裏切り者たち

鷹山トシキ

第1話

 新朝霧病院に勤務する有名な内科医、椎名拓海は名声と実績を誇り、患者からも同僚からも信頼されていた。しかし、ある日、彼の診断ミスが原因で患者が死亡したという訴えが病院に寄せられ、彼のキャリアは一変する。


 その患者は若い女性、佐藤美咲で、重篤な心臓病であったにもかかわらず、軽度の風邪と診断され、自宅療養を指示された。数日後、美咲は急変し、病院に戻る途中で命を落とした。彼女の家族は病院を訴え、椎名はその中心に立たされることになる。


 椎名は誤診を認めず、自身の無実を証明するために独自に調査を開始する。彼は、美咲の症状が急変した原因を探るため、彼女の病歴や生活環境を調べ始める。しかし、調査を進めるうちに、彼はある陰謀の存在に気付く。


 椎名拓海は、佐藤美咲の死因について調査を始める。彼は美咲の病歴を詳しく調べ、彼女が重篤な心臓病を患っていた可能性が高いことを突き止める。しかし、彼の診断ミスを証明する証拠が見つからない。


 病院内での政治的対立が浮き彫りになる。椎名の同僚である森川健太が、彼を陥れようとしていることが明らかになる。森川は、病院の上層部との関係を利用し、椎名の立場を弱体化させようとしている。さらに、森川は薬品メーカーとの癒着を隠しており、その秘密を守るために美咲の死を利用しようとしている。


 椎名は、美咲の家族と協力して調査を続ける中、琉球から来たある訪問者に出会う。彼は、美咲が以前に琉球で治療を受けたことがあるという情報をもたらす。その治療には、美咲の現在の症状に関する手がかりが含まれているかもしれない。椎名はその訪問者と共に琉球に飛び、真相を探る。


 琉球での調査中、椎名は美咲が受けた治療の詳細を確認する。彼は、美咲が琉球で重度の打ち身と水虫の治療を受けていたことを知る。これらの治療が彼女の心臓病とどのように関連しているのかを調べる中で、椎名はさらに深い陰謀に巻き込まれる。


 琉球の夏は湿度が高く、重たい空気が肌にまとわりつくようだった。椎名は、美咲が治療を受けた病院の前で立ち止まり、一度深呼吸をしてから中に入った。病院の受付には、年配の女性が座っており、彼を見て穏やかに微笑んだ。


「こんにちは。何かお手伝いできることはありますか?」


 椎名は名刺を取り出し、女性に見せながら尋ねた。「こんにちは。私は椎名と言います。少しお聞きしたいことがありまして、こちらの病院で治療を受けた美咲という患者さんについて調べています。彼女の治療内容についてお聞きできればと思います」


 女性は椎名の名刺を見て一瞬ためらったが、すぐに微笑みを戻し、「お待ちください」と言って、後ろのドアをノックした。数分後、白衣を着た医師が現れ、椎名に向かって歩み寄った。


「椎名さん、どうぞこちらへ」と医師は言い、彼を診察室へ案内した。椎名は部屋に入り、医師の示す椅子に座った。


「美咲さんの治療について知りたいとのことですが、何か特定の質問がありますか?」と医師は尋ねた。


「はい、彼女が受けた治療の詳細を知りたいのですが、特に重度の打ち身と水虫の治療について。そして、それが彼女の心臓病とどう関係しているのかを教えていただきたいのです」と椎名は答えた。


 医師はカルテを開き、しばらく見つめた後、説明を始めた。「美咲さんはここで重度の打ち身と水虫の治療を受けました。打ち身については、外傷の治療と共に、内出血を防ぐための薬を投与しました。また、水虫については、抗真菌薬を使用しました。これらの治療は一般的なもので、心臓病とは直接的な関係はありませんでした」


 椎名はメモを取りながら、「では、何故彼女はこれらの治療を受けたのでしょうか?」とさらに尋ねた。


 医師は一瞬ためらったが、続けた。「実は、美咲さんはここに来る前に、何者かに襲われた可能性がありました。彼女はそのことを明かしていませんが、怪我の具合から見て、何かしらの暴行を受けたと考えられます」


 椎名の心に警鐘が鳴り響いた。「それは…誰かが彼女を襲ったということですか?」


 医師は深刻な表情で頷いた。「はい、その可能性は否定できません。私たちもその点について調査を進めていましたが、彼女が突然退院してしまったため、それ以上の情報を得ることはできませんでした」


 椎名はメモを閉じ、立ち上がった。「ありがとうございました。非常に重要な情報をいただきました」


 病院を出た後、椎名は携帯電話を取り出し、探偵事務所の同僚に連絡を取った。「美咲が何者かに襲われた可能性がある。もっと詳しく調査する必要がある。手分けして情報を集めよう」


 その時、背後から不意に誰かが椎名の肩を叩いた。振り返ると、そこには見覚えのない男が立っていた。男は椎名に向かって低い声で言った。


「これ以上調べるな。さもないと、あなたも同じ運命を辿ることになる」


 男は言い終えると、すぐに人混みに紛れて消えていった。椎名はその場に立ち尽くし、心に深い疑念と不安を抱いた。美咲の治療には何か重大な秘密が隠されている。その秘密を暴くためには、更なる危険が待ち受けていることを覚悟しなければならないと感じた。


 彼は携帯電話をしまい、決意を新たにした。「この謎を解くまで、俺は諦めない」


 椎名の調査は、ますます危険な方向へと進んでいくのだった。宿泊してるホテルの近くで半グレ集団を見かけた。公衆トイレに入ると不思議な赤いドアがあった。ドアの中に入った。タイムスリップしたらいいなと思ったが、そううまくはいかない。10分くらいして出ると半グレ集団はいなくなっていた。



 


 

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