第6話
やっぱりというかなんて言うか、第7支部の人間達は身体能力が貧弱だった。
そりゃあそうだ、行動がかなり制限されている訳だし、運動も自由に出来ないのだし。
筋肉が付いてないというより衰えていると考えておくべきだろう。
その為、まずはしっかりと定期的に運動をさせて筋肉をつけながら、その間に食事を取らせ肥えさせる必要がある。
健全に筋肉を付ける為にはやはり食事は必要不可欠。
とはいえここで自分の選んだ人間達だけに食事を多く取らせるとなるとなんて言うかまるで選民的な気もするけれど、しかし彼等はこれからその血肉をこの第7支部に捧げてくれるわけだ。
だから多少は問題ないと思うし、文句は言わせない。
これでまた上級国民共がブーブー言ってくるんだろうなー。
あいつらもう五月蠅いから存在消すべきかな。
具体的に言うと上級国民って概念を消すとか、結構ありかもしれない。
それをやると本格的にあいつ等謀反を起こしそうで面倒臭いので、やるなら一気にやるべきなのは間違いない。
ああ、全くやる事が多過ぎる……
とはいえ、まずは偵察隊の身体を作るのが先決だ。
彼等に頑張って貰って最終的に土地を新たに獲得出来ればいろいろな事が出来るようになる。
つまり今は割と彼等にリソースを沢山注いでも問題ないと思っている。
とはいえ新たに運動を学ばせるためのロボットを作るのは勿体ないので、結局私が出張る事になる。
――そんな事をしてても大丈夫なのかって?
大丈夫だ、問題ない。
既に事務はAIによって半自動的に行われるようになっているし、どうしても私が行わなければならないものはちゃんと終わらせられる程度の余裕は残している。
それに、私もなんだかんだで運動をして身体を動かしたいという気持ちもあった。
やっぱりストレス解消には運動が一番だ。
唯一の不満は、運動をするグラウンドの周囲が情報漏洩防止のために電磁バリアによって見えなくなっているという事。
解放感がまるでない。
でもこれは必要なものだし、私が文句を言っても仕方がない。
てなわけで、まずは彼等を引き連れグラウンドをジョギング。
体力作りは一番重要なものだと思ったから最初に走って貰っている訳だが、流石は引きこもり達。
もやしっ子ばかりで体力がない。
無理しないで、無理なら途中でリタイアして良いから出来るだけ走ってーと言って走って貰ったが、大体500メートルほど走ったところで全員アウト。
早くね?
だけどこれがこの世界の現実というものなのだろう。
もっと体力付けて貰わないと。
その後、一定時間の休憩後、私達はレクリエーションを始める。
やっぱり運動は楽しくやらないとね。
行うのは鬼ごっこ。
また走らせるのかって話だが、一番説明するのが簡単でかつ簡単に出来る遊びで、体力と足腰を鍛えられるものは鬼ごっこが適切だと思ったからだ。
最後に鬼だったのは罰ゲームね。
そう言ったところ、皆本気になって鬼ごっこに興じてくれました。
はっはっは!
頑張れよぉ!
それから30分したころにはみんなばってばてになっていた。
だらしないなー、ほら水分補給しろよー。
最初は私からボトルを受け取る事にビクビクしていた彼等だったが、その時はそんな余裕はなく素直に受け取って貰えた。
そして最後まで鬼だった彼は凄い怯えていた。
罰ゲームが怖いらしい。
なんだかそんな様子を見ていると罰ゲームをさせるのが申し訳なくなってくるが、ここで甘えさせると彼等が私を舐めてくる可能性もあるので、ここは心を鬼にして罰ゲームを執行する。
罰ゲーム、それは荷物の片づけだっ!
具体的に言うとみんなが飲んだ飲み物のボトルとかを回収し、運動服を洗濯室へと持っていく事だ。
疲れた身を動かすのは大変だろう。
終わったらまた冷たい飲み物を持ってきてやるから、頑張れよー。
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