第7話 引き取られた後の後日談

ふぅ~……、なんとか不審感を拭えた……たぶん……きっと……


まー……それよりも今はずっと僕の周りにまとわりついてくるこの子らの対応をしなければ………。



「アレス僕の指をにぎって!」



心底楽しそうに、そう兄上が言ってきた。



「キャッキャッキャッキャッ」



ちなみにアレスというのは引き取られた後に名付けられた僕の名前だ、名前の意味は正直よくわからない。


名前の意味がどういう意味だったにせよ、今はそんなことはあまり関係ないか……そんなことより、よくもまぁ〜2人とも飽きずに30分も1時間も延々と同じことを毎日毎日変わらず、ずっと続けていられるな……。たぶん僕なら最初の5分〜10分ぐらいでこんなことすぐに飽きると思うのに……。



「あ!兄ちゃん私にも変わって!」



姉上がそう言いながら僕の指を強引に掴もうとした。



「もうちょっと待って、もうちょっと遊んだら交代するから」



それに対して兄上はまだ遊びたりないのか……これは遊んでると言えるのか?………まぁいい、とにかく遊びたりないのか姉に交代するのはもう少し待ってほしいと言った。



「ずるい!私も遊ぶ!」



そう言って姉上は乱暴に僕の手を掴もうとした。



「ま…待って!ヴァイゼまたお母さんに怒られるから!」



そう言って姉上が無理やり僕と遊ぼくとするのを兄が止めようとしている。


そう、この子らはこういう感じのことを何度も何度も繰り返してその度に母親に怒られているのだ。












キーーーー













「楽しく遊んでいるのねタプ………っ…何をやってるの赤ちゃんと遊びながら喧嘩しない!」



そう焦ったように止めに入った。



「はい!」



「わかった〜」



母親から怒られたからかそう言ってすぐに2人はケンカをやめた。


うん、怒られてすぐに喧嘩止めるんだったら頼むからほんまに喧嘩なんてやめてほしい、毎回ヒヤヒヤさせられるこっちの身にもなって欲しい。



「タプファーとヴァイゼ、アレスの乳母の人が来たわよ?外で遊んできなさい?アレス、私も外に行くわね?」



そう言って母親は部屋から出ていった。


なぜ引き取られて数日で乳母が決まったか不思議に思う人もいるだろう。


そんな人にこの数日でわかったことを教えよう。


まず…そうだな……


まず最初に乳母が決まったのは実子が流産する前らしい最初にある程度どの家の人間から選ぶかの目星をつけて生まれてくる前にその人やその家族にコンタクトを取り乳母になることを承知してくれたなら乳母が決まる、そんな感じだ。


だから実子が流産した段階で一度は話がお流れになり、それから1〜2ヶ月後に僕を拾ったからどうするか考えお流れになった乳母やその家族に乳母になってくれないかの打診を持って行ったら2つ返事で承諾してくれたらしい。


いやはや、神様の力、様々だね。












キーーーーー













「失礼します…はい…アレス君、おっぱい飲もうね…」



そう乳母の人がテンション最悪の状態で言ってきた。まー、相応の家格の人間が捨て子に乳を与えるんだからそんなテンションになるわなって感じ、きっと神様がいろいろ動き回った結果こうなったんだから、了承したとはいえあとから嫌になっても仕方がないよね。



「ダァーーー」



とりあえずそう言っておいた。というか他に対応方法がわからないからね……。



「はー……なんで私こんな依頼受けちゃったんだろう…そもそも最初はこの家の嫡子の乳母になる話だったのに……デメテルさんが流産してしまって乳母の話が白紙になって……その後捨て子を拾ったから乳母を探してるんだが乳母になってくれるかという話が来てなぜか2つ返事で了承しちゃったけど……そもそもなぜ捨て子、たぶん貧民の子供だっただろう捨て子の乳母になるのを頷いちゃんたんだろう……」



乳母さんはこんな独り言をときどき言うがそれは僕ではなく神に言って欲しい……。気持ちはわかるが僕の責任ではないからね。



「は〜い……ゲップを出そうね〜…」




トントン トントン




「ゲップ……ゲップ」



今日はさっさとゲップ終わった…。よかった…。長くなったらそれだけ愚痴を聞かされる時間が増えるからね……。



「はい〜。おねんねしましょうね〜〜。」



乳母の人はそう言ってだるそうにしながらも、寝かしつけてくれた。



「ダーー」



申し訳程度に赤ちゃんっぽく喋った後、できるだけ早く眠るために努力した。

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