第43話 ミリアの屋敷に帰宅して、翌日一人で町の散策に出てみた。

「本来ならば、授与式を開き渡すのですが……」


「いや……恥ずかしいので遠慮しておきます」


「そうですか。では、ここでお渡しをしておきます」


 

認定証を受け取ると、話が一段落して雑談を少しして終わった。


 

ミリアの屋敷にやっと帰って休めるな……今日は色々とあって少し疲れたなぁ。


馬車に乗り、王城を出てミリアの屋敷に向かい帰宅をする事になった。

 

 

馬車に乗って今日は、ミリアの久し振りの膝枕をしてもらうと、ミリアが満面の笑みを浮かべ、頭を撫でてくれると直ぐに屋敷に着いてしまった。


 

「もう着いたのですか?良いところでしたのに……もぉ!気を利かせて遠回りして欲しかったですわっ」


「じゃあ……続きはソファーですれば良いんじゃないの?」


「わぁ♡ 良いのですか?」


 

いやいや……逆に俺も癒やされたいし、甘えたいし……お願いをしたいくらいだよ。


 

「うん。頼むよ」


「わぁ……♡ はい!お願いしますわっ」


 

馬車を降りて、リビングにあったソファーでミリアの膝枕で休んでいると紅茶とお菓子が用意された。

 

ん?あれ?いつもより護衛やメイドさんから歓迎をされてる感じがするな……なんというかミリアとイチャイチャしてると嫌そうな視線を感じるんだけど。今日は、その視線を感じるどころか歓迎をされてる感じだなぁ……


 

「ユウヤ様どうですか?寛げています?」


「うん。ミリアの膝は柔らかいし、良い匂いで癒やされてるよ」


「わぁ♡ 良かったですわ。わたしも……癒やされていますわ」


「ミリアも?」


「はいっ♡ ユウヤ様の頭を膝に乗せて頂いて頭を撫でさせてもらって癒やされていますわ……幸せですわっ♪」


「久し振りのミリアのお腹が柔らかくて良い匂いがして最高だね」


「それは、イヤですわ……太っているみたいな言い方ですわね……」


「柔らかくて、女の子って感じの柔らかさって事なんだけど」


「はい。それでしたら嬉しいですわ♪」


 

ご機嫌そうなミリアになった。


 

「はぁ……ユウヤ様が戻ってきて安心しましたわ」


「そうなの?」


「そうなのですっ!もぉ。人の話を聞かないで出て行ってしまわれて、ずっと泣いてましたのよ……」


 

周りの護衛や使用人達が頷いていた。昨日は泣き疲れて寝ちゃってたしなぁ。


 

「誤解だって説明されて分かったってば~」


「はい。誤解が解けて良かったですわ。本気で出ていかれるつもりだったのですか?」


「まぁ~ショックだったし森や山でしばらく生活してみようかなって思ってたね。それで他の国や町を見て回るのも面白いかなって……」


「はぁ……危なかったですわ。ヒドイですわっ!」


「ヒドイってその原因を作ったのは誰だっけ?」


「……わたしです」


「何の相談もないし。他の場所では婚約者って発表してるのに、この国の仲の良い王子には友達として紹介するから隠しておきたい関係なのかと思うでしょ。散々、ミリアム王子と仲の良いって事を聞かされてたし」


「本当にすみませんでした」


「もう分かったって」


「では、婚約の破棄も正式に取り消して頂けますか?」


「うぅ~ん……どうしようかな~」


「……えっ?」


 

ミリアの顔が少し青ざめて、不安そうな表情になり周りの使用人も不安そうな表情になった。


おいおい……周りの使用人達は反対じゃなかったの?嫌そうにしていたのに。


 

「取り消しするって。じゃなきゃ、ここに一緒に居ないって……膝枕までしてもらってるんだよ?それで婚約破棄ってありえないでしょ」


「そ、そうですわよね……心臓に悪いですわよ……ドキッ!っと、してしまいましたわ……ユウヤ様……大好きですわ」


「俺も大好きだよ」


「はぅ……♡ ユウヤ様」


 

ミリアの膝で寝ている俺を、ミリアが抱き締めてきて、胸が当たっているのですが……ミリアさん。


ぷにゅっとした感触がして、柔らかくて……良い匂いで心地良いね。


 

周りも一安心して、ホッとした表情になった。


 

夕食の準備が始まり豪華な食事を食べ終わり、ミリアがお風呂へ向かったので部屋に戻って、ベッドに横になっていたら、いつの間にか眠っていて朝になっていた。


 

 

翌朝……


 

あれ?もう朝になってる……寝ちゃったのか。


リビングに入ると、いつものようにミリアがリビングでお茶を飲んで目が合うと、満面の笑みで挨拶をしてきた。


 

「おはようございます。ユウヤ様」


「おはよ~」


「昨日は、お休みの挨拶に向かったのですが……お休みになられていました……」


「そうだね。夕食を食べて、そのまま寝ちゃったみたいだね」


「もう少しお話がしたかったですわ」


「これから、ずっと一緒に居るんだから時間もあるし、いっぱい話ができるでしょ」


「そうですわね」


「ここにも、しばらく滞在しないとだしね」


「あっ!お店の件ですわね」


「そうそう……いつになるんだろうね?」


「国王が自分で言いだした事ですし、すぐに連絡は来ると思いますよ」


 

朝食を食べて……こっそりと屋敷を抜け出して、町の散策に出掛けてきた。ミリアが一緒だと護衛とか大事になっちゃうし……

 

一人で町をブラブラと歩いていると、人相の悪い人達に追われている同じ歳くらいの娘がいた。


どこの町にも悪そうなヤツは居るんだなぁ……助けた方が良いよな?明らかに悪党に追われているっぽいし……


 

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