名前をリララと言った。

 リララが村で恐れられ忌み嫌われている噂の魔女だということを後に知った。

 その人から色々な魔法を教えて貰った、、しかしそれが皆にバレ闇の魔法を教わっていると罵られ、鞭で叩かれ、牢屋に入れられた。

 何でも闇の魔法は魔王が使った魔法だとか。


 それでもリララの元に通った。


 リララとの日々が続いたが、俺がまだリララの元に通っている事がバレて家の地下室に閉じ込められた。

 その時、村に巨大な魔物が襲撃してきたのだという、そして魔物襲撃の原因としてリララが挙げられ、魔女討伐の機運が村中で高まった。

 村人が冒険者を募り魔女討伐を図ることを聞いた俺は急いでリララの元に向かった。


「そうなのね......ごめんなさい」


 リララはそう言って――


「ありがとう、どうか――どうか幸せに」


 その魔女は俺の背丈に合わせて膝をついて抱き寄せて――感謝の言葉を残して消えた。

 そして俺は魔女を逃がした罪で村から追放された。


 ■


 10年が経ち、17歳になった俺は現在ギルドの冒険者として働いている。


 最近、ゼーラ王国は凶暴化した魔物の対処に苦心しており、魔物を指揮する者も現れ始め余裕がない為に様々な国内問題を解決するギルド、冒険者の活躍が目まぐるしかった。


「――魔女」


 ここ王都ケリスよりはるか東の森に魔女......と住民に恐れられる魔導士がいるのだという。


「ゾルさんにも是非調査の協力をお願いしたのですが」

「――あぁ喜んで」


 魔女リララ、その人を俺は探している。

 何処へ行ったんだ、リララ。

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