第5話 貴族が捨て子を拾う…さては……洗脳か!?

貴族……しかも格式あるような家柄の貴族がどこの誰かもわからない捨て子を引き取るか!?中には血統を保持するために近親相姦をしていた家もあったくらいだぞ!?それなのにどこの血筋かもわからない………というか僕自身で言うのはなんだけど捨て子になってる時点でろくな血筋ではないと思うけどね!?




…まぁ…とにかく…普通に考えれば格式ある貴族家がたかだか捨て子なんてのを拾うわけ無いよね!?っていうことは……もしかして…せん……いっ…いや……ま…まあいい…と…とにかく……助けてもらえる方向に話が進むように祈ろう………。




「…そうね…そよね……確かに…御義父様に聞かなければ養子にするにせよあの子達の従者になってもらうにせよ………貴方は私に気を遣ってくれたようだけど……最悪、孤児院に連れて行くにせよ………ここで助けなければ凍死か餓死をしてしまうかもしれませんしね!早くて連れていきましょう?そうしないとこの子、死んでしまうかもしれませんから!」




こいつ頭おかしいんじゃね?なんでこんなに発狂してるんだ?この辺りの気温は確かに寒い……が、赤子であっても数十分放置したくらいですぐに凍死するほど寒くもない。


確かに寒いは寒いが気温としては20℃から15℃前後といったところだそれこそトラウマでもないと………トラウマ……トラウマね、発狂している旦那さんの奥さんに対する対応からしてこれは……やってくれたね〜神様……僕のこの妄想が正しかった場合君らは……まぁいい…今はそれどころじゃない……この人たちにはいつか必ず……




「あ…あぁ…そうだな…僕が馬車までこの赤子を運ぶよ…ドアを開けてくれ」




は?え?なぜ……貴族家のそれも直系だろう……話を聞く限り次代の貴族家当主が捨て子なんかを抱っこして馬車まで持っていくんだ捨て子を引き取ろうとしてるだけでもおかしいのに従者ではなく、たぶん?次期当主自らが身分の卑しいだろう捨て子をなんで自ら抱き上げるんだ?おかしい…明らかにおかしい…いや…これはなんとなくおかしいとかでは明確に間違いないおかしい。なぜこんなことがおきてる?洗脳なんて生易しいものじゃない何かをしたのか?神は?洗脳ならどのレベルの洗脳なんだ?僕には想像もつかない…本当にまっったく想像ができない…この状況をなぜつくりだしたのか、神がこれをしたことによる利点がまったくこれっぽっちもに全然理解できない……とりあえず神様……いや?天使か?になぜこんなことをしたのかとそれによって得られる利点それ以前にどうやってこんなことをしたのかを聞く覚悟ができたら、その時全部聞こう……。




「…はい…旦那様…」




貴族の男性の言葉に対して執事だろう男性もそらそうなるわなっていう反応で困惑したしながら言われた通りの行動をとった。


うん、まぁだよね急に自分が仕える高位だろう貴族の次期当主が妻と話し合って捨て子を拾うとか言い出してしかも養子にする気満々で、最悪でも自分の嫡子だろう子供の従者にする気なんだから気が違ったのか疑うよな……高位の貴族の家で働くだけでも相応の身分が必要だろうに高位の貴族の子供に仕えようと思えば相応以上に優秀で相応以上に家柄がなければ無理だろう……、そりゃあなに言ってんだ、こいつ?状態になるわな……ただ不思議なことに執事の声のトーンがなに言ってんだ?っていうよりかわいそうにっていう同情に近い声音なのは不思議だ……、あの女性もしかして直近で流産してたりして………いやまさかな……さすがにそんなわけないか……












キーーーー












「ハァ………」










パン……












貴族の男性が席に座った後に疲れたようなため息をついた。




「パパ、その赤ちゃんどうしたの?」




男の子?たぶん男の子、子供の声って男児、女児どちらとも甲高いから男の子か女の子か声だけでは分からないよね…とにかくさっきの男女の貴族の子供だろう男の子が貴族の男性にそう聞いた。




「ん?あぁ…捨て子だよ?この捨て子をどうするか話し合うために家にこの子を連れて帰るんだよ……」




これは……情報を集めるためにも変に泣いて邪魔せずに話を聞いたほうがいいな…このあと僕をどうするつもりかとかいろいろと話をするつもりだろうからね……この貴族だろう男性は……




「そうよタプファーおじいちゃんとの話し合いにもよるけどもしかしたらあなた達の弟か、もしかしたらどちらかの従者になるかもしれないから仲良くしてあげてね?」




「ん?弟……?弟は確か………あっ……うん!わかった!仲良くするよ!」




えっ?あの子供はさっきなんて言った?弟は確か……って言ったよな?ということは…だよ、さっき想像した最悪な予想である流産を本当に最近したとか?………、まあいい、考えても答えがわかるわけでもなしとにかく話を聞こう。




「そうよ、いい子ねタプファー」




「私も仲良くするーー!」




「あなたもいい子ね、ヴァイゼ」




「そうだそ!、ふたりともいい子だな!」




「フフフフフフフ、そうね、ふたりともいい子ね、しかし不思議ね?この子全然泣かないし笑わないは?ちょんと生きてるはずなんだけどね?」




あっ…やべ…




「ダァー」




急に泣いたり笑ったりしたら不思議がられるだろうからとりあえず両手をバンザイ状態にしてかまってほしそうにする…いやそれも十分不審だろうけど………。




「わぁー赤ちゃんが喋ったー!!」




そう言って女の子?の方名前は…何だったけ?…まあいい…がほっぺに触れてきた。




「キャッキャッキャッキャッ」




だからとりあえず楽しそうに笑いながらほっぺに触れてきた女の子の指を掴んだ。




「あーーー!!ヴァイゼだけズルーーい!!」




そう言いながら男の子?の方も僕のほっぺをつついてきた。だから




「キャッキャッキャッキャッ」




とりあえず男の子の方の指も掴んだ。




「わぁー!!かわいいーー!!」




………咄嗟に両手が塞がってたから片方の手を離して男の子の指を掴んだけど何か分からないけど普通の赤子の行動として根本的に……それこそ子供たちに愛されるとか愛されない以前に一部の赤子に関する知識のある人間を不審がらせるような挙動をしてしまった気がしてならない……


僕には赤子に関する知識はあまりないが何故かなんとなく思う、これは反射行動として納得してもらえるだろうか?納得してもらえたらいいな………いや…納得してもらわなければ困るか………。




「ムッ…私の方が先に指を掴んで貰ったのに!お兄ちゃん!その手離して!」




あー…、僕、怪我をせずにこの場を切り抜けられるかな………。




「いや!僕が片方の手!ヴァイゼがもう片方の手でいいだろ!!」




「ま…待ちなさい、タプファーとヴァイゼ!それ以上やったらその子が怪我をしてしまうでしょう!?」




「そっ…そうだぞ!タプファー、ヴァイゼ!それ以上はやめなさい!」




「ギャーギャーギャー」




とりあえず泣くべき状況だと思ったから泣いたけど、この状況どうやったら収拾をつけられるの?と…言う以前に僕は怪我せずにこの状況を乗りきれられるの!?




そんな感じでてんやわんやがありながらもなんとかこの人たちの家?屋敷?につきこの家の現当主に僕をどうするべきか聞きに行くために僕を拾った男女は現当主の部屋へ向かった。




「父上、この捨て子を私達の養子にしたいのですがよろしいでしょうか?」




普通に考えたらダメだと言われるだろうことを真面目に聞いていた。


こいつ正気か!?さてはトチ狂ったか真性のバカかその2つに1つだろう!?許可されるかよ!普通に考えて!どこの馬の骨かも分からない捨て子を格式ある家の人間にするわけ無いだろう!?あぁ!!


……と…とにかく成り行きを見守ろう。




「お前はバカなのか?ブラーヴ?さてはトチ狂ったか?」

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