玄関を開けたら金髪美少女が俺を殺しに来たと言った

ゆこさん

序章

プロローグ  2022.10.30

 ピンポーン……。


 インターホンが鳴る音が聞こえた気がした。俺は布団から腕だけを出し枕元にあるはずのスマートフォンを手探りで探す。そして、無事スマートフォンを見つけ出し画面を点灯した。


 眩しい。真っ暗な部屋の中、煌々と光るスマートフォンの画面に目がやられる。苦しみながらも確認した時刻は朝4時43分。


 何だ。気のせいだったか。疲れているせいで幻聴が聞こえたのだろう。こんな時間に訪問者がいるはずがないのだから。


 俺はふーっと深く息を吐き出すと布団に潜り直した。


 しかし再び眠りに落ちようとしたその瞬間だった。


 ピンポン!ピンポン!ピンポン!


 インターホンが勢いよく連打される音。


 ドンドンドンドンドン!!


 次いで玄関扉を乱暴に叩く音。


 俺はむくりと起き上がった。どうやら気のせいではなかったらしい。俺は寝ぼけた頭でゆらゆらと玄関へと向かった。


 こんな時間に一人暮らしの男の家に訪問するなど、一体どんな用件があるというのだろうか。非常識にも程がある。不愉快な気持ちのまま、俺は雑に鍵を開けて扉を勢い良く開けた。


「いい加減にしろ!新聞はいらないし、インターネットの乗り換えも結構だ。宗教にも興味は無い。神なんかクソ喰らえ!」


 俺は怒りに任せ、怒鳴り散らす。しかし、怒鳴り散らした後で異変に気がつく。目の前に誰もいない。


「……?」


 俺は目を擦った。寝ぼけすぎて見えていなかったのだろうか。まさか幽霊……?心霊現象……?そんな発想が浮かび背筋が凍る。


 しかしながら直後。


「おい。」


 それは少女の声だった。その声は視線よりずっと下の方から聞こえた。俺はゆっくりと視線を下げると、そこには小柄な6歳程度の少女が立っていた。


 緩く巻いた金髪のショートヘアー、つり目、深緑色の瞳、そして手に持っていたのは少女の身長よりも遥かに大きな大鎌。


「貴様を殺しに来た!覚悟しろ!」


 その瞬間、俺は勢い良く玄関扉を閉め鍵をかけた。


 全く変な夢だ。勘弁して欲しい。


 俺は部屋に戻ると布団に潜り込み、直ぐに深い眠りへと落ちていった。

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