第6話 高槻城の陰謀

 高槻城、歴史ある城跡が観光名所として賑わう中、地元の祭りが開催されていた。しかし、祭りの夜、城内で不審な事件が発生する。城の管理人が何者かに襲われ、意識を失って発見されたのだ。


 主人公の葛城烈は、地元の若手探偵。友人たちと共に祭りを楽しんでいたが、事件の報に驚き、捜査に乗り出す。彼は、高槻城の歴史や伝説に詳しい老舗のガイドと協力し、城内の秘密を掘り下げる。


 10世紀の末、990年に近藤忠範が久米路山と呼ばれる小丘に築城したのが高槻城の始まりと言われているが確証はない。高槻城の文献上の初見は、大永7年(1527年)の桂川原の戦いで山崎城に詰めていた薬師寺国長が波多野元清に攻められ、高槻城に逃亡した記録である。


 その後、芥川山城に三好長慶が入城した天文22年(1553年)には高槻城は支城となっていたようで、入江春継が城主となっていた。長慶が永禄7年(1564年)に亡くなると、三好三人衆の1人三好長逸がこの地域一帯をおさめていたが、織田信長が摂津に侵攻、永禄11年(1568年)9月28日に芥川山城を落城させると、高槻城も無血開城に近い形で降伏した。


 永禄12年(1569年)1月、本圀寺の変で15代将軍足利義昭の住む屋敷を襲撃する時に、三好三人衆と行動を共にしていた入江春継は敗退し、自害して滅んでしまったようである。この時逆に活躍したのが芥川山城主であった和田惟政で、信長より高槻城も与えられ高槻城を本城とした。この時から高槻城は近代城郭として大きく様変わりしていく。


 キリスト教の最大の理解者であったのは、和田惟政の死後1573年に惟政の子惟長と格闘した結果惟長が城を出たことにより城主となる高山父子[3]であるが、和田惟政もよき理解者で宣教師を迎え入れたり、城内に教会を建設しようとしたが白井河原の戦いで戦死し頓挫した。その後高山友照・右近父子が城主となって天正4年(1576年)に念願であった教会を建設、天正11年(1583年)には修学寮も建設し、領内には20ヶ所の教会、当時の高槻領人口の60%以上、1万8千人もの人々がキリスト教徒となり、宗教活動を活発にしていたようである。


 天正10年(1582年)6月に本能寺の変で信長が討たれると、豊臣秀吉は大坂城の築城に着手し、右近は天正13年(1585年)に船上城へ転封、高槻城は秀吉の直轄領となり城主となったが、同年末には亀山城へ移っていた。高槻城は豊臣方の代官数名や新庄直頼が城主となったが関ヶ原の戦い後、今度は徳川氏の直轄地となる。徳川方の代官や青山忠成が城主となり、慶長19年(1614年)の大坂冬の陣、翌年の大坂夏の陣で高槻城は補給基地となって徳川方の勝利に貢献した。


 元和元年(1615年)6月に内藤信正が城主に、元和3年(1617年)に土岐定義が城主となると、高槻城は完全な近代城郭として改修した。ついで松平家信、岡部宣勝、松平康信と城主が代わり、慶安2年(1649年)に永井直清が城主となる。


 永井直清は侍屋敷の拡張、城下町の整備、領内では水田開発、各所に碑を建てて文化行政にも力を注いだ。その後永井氏は13代にわたって高槻城主となり幕末に至る。本丸にあった三重の天守は焼失したとの記録がないため、幕末まで存在した可能性がある。


 明治4年(1871年)7月、廃藩置県により廃城。明治7年(1874年)には破却が始まり、向日町駅 - 大阪駅間の鉄道敷設用材として石垣などが利用された。


 明治42年(1909年)から昭和20年(1945年)までは、大日本帝国陸軍工兵第4連隊が駐屯した。昭和22年(1947年)に高槻市立第一中学校、昭和26年(1951年)に大阪府立島上高等学校(現・大阪府立槻の木高等学校)が設置された。本丸跡にあたる槻の木高校内には高槻城跡の石碑が建てられている。


 調査を進めるうちに、城に伝わる古い言い伝えや、近隣の土地開発に絡む利権争いが絡んでいることが明らかになる。葛城は、管理人が隠していた秘密や、事件の背後にいる黒幕の存在に迫っていく。


 彼らの捜査は次第に危険な局面を迎え、葛城自身も狙われることに。果たして、彼は真実を突き止め、高槻城の平和を取り戻すことができるのか。歴史の影に隠された真実を解き明かす葛城の挑戦が始まる。


 加藤明日香は、アガサ・クリスティの熱烈なファン。田中美咲の死を受けて、彼女はその作品に描かれた複雑な人間関係や心理戦からヒントを得て、犯人が身近にいるのではないかと直感する。


 明日香は、田中の周囲の人間関係を分析し、彼女の同僚や上司に疑いの目を向ける。特に、田中が最近取り組んでいたプロジェクトに対して嫉妬や利害が絡む者たちが怪しいと考えた。彼女は、過去のクリスティ作品の登場人物のように、動機やアリバイを考慮しながら捜査を進める。


 葛城烈と共に行動する中で、明日香は巧妙な手掛かりを発見する。彼女の推理力は、クリスティ作品さながらの緊迫感を生む。果たして、明日香は真相を突き止め、田中美咲の死に隠された陰謀を暴くことができるのか。彼女の探求は、単なる趣味を超え、事件解決への道を切り開いていく。


 

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