とある二人のお話

そらと

第1話

〈Side:A〉


研究室に似つかわしくないオルゴール。


それに気付き、がっかりしたのは翌週の月曜日だった。

そりゃそうだよね…。

私にとっては大切な思い出で

あれから毎日自宅で眺めているというのに。


あの日、ひどく明るい彼に違和感を覚え飲みに誘い、白状させたのだった。

「…彼女にフラれたんだ…」


「じゃあ、明日、ドライブに連れて行って!暇でしょ?」

そうやって約束を取りつけ、勢いで一緒に買い求めたオルゴールだった。


少しでも頭を空っぽにしてあげたかった。

…楽しかったな。



〈Side:B〉


結婚…ね…。

しかも秋が深まる頃には彼女はママになるらしい。

数ヶ月前に共通の友人からそう聞かされた。


彼女と出逢った事に後悔はない。

今はただ幸せになってほしいと願う。

全ての事において、意味のない事なんてない。


そう。

少し前に気付いたんだ。


まず真っ赤な顔をするだろうか。

その後は…


「ねぇ、妖怪ほこり払い小僧がいるみたい。知ってる?」


「小僧って!」


きっとその後は

大好きな笑顔だ。

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