第8話 リサリナ、恋のあと

エリザベス・ガーネットの戦死から数日が経過した。ネメシス帝国の中で彼女の死を最も深く悲しんでいたのは、エリザベスの恋人リサリナ・ノクターンだった。彼女はエリザベスの死を目の当たりにし、その無念さと喪失感に苛まれていた。


「エリザベス…あなたの仇を討つ…」リサリナは静かに誓った。


リサリナは、エリザベスが搭乗していたドラグーンを改修した新型バトルメカ「ナイト・レクイエム」に乗り込み、クリスタルエアへの単独攻撃を決意する。


「リサリナ、無理はしないでくれ。君も命がけなんだ。」ギリサ・ガーネットは彼女を心配するが、リサリナの決意は固かった。


「大丈夫です、ギリサ様。これは私の戦いでもあります。エリザベスのために、私は戦います。」リサリナは微笑んで答える。


「君がそう言うなら、止めはしない。しかし、気をつけてくれ。敵は強大だ。」ギリサはリサリナの肩に手を置いた。


「ありがとうございます。私は必ずエリザベスの仇を討ちます。」リサリナは強い決意を込めて答えた。


クリスタルエアは、リサリナの攻撃を察知し、迎撃準備を整えた。アリス・レインボーと彼女の仲間たちは、リサリナの攻撃に対抗するために出撃する。


「リサリナ、これは無意味な戦いよ。やめて!」アリスはリサリナに通信を送るが、彼女の怒りは収まらない。


「あなたたちがエリザベスを殺したんだ!その報いを受けてもらう!」リサリナは激怒し、攻撃を仕掛ける。


「リサリナ、聞いて!エリザベスは私たちの敵だったけど、彼女も戦士としての誇りを持って戦っていたの。私たちは同じ戦士として、彼女の死を尊重しているわ。」アリスは必死に説得を試みた。


「黙れ!あの人の死を無駄にするわけにはいかない!」リサリナの声は震えていたが、決意は揺るがなかった。


ナイト・レクイエムとガーディアン・フェアリーウィングの激しい戦闘が始まった。リサリナの怒りと憎しみは彼女の戦闘力を極限まで引き上げたが、同時に冷静さを欠いていた。


「リサリナ、やめて!これはエリザベスも望んでいないはず!」アリスは再び説得を試みるが、リサリナの攻撃は止まらない。


「うるさい!エリザベスはあなたたちの手にかかって…」リサリナの声が震えた。


「リサリナ、私たちは同じ戦士として、彼女の死を無駄にしないために戦っているの。あなたも戦士としての誇りを持っているなら、無意味な復讐はやめて!」アリスの声は真剣だった。


「戦士の誇り…?エリザベスを失った私に、そんなものが残っていると思うの?」リサリナは涙を浮かべながら叫んだ。


「エリザベスはあなたを愛していた。その愛を無駄にしないためにも、あなたは生きて戦い続けるべきよ。」アリスの言葉はリサリナの心に響いた。


戦闘は続き、リサリナの怒りはますます激しくなっていった。彼女はエリザベスの仇を討つために全力で戦ったが、次第にナイト・レクイエムの限界が見え始めた。彼女の攻撃が過剰になり、ナイト・レクイエムの制御が効かなくなった。


「もうこれ以上は…」リサリナは息を切らしながら呟いた。


「リサリナ、これで終わりにしよう。無意味な戦いはもうやめて。」アリスは最後の説得を試みた。


「やめるわけにはいかない…エリザベスのために!」リサリナは最後の力を振り絞り、ナイト・レクイエムをガーディアン・フェアリーウィングに突進させた。


リサリナのナイト・レクイエムは、ガーディアン・フェアリーウィングに向かって突進する。しかし、アリスは素早く回避し、反撃のビームキャノンを発射した。ビームがナイト・レクイエムに直撃し、装甲が焼け焦げ、機体が揺れた。


「くっ…こんなところで…!」リサリナは必死に機体を制御しようとするが、ダメージは致命的だった。


「リサリナ、もうやめて!これ以上戦う意味はない!」アリスの叫びも届かない。ナイト・レクイエムは制御不能になり、爆発寸前だった。


「エリザベス…ごめんなさい…」リサリナの涙が零れる中、ナイト・レクイエムは大爆発を起こした。激しい炎と爆風が周囲を包み込み、リサリナの姿はその中に消えていった。


リサリナの死は、ネメシス帝国に新たな悲しみをもたらした。彼女の勇気と愛情は多くの者に感動を与えたが、同時に戦争の残酷さも浮き彫りにした。


「リサリナ…あなたの思いは、無駄にはしない。」ギリサは静かに呟いた。


クリスタルエアでは、アリスがリサリナの死を悼んでいた。


「リサリナ…あなたの愛は本物だった。でも、私たちは戦い続けなければならない。未来のために。」アリスは決意を新たにし、再び戦場へと向かった。


アリスと仲間たちの戦いは続く。彼女たちは未来を守るために、そして愛する者たちのために戦い続けるのだった。

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