S
眠たそうな目を擦りつつ、
学校いきたくない、とつぶやくいもうとに・
母は・・いもうとの後頭部をみつめ、そう、・と。
母はそのいもうとの部屋をでていきます。
ぼくはいもうとをみながら、昨日の晩、いもうとがりゅうせいの帯に乗っかって駆けていったことを知っていたのでした。
あるいは夢魔に手込めにされてしまったのでした。
いもうとはまだ覚めない夢のなかにいるにちがいないのでした。
いもうとは度々くちにします。
いもうとにはもうひとりの自分がいるのだそうです。
いもうとはそれをSと呼んでいました。
S、
それは大変やっかいな存在でしたが、いもうとはSに乱暴をされてもへっちゃらなのでした。
いもうとは髪を切る
えりあしはまるで男
のようにかりあがっ
ていたのですがそれ
はSが男のためだと
いって笑っているの
でした
いもうとはネグリジェのまま、流星の帯にのっかる、
おびは夜空に曲線を描いて、大気へと消滅する。
いもうとのからだは燃え尽きて星座となる。
夜空は天文学のせんせいによって、絵が描かれました。
いもうとはそのひとつぶとなって輝きました。
ひとつぶとひとつぶが結ばれて星座ができあがりました。
挿入)))
目にみえないはずのSでしたが、たしかにいもうとには見えているようでした。
Sには顔に痣があるのだそうです。
Sの右目を覆って赤く広がっているのだそうです。
いもうとにはそれがじつにハンサムにみえるということでした。
いもうとはSに恋をしているのでした。
空に落ちていくいもうとの涙。
いもうとはSの指が自分の首筋にかかってきたのを瞬時に、
目をつむって歯
を食いしばります。
ちいさく息がもれると・
吐かれた文字がそらを灰色に覆いました。
それはぼくをぞっとさせました。
あるいはいもうとを狂喜させました。
あるいはいもうとは流星となってそらの塵になってしまったようでした。
塵は四方に散らばりました。
溶け出した絵の具は空一面に広がりました。
Sはそれを死と呼んだようです。
ぼくはそれは詩のまちがいだといもうとにつげました。
いもうとは一日ベッドの中でSとすごしていたのでした。
いもうとにはもうひとりの自分が憎らしいと思うことなどないようです。
恋なのでした。
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