第2話 襲撃
親睦会もそろそろ終わりに近づいていた。そんな時に聞き覚えの声と特徴的な口調が会場内に響き渡る。
「みなさ~ん、遅れてしまってすみませ~ん!本日副司会を務めさせていただきます二階堂で~す!」
俺は驚いた。『二階堂』って…あの元A級舎弟の『二階堂レナ』か?彼女は死んだはずでは…。
俺はすぐ様ドミニオンでお嬢と情報共有した。
「お嬢、あの二階堂ってまさか…」
俺は恐る恐る聞いた。
「ええ、私もそんなはずはないと思っていたのだけれど…まさか…生きていたというの?」
お嬢も動揺を隠せない様子だった。
そして俺が何より気がかりだったのは…。
「お嬢、その様子だと彼女がこの親睦会に来ることは想定外だったようですね。このことは菱沼も驚いているのではないのでしょうか。」
そんな話をしていると会場内に再び二階堂の声が響き渡る。
「とは言いましても~特に親睦会の方向性が変わるわけではないので~、皆様そのまま気にせず楽しんじゃってくださいね~!」
そう二階堂が喋り終えると菱沼と二階堂が何かを話合っている。菱沼もやはり二階堂の突然の乱入に驚いた様子だったらしいが、その後は何やら和気あいあいと楽しそうに話合っている。
「黎…ちょっと…。」
お嬢が記憶の中で語りかける。
「…わかりました。『彼女』ですね。」
そして親睦会は終わりに近づき、菱沼が閉会のアナウンスを行う。
「皆さん!親睦会もいよいよ丁度よいお時間になって参りました!本日は沢山お楽しみ頂けましたでしょうか!南グループ主催の親睦会はこれからも…」
そう言いかけた時だった。
「ドカーン!!」
会場の扉が蹴破られる様な音がした。
扉に目をやるとそこにはなんと先程出禁になったはずの20番の中年男と55番と56番の女が立っていたが何やら様子がおかしい。
すると次から次へと先程ダンテとライトに制圧された取り巻きを含め、会場を埋め尽くすほどの大量の取り巻きが押し寄せてきて会場内はパニックに陥った。
「皆さん!落ち着いてください!」
マイクを手にして叫んだのは二階堂だった。
「この親睦会は南グループ主催です!戦闘員の指導のもと、一般人の方々は直ちに避難してください!」
すると二階堂は菱沼を連れて何処かへ避難していった。菱沼は確かにC級舎弟では非戦闘員であるから判断としては決して悪いものではない。だが…。やはり何か引っかかる。
そして俺達は一般人の避難のための退路を開けるため戦闘にあたった。俺はダークネスブラスターを主流に取り巻き達を倒していくのだがなかなか手応えを感じない…。この感じはやはり…。
お嬢は即座に応援を要請した。
「B級からD級の戦闘員舎弟達、直ちに指定された会場に集まりなさい。飛翔可能な戦闘員は窓ガラスからの侵入を許可するわ。」
先程のダンテとライトのように直ぐに戦闘員が会場内に来ることはない。恐らく会場の入口にまで敵陣が及んでいてそれを制圧するまでに会場内に到達するまで時間がかかるのだろう。
それより先程の20番、55番、56番の姿が見えない。
「お嬢、ここは舎弟達に任せて俺達は奴らを追いましょう。」
「偉そうに命令すんな!あんたも舎弟でしょ!」
「ゴンッ!!」俺の頭上に隕石でも落ちたのかと思った。
「イテッ!!」
「わかってるわよ。私も同じこと考えてたわ。やっぱり『彼女』の言ってた通りね。恐らく行き先は…。」
「ええ、『屍の塔』でしょう。」
「それじゃあ私もそこにさっさと連れていきなさい。あんたのシャドージャンプでひとっ跳びでしょう?まぁ、今回は特別にこのお嬢様直々のご許可の下でS級舎弟のあんたにお姫様だっこをさせてあげないことも…」
「さぁお嬢!急ぎましょう!菱沼が危険な目に合ってるかもしれません!」
「ちょ…!ちょっと…!!」
俺はお嬢を肩に担ぎシャドージャンプで屍の塔へ向かった。
「コラァーーーッ!人の話は最後まで聞きなさぁぁーーい!!!」
お嬢が何やら叫んでいるようだったが風を切る音でよく聞き取れなかった。もしかしたら久々の冒険のような出来事に興奮しているのかもしれない。
「昔からそういうところがありましたからね、お嬢は…。」
次回 第3話 報復
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