　赤、青、緑、オレンジ——色とりどりの、宝石みたいなお菓子をひとつ口のなかにほうりこむ。

　シャリシャリ、ぷにっ、くにゅ。

　見た目の美しさのみならず、その食感もおもしろい。

　寒天と砂糖を固めたものを乾かして、表面を結晶化させた『琥珀糖』といわれるシンプルな和菓子。

　家庭でも簡単につくれるそれは、私にとって定番のおやつだ。

　幼いころは母とよく一緒につくっていた。

　落ちこんだとき、疲れたとき、いいことがあったとき。

　うれしいとき、かなしいとき、苦しいとき。

　たべられる宝石は、いつでも甘い。

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