第20話 悪徳浮気仲介業者豚野郎



 爆弾魔をローラーで炙り出さなければならないし、ロロナの攻略フラグを回収した場所をぐるりとして本人を捕まえなければならない。


 学校があるというのに放課後の予定がギュウギュウである。


「逃げるな」


「「「ぎゃああああああ!」」」


 とりあえず、処すルーレットで出たユガ・パープル──薬を生徒にばら撒くチンピラのリーダーを取り巻きごと始末すると、強制労働されてたぽい薬物中毒者たちに『大回復』をかける。

 俺がここで暴虐を行った口止めみたいなものだ。

 薬物を乱用する程度には荒んだ人間どもなので、放っておいたら「豚野郎、悪評広められたくなかったらわかるよね」とかしかねないからな。

 流石に薬物中毒から解放すれば、悪いようにはせんだろ。


「ありがとうございます。スラン様。あなたのことを誤解していました。あなた様は地獄に現れた希望です」


「気にするな。貴様にはこの場で俺がした事を口外しなければいい」


 俺にヘイコラし始めた中毒者の一人に口止めを要求をすると空を飛んで、ロロナのイベントフラグが立つコロシアムに向かっていく。

 確か主人公が金を稼ぐために剣闘士側で参加するとロロナが声を掛けてきたはずだ。

 そのまま主人公とムーブを被せても、「前爆弾魔と一芝居打って殺そうとした奴がおるやんけ!」で普通に逃げられる可能性が高いので、ロロナと同じ見る側から接触を試みたいと思う。

 賭けに熱狂するタイプの奴だから割と近づいてもバレない可能性も多そうだしな。


 本当なら掛け券を買って中に入らねばならないが、空振りになる可能性もあるので、『飛行』で上から侵入していく。


 周りを確認しながら降りて行くが姿が見当たらない。

 イベント初の時は必ずここにいるはずだがいないな。

 昨日稼ぎすぎて、当分は賭けはしなくていいという感じか、あるいはこっちを警戒して雲隠れしているか。


「スラン! 何を企んでいる!?」


 そう思案すると、近くから聞き覚えのある声が聞こえた。

 イクスだ。

 何故こんなところにこいつはいるんだろうか。


「騒ぐのではありません。あれは味方です」


「グア」


 そう思い見ていると隣にいたワンピースの女──私服姿のシアが命令してイクスが苦悶の声を上げた。

 ひぇ、きっちり奴隷にされとる。


「何をされているのですか、このようなところで?シア様」


「いえ、あなたが確保した救世主がどれだけの実力があるのか確かめたかったので腕自慢が多いここに足を運んだんです。ふむ、野蛮ですが質は悪く無いようですね」


 同じ条件とはいえ、救世主だというのに村で金星あげただけの俺に負けたからな。

 本当に預言とかにあるような強いのか、疑問視したくなる気持ちは分からんでも無い。

 でもコロシアムで腕試しするのは今のイクスではきついだろ。

 割とエンドコンテンツ気味なので勝ててもロロナイベントが発生する第一試合勝利までだろう。

 ちなみに優勝すると決勝で戦う剣闘王というムチムチアマゾネスをグヘヘへできるということで、俺はイクスが成長しきった状態でクソほど時間を掛けてクリアした。


「私の目から見て猛者ばかりなので第一試合勝てるだけでもかなりの実力と思っていいでしょう。観客を巻き込まないためにイクスは極大魔法が封じられますし」


「そうですか。では第一試合を勝利を及第点として、勝てなければ戦力増強のためにも猛特訓してもらいましょうか」


「勝手に話を進めるな!俺は参加するとは」


「黙りなさい」


「グア」


 イクスがシアに反抗するとペナルティを喰らい苦悶の声を上げる。


「おのれ、スラン!」


 大変だなあと思うと何故か俺にヘイトが向かう。

 奴隷落ちの発端としては確かに俺だけど、シアの凶行を俺のせいにするのは理不尽ですよ。


「へえ盛り上がってるね」


「エーデ、だから言ったじゃん。学校の決闘くらいコロシアムも面白いって」


「ロロナ、あんたは賭けに引きずり込みたいがために嘘ついてるようにしか見えないのよ。日頃の行いがゴミすぎるんだから悔い改めなさいよ」


「ルリアさんそうかっかせず」


「ふん。聖女様のいう通りだ。お前も日頃の行いを悔い改めるべきだ」


「いえヒビキさんそこまでは」


 俺が内心でイクスに突っ込んでいると見たことのある一団が入ってきた。

 イクスのヒロインたちだ。

 ロロナがいないと思ったら趣味の賭けにヒロインたちを引き摺り込むために口説いていたせいだったようだ。

 歩いている途中で俺の視線に気づいたようで、ロロナはヒラヒラと手を振ってくる。

 まだバレてないと思っているようで愛想を振り撒いてますね。

 かわいいですね。

 警戒していないうちに手を出したいですが、周りにヒロインがいるし手が出せんな。

 手出せばヒロインたちからしたら、いきなり俺が手を出したようにしか見えんからな。

 理由を話すにしても俺よりロロナの方を信じるだろうしな。

 ここは絶好のチャンスを見送るようで歯がゆいが見逃すしか無いか。


「ちょっとイクス!? 誰よ、その女!!」


 ロロナをヤれるかどうか考えているとルリアが絶叫した。

 なんだなんだと思うとイクスとイクスの隣にいるシアの姿を見て納得した。

 告白はされていないがほぼ彼氏の男と見知らぬ女。

 彼女面したヒロインたちにとっては浮気現場である。


「私は第二王女シア・スタインです。イクスは私の彼氏です」


「「「えーーー!?」」」


 弁解するかと思ったらまさかの彼女宣言をし始めたシアに彼女面たちが驚愕する。

 ご乱心ですか、陛下。


「どう言うことよ、イクス!? 豚もいるし。なんなのよこれ!?」


 ルシアが豚野郎について言及したことで怒りの目が俺にも向けられる。

 まずいですよ。

 俺は全くの無罪だと言うのに。

 豚野郎には横恋慕して嫌がらせをした前科があるので、ヒロインたちとイクスの仲を引き裂くために浮気の仲介をしたとかおもわれかねん。

 とりあえずは俺は浮気とは全く関係ありませんアピールをするしか無い。


「見損なったぞイクス! それが貴様のやり方か!」


 俺も初見でびっくりですよアピールをすると怒りの目がイクスに戻った。

 あ、危ねえ。

 イクスをサクリファイスしてなんとか助かった。


「おま!? ちが、俺は──」


「「「サイテー!!」」」


「グアアアアアア!」


 怒りの矛先をイクスに定めたヒロインたちによって平手打ちが炸裂するとイクスが地に伏した。


  ────


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