第32話 盗賊に捕まった女性を助け町に送り届けると、自分が警備兵に捕まってしまった。
翌朝……
うぅ~ん……はぁ……良い朝だっ!さぁーて朝食にするかー。ちょっとおしゃれな朝食にしてみるかなぁ……
自分の好きな朝食を出した。
ガーリックオイルを塗ったフランスパンにコーンスープ、サラダをだした。
うわ。久し振りに元の世界の食事を食べれたな。って言っても、こんな朝食は前世で食べたこと無いんだけどなぁ……。友人とファミレスで友達と同じメニューを頼んだら出てきて食べて美味しくて、おしゃれだと思って出してみた。
明日は、和食で味噌汁に納豆に漬物ってのも良いかもな。昼はラーメンってのもありだな。これで毎日の楽しみが出来たな~マジで楽しみ!
朝食を食べ終えると、のんびりと寛いでからテントを片付け、しばらく歩いていると森を抜けてしまい山に戻ってきた。あれ?迷子になってたら元の場所に戻ってきちゃったよ……
山の下の方から人の話し声が聞こえてきたので、係わらないようにして違う方向へ歩き出すと、女性の悲鳴が聞こえてきたので戻った。……声がした方を見つからないように良く観察すると盗賊が10人で捕まった女性が3人を確認できた。
はぁ……ホントに良く盗賊に会うなぁ……面倒だけど困っている人は放っておけないよな。
女性を助ける為に、怪しまれない様に普通の冒険者の格好で歩いて、盗賊の方に近づいて歩くと盗賊の方から声を掛けてきた。
「おい!貴様、何者だ!」
「いや……ただの冒険者ですけど?モンスターを討伐に来ていて、帰る途中なんですけど。なにか?」
「助けて!!」
バシンッ!!
「黙ってろ……クソっ!」
声を掛けてきた女性が殴られ口から血が垂れた。
うわ。ヒドっ……女性に、それはナシでしょ。
女性3人にバリアを張って、帯剣していた剣を抜くと襲いかかってくる盗賊をイライラもあって軽々と剣ごと斬り、盗賊の討伐が一瞬で完了した。
あ、これまでイライラして、モンスターと戦ってストレス解消してスッキリしてたけど、盗賊が絡んできて女性を殴るし、またイライラして……つい一振りで加減が出来ずに勢い余って、バリアも使っちゃって10人も斬っちゃったか。まあ……女の子を殴る悪党だし別に良いか。
3人ともケガをしていたので、3人に治癒薬と体力回復薬を飲ませた。
「助かりました……」
「通り掛かっただけですので気にしないでください」
さ、帰ろっと……帰る場所がないか……森に戻るか。
「町まで帰るのですよね?一緒にお願いします」
えぇ?帰る途中って言っちゃってるし……向かっている方角はミリアと来た町じゃん……うわ……行きたくないけど町まで帰らないとじゃん。途中で、また盗賊に拐われても困るし、モンスターに襲われても困るし仕方ないか……
町まで一緒に入り、送り届けたので町を出る時に兵士に捕まってしまうと、人相書きを持っていて人相書きと比べられた。
おいおい……またかよ。今回も、何も悪い事はしてないんだけど?
「あの……何の用ですか?」
「この者を捕らえよと言われていてな。悪いが来てもらうぞ」
はぁ?また人相書きですか?俺を探してるのか?ちゃんと別れるって言ったのに。
「はぁ……お断りします」
「お前はバカか?……断れる訳が無いだろ!」
うぅ〜ん……面倒だし強引に脱出するか?
「何も悪い事は、していないですけど?この王国では、こんな事をするんですか?」
「上からの命令なので、仕方無いだろ……」
ミリアと俺のケンカに無関係の人を巻き込むのも可哀想だしな……上からの命令に従っているだけだしな。
「そうですか……分かりましたよ……」
「悪いな……協力してくれ」
「良くあるんですか?」
「無いな。初めてだと思うぞ。罪状ナシで捕らえよとの命令はな」
警備兵の詰め所に連れてこられ……毎度の牢屋に入れられた。
うん。こうなるのは知ってた。
牢屋の端っこで寝転がっていると、退屈で寝てしまった。
「ユウヤ様ぁ……ユウヤ様ぁ……大丈夫ですか?具合でも悪いのですか……?」
泣き疲れた顔で、まだ泣いているミリアの顔が目の前にありミリアの膝の上に頭を乗せられていた。どちらかと言うとミリアの方が具合が悪そうだけど?寝起きでボーっとしていたが、我に返った。
うわぁ。気不味いんですけど……
「あ、あぁ、大丈夫……。もう開放してくれないか?俺は悪い事はしてないのに、また捕まったんだけど?」
「は、はい……ですが……わたしも、ご一緒いたします」
「いや……山の中に入るんだけど?」
「はい……どこでも、ご一緒いたしますわ……」
ミリアが俺を泣き顔で見つめてきて、決心をした表情をした。
いや。サバイバル生活だし、モンスターの討伐を気楽に過ごしたいんだけど。そんな暮らしを俺としてるよりも、イケメン王子と楽しく豪華な暮らしをして過ごせば良いだろ?
「ここの王子と仲良くして過ごしてれば良いだろ……」
「ご不快な思いをさせて、すみませんでした……」
「もう別に良いって……友達なんだから関係ないって」
泣き止んでいたミリアが再び泣き出した。
「ううぅ……違うんです。婚約をしたのをサプライズしようと思っていまして……友達として紹介をしてしまったのです……」
「別に良いって……もう。俺は平民として生きる事にした……お前も好きに生きれば良いよ」
「はい。そうします……好きにさせて頂きますので……ご一緒します!」
「はぁ……」
俺が溜息を付いて困っている所に、今度はミリアム王子も警備隊の詰め所にやって来たみたいだ。
「無事にユウヤ様を保護をしたのか!?」
「は、はい!」
いや。そこは「はい」じゃ無いだろ!保護じゃなくて「捕らえて投獄をしました」だろ。まったく……どこの王国でも命令がちゃんと伝わっていなくて困るよな。
「それで……どちらに、いらっしゃるのだ?」
「…………」
扉の向こうで、ミリアム王子の質問に答えられずに困ってる兵士の様子は見ないでも分かる。 牢屋へ続く扉が開くと当然、兵士が怒られていた。
「なんて事をしているのだ!保護をしろと命令をしたはずだが?」
「隊長から、捕らえよと命令をされたので……すみません」
「でも、まぁ……良い……無事に見つかって良かった」
イケメン王子が、近づいてきて自己紹介をしてきた。
「私はファンベル王国のミリアムです。よろしくお願いします」
「俺はミリアの友人で平民のユウヤです」
モヤモヤ中だった俺は、嫌味っぽく言った。
するとミリアが、目を潤ませて慌てて俺の言った事の訂正をミリアム王子にした。
「ち、違いますわ!ユウヤ様は友人ではなく、わたしの……大切な婚約者ですわ」
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