元学校警察だが今は裏社会から治安維持をする〜事件解決に手段は問わない⁉〜

華灯 燈也

第1話 去りすぎていくモノと前から近づいてくるモノ

―ドッサ

人が倒れる音がする。そして倒したと思われる青年が後ろを振り向く。そこには犬耳がついた青年と同年代くらいの女性が立っていた。二人は学察と白く太く書かれたベストを着ていた。「学察」とは「学校警察隊」の省略であり約十年前に政府が設置した組織群である。学札になる方法は簡単で「能力者」かそれに近い力を持った一般人の学生が学察の置かれた学校に通学するだけでなれる。任務は夜間パトロールや事件解決など警察と似たようなことをしている。しかし警察より圧倒的数が多いのが特徴である。


「先輩。早いですよ。狼のスピードに何で勝てるんですか。」


と女性が青年に話す。どうやら女性は狼の能力を持っていて、そこから頭の耳は犬ではなく狼であることが言える。その言葉を聞き青年は立ち上がり女性に向けて話す。


「そうしないと早期解決じゃないだろ。」


青年は当たり前のように話しながら男を担ぎ上げる。そして大道理から撤退していくように歩き出す。そしてその後ろを女性は追いかける。数分沈黙が続いたが女性が話し始める。


おおとり先輩。本当に学察を辞めるんですか?」


青年に向けてそう問いかける。「鳳」それが彼の名だろう。青年は反応を見せ話し始める。


「あぁ。今日で辞める。引き継ぎしてあるから。明日から頑張ってね。」


女性に向けてそう伝える。鳳に聞きたいことがたくさんあるような顔をして居たが質問をやめ歩き続ける。5分くらいして警察署につき先ほど倒したのもを引き渡し手続きをして二人は別れ各々帰宅していくのであった。鳳は警察署から出た時何人かの警察官と話した。どんな内容かと言うと、


「炎君学察辞めるの?なんかあった?」

「鳳くん。お疲れ様でした。」


などなどそういう事を話した。鳳 炎は質問を幾つか答えそのまま家に帰るのであった。

 家の中は大体の家電が段ボールに詰められていた。そして部屋には男性二人、女性一人いるのであった。炎が部屋に入ると3人は「お疲れ」と声をかる。四人は軽く談笑し話を始めるのであった。


「まず渡すものがある。リツ、四禮しれい琴崎ことざき先輩。これを」


そう言いながら炎はカードを3人の前に出す。4枚のカードそれぞれ名前が書いており

「リツ」「臥龍岡ながおか 四禮しれい」「琴崎ことざき 穂夏ほなつ」「おおとり ほむら」と名前とIDが書かれていた。3人は炎からカードを受け取り財布などにいれるのであった。炎はカードの詳しい使い方を詳しく話し切りの良いところで辞める。炎は時計を見て時間を確認し話す。


「じゃあ行くか。四禮ちょっと荷物よろしく。先輩はクルマをお願いします」


「分かった。準備してるね。リツ行ける?」


炎の話を聞き穂夏とリツは駐車場に向けて歩き始める。そして部屋の中では台車に段ボールが積み上げられ外に運び出せる状態になっていた。炎と四禮は荷物を外に運び出しクルマ…黒いワンボックスカーが止まっており前フロントとサイド以外は見えない仕組みになっていた。


「にしても、ガッツリ警備だな(笑)。何も見えねえ。後、防弾だろ?これ。」


四禮は後ろの窓を覗きながらそう話す。そして、その話を聞いてリヤの扉を開け荷物を入れながら説明する。


「んなもん、仕方ねえだろ。これからは表立ちしない。つまり学察に目をつけられる可能性がある。その場合見られないほうがマシだろ。」


「しかし、成績トップのお前がよくこんな事しだしたな。学察の優秀生徒が裏社会入り。絶対に潰すな、この事を。あの学園ならやりそうだな。」


四禮も段ボールを中に入れながら話す。何分か経ち荷物が全て入れ終わった時入口に行き炎は管理人と話す。炎は本来は明るい時間帯に移動することを考えていたが、嗅ぎつけられると困るため無理を言ってこの時間に退去することにしたのだ。そのためか結構頭を下げておりそれを見た四禮、リツ、穂夏は笑いながら見ているが炎が着たら笑うのをやめ静かになり緊張感が走る。炎が助手席に座るとクルマはすぐに走り出し事前に入れたナビの下穂夏が走らせるのであった。


「なぁ、炎。約束覚えているよね?」


「なんだリツ?炎となんか内緒の約束してるのか。俺にも教えろ。」


リツが話したことに四禮は食いつきリツのことを質問攻めにする。それを前の炎と穂夏は笑っているのであった。そして、これ以上収集がつかなくなるとやばいので炎はリツの話に返答する。


「満足言ってくれるかわからんが、それなりにいい部屋と機械は揃えたぞ。」


リツはそれを聞き四禮との取っ組み合いをやめ目を輝かせる。そして、それを見た四禮は「オタクやな〜」と言いまた取っ組み合いが始まるのであった。

 夜の街の車が少ない大通り…先程まで学察として活動していた場所を一般人として通る炎であった。なんとも不思議な感じがし立場が変わり自分の知っている事が過ぎ去っていくように感じたと思うのであった。そんな思いの裏腹に穂夏の運転するクルマは軽快に進むのであった。

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