前のエピソード――第７１話　馬車の中での会話

会話が途切れてから数分くらい時間が経った。

その間の馬車の中の空気は最悪というほどではないが決して良くはない……そんな微妙な雰囲気が馬車の中を漂っていた。

まぁとはいえ、神の加護があるかどうか教会に検査しに行ったときほどひどい空気にはなっていないのでまだマシな雰囲気だとは思う……。

キーーーーー

「フェルテ様とフェルテ様の従者殿、どうやら平民の反乱加担者たちを処刑する場についたようです。そろそろ馬車から降りることになると思います、そういうことだからデメテル殿とアレスも、各々馬車から降りる準備を始めておいてくれ」

馬車が止まる前に馬の嘶（いなな）きが聞こえ、それと同時に馬が止まったからなのか馬車が少し揺れた、馬車が止まったのを確認した後お祖父様はフェルテ殿やその従者二人に母上、それから僕に対してそう言った。

「あぁ、わかった、ビアエアンスト殿」

フェルテ殿はお祖父様の言葉に対してそう答えた。

「はい、わかりました。伯爵様」

そうフェルテ殿の従者の内の一人がお祖父様に対して答えた。

「はい、わかりました。伯爵家」

フェルテ殿のもう一人の従者もお祖父様に対してそう答えた。

「はい、わかりました。ビアエアンスト様」

母上はお祖父様の言葉に対してそう答えた。

「わかりました。お祖父様」

お祖父様の言葉に対して僕はそう答えた。

コン　コン　コン　コン

「フェルテ王妹殿下とビアエアンスト様とデメテル様にアレス様、目的地に到着いたしました」

御者の男が馬車の扉をノックして、フェルテ殿やお祖父様そして母上や僕に対してそう言った。

「あぁ、わかった。馬車の扉を開けてくれ」

御者の言葉に対してお祖父様はそう言った。

「はい、わかりました。ビアエアンスト様」

キーーーーー

「フェルテ王妹殿下にビアエアンスト様、少々お話しなければならないことがあるのですがよろしいでしょうか？」

馬車を開けたら目の前に御者の男性と相応の立場に就いているだろう男性がいた。

馬車の扉が開いてすぐ相応の立場に就いているだろう男性が、フェルテ殿やお祖父様に対してそう話しかけた。

「………わかりました、馬車の中で話を聞きます、デメテル殿とアレス君？申し訳ないけど馬車の前で話が終わるまでちょっと待ってね？」

馬車の前で話しかけてきた男性に対してフェルテ殿はそう返事をした後、母上や僕に対してそう言った。

「はい、わかりました。フェルテ様」

母上はフェルテ殿に対してそう返事をした。

「わかりました、フェルテ様」

僕もフェルテ殿に対してそう返事した。

そんな感じでフェルテ殿やお祖父様そして相応の立場に就いているだろう男性は馬車の中に入っていった。

フェルテ殿やお祖父様そして相応の立場に就いている男性が話をするために馬車の中に入ってから十数分程時間が経った後、フェルテ殿やお祖父様そして相応の立場に就いている男性は馬車の中から出てきた。

「アレス君？今、話さなければこの話を私からする時間が無くなると思うから今、話すが平民の反乱加担者たちの判決は斬首刑だ」

馬車の中から出てきてすぐフェルテ殿は、僕に対してそう言ってきた。

「………そう……ですか……」

僕はフェルテ殿の言葉に対してそう答えた。

「アレス君？判決に対して思うことでもありますか？」

判決内容を聞いて少し考え込んでしまったからかフェルテ殿は僕に対してそう聞いてきた。

「思っていたより判決の内容が寛大だったので少し驚いただけです……」

僕はフェルテ殿の言葉に対してそう答えた。

「………この判決内容で寛大だったと思うんですね……アレス君は平民の反乱加担者たちの判決がどのような内容なると思っていたのですか？」

僕の言葉に対してフェルテ殿はそう聞いてきた。

「……そうですね……結果として貴族や王族の制度に対して……まぁ反逆するようなことをしたのです、町中で斬首の後死体を晒されるか、町中を罪状の札をつけながら晒された後、斬首そして死体を晒されるかのどちらかだと思っていたのですが……まぁアテナが裁かれていないから結果的に平民の反乱加担者の罪状も軽くなったのかな？」

僕はフェルテ殿の言葉に対してそう答えた。