第7話 頭のおかしい幼馴染
「ただいま~」
紫苑を家に送り届けて僕はそのまま久しぶりに自宅に帰ってきた。
「お帰りなさい。ちょっと久しぶりね。」
「かもね。母さん元気にしてた?」
「三日でそう変わらないわよ。それよりも珍しいわね。茜ちゃん以外の人と遊ぶなんて。しかも泊りで。」
「まあね。楽しかったよ。」
「ならよかったわ。それよりもあなた茜ちゃんと喧嘩でもしたの?」
「してないよ?なんでいきなり。」
喧嘩なんてしていない。
僕がただ一方的に捨てられただけだ。
彼女は冗談だとか言っていたけど、そんなの到底受け入れられない。
例え彼女が冗談で言った事だとしても僕が傷ついた事実は変わりがない。
だからこそ、僕は茜に同情もしなければ金輪際関わりたいとは思わない。
「そう?ならいいのだけど。最近茜ちゃんの家に行ってないから今度顔を見せに行ってあげなさいよ?」
「それは遠慮しとくよ。ただの幼馴染がいつまでも家に入り浸るのは良くないからな。」
「あれ?あなた達付き合っていなかったかしら?」
「もう別れたよ。」
「なんで!?」
「秘密。そこまで母さんに言う必要はないよ。」
これ以上詮索されたくないため僕はそう言い残して自分の部屋に戻った。
茜は朝が弱くて両親が朝早く家を出てしまうためまともな朝食が食べれないだろうがそんなことはもう僕の知ったことではない。
「明日の弁当は何にしようかな?」
ベッドの上に寝転がりながら明日の弁当の中身について考える。
紫苑は案外子供っぽい食べ物が好きだから唐揚げとかにしようか。
また嬉しそうに食べるんだろうなと考えると顔がにやけてくる。
「なんだか、茜と付き合っていた時より楽しいな。」
思い返してみれば茜と付き合っていた時はずっと尻に敷かれていた気がする。
遊びに行くときは常に僕がお金を出していたし、最近はご飯を作っても何の反応もなかった。
僕が誰かと遊ぼうとすると怒り出すし、その癖自分は他の人とよく遊びに行っていた。
「あれ?本当になんで付き合っていたのだろう?」
昔聞いたことがある。
付き合ってる時は気づかないけどわかれたらなんで付き合っていたのかわからない現象!
「ちょっと寝るか。」
まだ夕方だけど今日はなんだか精神的に疲れた。
主に茜のせいで。
横になってすぐに瞼が重くなってくる。
僕はその重みに逆らわずにそっと目をつむった。
「海星!起きなさい!というかこんな時間にねたら夜寝れなくなるわよ。」
「う、ん?なんだよ母さん。何か用か?」
「あ、そうだった。なんか茜ちゃんが来てるんだけどどうする?」
「あ~彼女の家に泊まってるとでも言っておいて。」
「本当にいいの?なんだか涙目だったけど?」
「いいよ。僕は捨てられた側だからな。」
「???わかったわ。とりあえずそう言っておくわね。」
「ありがとう母さん。」
どうやら関わるなといったのに彼女は関わってくる気満々らしい。
本当に頭がおかしいんじゃないだろうか?
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