【駅チカ】シェアハウス/賃料 ¥19,000 ~ ¥40,000/ 月 共益費 ¥10,000【空室アリ】女性専用 ※年齢制限あり
@HoldTabDownTurn
プロローグ
はぁ、はぁ、はぁ
恐怖で浅くなった呼吸のせいで苦しくて口を開いた。
彼女は数時間前までシェアメイトと話していたリビングルームのドアを見た。今は誰もいない。静まり返った空間があるだけだ。
――幽霊には塩とか酒とか? でもキッチンに入らないとそんなの無いし
深夜、ふと目が覚めて喉が渇いたので清涼飲料水でも飲もう、と階下に降りてきただけなのに、と頭を抱えながら思う。
階段を降り、細い廊下を通ってキッチンのドアを開けただけだ。
それなのにそこにいた白い
数日前からシェアハウスのあちこちで白い人影を見かけたような気がしていた。シェアメイトたちに見かけた者がいないかどうか聞いてみたが、誰もが知らないと答えていた。
――もしかしたら、目の錯覚かも。
そっと両手を頭から外し、周囲の様子を窺う。何の音もしない。
大声を上げて助けを呼べば1階と2階のシェアメイトたちを起こすことができるかもしれない。いや、クリエイターと呼ばれる職種の多い彼女たちであれば閉ざされたドアの向こうでまだ起きているのではないだろうか。もし目の錯覚であったとしても、笑って許してもらえる。
――でも、もしアイツが本当にいて、聞きつけられたら?
カチャ、と頭上で微かな音がした。背中が押される。誰かがキッチンの中からドアを押している。背筋が縮み上がったような気がしてドアを抑える背に力を込める。すぐそばにあるドアには「10D」と表示がある。この部屋の住人、
確かに硬いものを蹴った感触と反動はあったが、音がしない。もう一度蹴る。音がしない。
「ねえ! 起きてよ! 起きろ! アイ!」
彼女はついに大声を出した。後ろから押される力が大きくなるのを感じた。
「誰か! 清水さぁん!」
「ねぇ! なんで誰も起きてこないのよォ!」
ズ、ズズ、、と尻が床を滑る。背中で押さえつけているドアが徐々に押し開けられていく。
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