第265話 第九試合 エレア対ジュリア
難産……。お待たせしました。
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コルハとファルフィによる壮絶な戦いに興奮冷めやらぬ中、舞台に現れたのは今大会特に注目されている二人。……決勝や準決勝でこそ相見えるべき二人だ。
だがそんな事は当人達には関係無い。ただ勝ち上がる為に目の前の相手を下すのみ。それが例え幼馴染だろうと、同じ男を好いた者だろうと、強さの証明の為にここに居る二人には些事でしか無い。
黒く艶やかな髪が良く映える白を基調にした布がはためく装備を見に纏い、一本の青い剣をシャラリと引き抜いたエレア。顔には既に楽しそうな笑みが浮かんでおり、やる気満々な様子だ。
対するジュリアは魔法使い然とした装い。金色の長い髪と深緑色のローブが揺らめかせ悠然と佇む。手には長い棒状のロッドと一尺程の長さのワンド。ロッドの方には黄色と緑の魔石が、ワンドには赤と青の魔石が嵌め込まれており、四属性を満遍なく使う事がそれだけで見て取れる。
そんなジュリアの表情は少しばかりの苦笑い。今大会最も当たりたくなかった相手が初戦の相手が故だろう。
「ジュリアちゃん、本気で行くからね」
「……そうですね。私もそろそろエレアを下しておきたかったので丁度良いです」
「言ってくれるねー! ……でもごめん。アッシュが見てる前で私…………負けらんないよ」
「それはこちらとて同じです。彼にも、貴方にも、私の実力を教えてあげましょう……」
二人の纏う空気がガラッと変わる。
エレアは腰を深く落とし、ジュリアから剣を隠す様に半身で後方に剣を構える。
ジュリアはワンドの先をエレアに向け、ロッドは少し浮かせるのみ。
そしてエレアの左耳に揺れる青紫の耳飾り。ジュリアの左中指に光る紫色の指輪。両者共に強い想いを持ってこの場に臨んでいる。
それも相まってか高まる緊張感。死闘が始まるのかと思う程にひりつく空気。審判として間に立つシャリアですら身震いしそうになる程の圧迫感が場を支配する。
やがて闘技場全体が息を呑む音さえ響きそうな程に静寂に満たされた頃、戦いの開始を告げる言葉と共にエレアが動く。
それは二倍圧縮精密身体強化による超加速。蹴り出した地面が軽く割れる程の脚力で飛び出したエレアは最速でジュリアの眼前に現れ剣を振り抜かんとする。
瞬間響く「トンっ」という音。
その音はジュリアの持つロッドが地面に突き立てられた音。同時にエレアの前では無く後ろ、後方に構えられた剣の上下、行く先を阻むべく伸びた土の柱が、一手でエレアの剣士としての行動を完璧に阻害した。
剣は止まって振る必要がある。地を踏み締め、腰を入れ、刃を立たせなければならない。それを理解しての一手。
その事実を魔力の動きで察知したエレアはさらに一歩踏み込み、左手を剣から離して拳を握る。踏み込んだ衝撃を足から腰、胸、腕へと伝えて拳を打ち出す。
それを見越していたのかジュリアもまた二倍圧縮精密身体強化で動きを素早くし、一歩足を引いてそれを避ける。
そしてロッドから手を離しエレアの腕に手を添えて手首を掴み、ワンドを持った腕でエレアの肘を押し上げ拳の直線上にそのままエレアを投げてしまった。
相手の力を利用して投げる技。明確な体術。ジュリアは接近戦について学んでいた。
圧倒的な速度で迫られた場合に何も出来ないのでは、きっと足手纏いになる。アッシュのだけじゃ無い、タイアに置いてもだ。故に応戦では無く受け流す方向での技術を学んだジュリアはエレアに決定的な隙を作り出す事に成功した。
倒れる前のロッドを素早く掴み、ワンドで炎を小さく圧縮した幾つもの弾丸を空中のエレアに向けて放つ。それは並の魔物なら一撃で屠る威力を持つ小さな火の玉。
それを空中と言う不安定な場で、それも投げ飛ばされた状態で捌く必要があるエレアだが、彼女は目を閉じて水を纏った剣を振るう。
目を閉じたにも関わらず正確に魔法を斬る——自分に当たると思われる魔法だけを。それをやってのける直感力と感覚を己が者にしているが故の離れ業。
安全を確保し体勢を整えて危なげなく着地したエレアは、今度は下段では無く中段に構えてジュリアと相対する。
「この程度では足りませんよね」
「ジュリアちゃんだって」
攻守は入れ替わりジュリアからの攻撃。ワンドの赤い魔石が輝き、ロッドの緑の魔石が輝く。
火焔放射器の様な勢いの炎と、それを押し流し更に煽る強い風が二つの杖から同時に放たれる。
火の津波が押し寄せる中をエレアは、水と闇を身に纏う事で火の温度を下げ消火し乗り切る。
がしかし、ジュリアの攻撃は止まらない。
今度は水と土を混ぜ合わせ泥を生み出し左右から襲い掛かる。
前からは火が、左右からは泥が、上に飛ぶのはさっきの焼き回し。ならば後方に低く跳ぶしか無い。
エレアの思考と直感が同時にその結論を導き出し、即座に行動に移す。
「こう言うのを誘導、或いは強制と言うのですよ。『
瞬間ロッドから放たれる大きな風の刃。ヒュドラの首を斬り落とした時と似たサイズ。尋常では無い攻撃。
エレアの【超直感】が警告を告げる。技を前に放てと叫ぶ。
前は泥の壁で見えない。跳んだ瞬間の事でまたしても足が地につかない。それでも対抗する為に水を圧縮して剣に纏わせ、腕の力だけで剣を振るって斬撃にして放つ。
「
出させられた技だが、警告は止んだ。相殺には成功したと見て直ぐに行動を起こす。このまま手数で押し切られるのが最もまずいからだ。
前方の火は止んだが泥はその場に残って火で焼き固められてしまい大きな障害物となっている。予想を裏切る為にあえてこの障害物を壊しての前進を選択したエレアは剣を振る————のを辞めて咄嗟に地に這いつくばる。
地面に伏すと同時、頭上を飛んで行ったのはジュリアの風刃。
エレアの思考が読まれている。それも完璧に。導くかの様に動かされたエレアの行く先には確実にジュリアの魔法が飛んでくる。
エレアの額に冷や汗が滲む。
直感や反射反応の次元じゃ無い。そも全ての行動が裏目に出ている……出させられている。
「貴方は分かり易いんですよ。アッシュ君しか頭に無い馬鹿。向かってくるもの全て叩き伏せれば良いと思っているでしょう? そんなのだから彼に及ばないのです。いいえ……私にも及ばないのですよ」
挑発自体は悪い行いでは無い。そもその程度で乱される精神が未熟と言うだけの事。
ジュリアはそれを狙ってエレアに揺さぶりを掛けた。より思考を短絡的にさせる事で、より誘導しやすくし、そして何もさせずに叩きのめす。
————その予定だった。
エレアから膨れ上がる怒気。自覚があるが故の怒り。
ムカっ腹の立ったエレアは戦いにそれを向けるのでは無く、言葉に言葉で返す事にした。
「アッシュ依存はそっちだって同じじゃんか。普段は首から下げてる指輪、ここぞとばかりに指につけちゃってさぁ? アッシュに頼まれて作りだした風刃もお気に入りだもんね!? そのお気に入りもなんだかんだ私には届いてないけどっ!」
それがジュリアにクリーンヒットしてしまった。
揺らめく感情。口の端が引きつる。こちらもこちらでしっかりと自覚はあった。それ故に感情を逆撫でされた気分になる。
たった一往復の挑発だけで、二人のメンタルが大きく揺らいだ。それに伴い魔力が制御を離れ少し漏れ出す。それだけで闘技場の空気が冷え込んでいく気がした。
泥の障害物はエレアが水を纏わせた剣を横にひと薙ぎするだけで、大きな水の刃がそれを薙ぎ払った。
ジュリアはワンドを空へ向け、ロッド地に強く打ち付ける。それにより生まれた数多の火と水と土と風の『精霊の依代』。数十はあるそれらが全てエレアに向けて魔法を放たんと意識を向ける。
「今日という今日は許しませんからね……エレアッ!!」
「やれるもんならやってみなよ! ジュリアッ!!」
そこから先は乙女の喧嘩……というには激し過ぎる戦いが繰り広げられた。
ジュリア達から数多放たれる魔法の全てをエレアはその身一つで避け、躱し、切り裂いて掻い潜る。
掻い潜った先に掘られた小さな穴。それに意識を一瞬飛ばした隙に放たれる無色透明不可視の刃。
それを意趣返しなのか水の刃で正面から叩き伏せ、バランスを崩してなお更に水の刃を放つ事でジュリアに防衛に意識を割かせ、その隙にエレアが体勢を立て直す。
時折自爆特攻をしてくる火の玉や風の玉をやはり切り伏せ、泥臭く転びながらも前進し続けジュリアに肉薄する————
「貰った!! 後で話し合いだからね!!」
「甘いんですよこの馬鹿っ!!」
————が、あと一歩の距離、そこで光が炸裂する。
四属性しか使っていないだけでジュリアは光も闇もきちんと使える。なら何故使わなかったのか。……こういう場面で意識と思考の隙を突いて特大の隙を生む為だ。
視界が無くとも正確に剣を振れるエレアでも、視界を潰されたショックの中では振るえない。
ジュリアは閃光を放ちながらもしっかりと目を閉じており、そして同時に跳び退き、土の依代達にエレアを捕らえに掛からせる。
それに気付いて倒しにかかるエレアの頭上に展開するのは風の塊。
今大会では強烈な風魔法が沢山見られた。だが総じて規模が大きく、対群への攻撃に特化している。
だからそれをより圧縮、凝縮する事で、対個への攻撃へと作り直す。
それはまるで地に突き立つ風の牙、故に——
「『
土の依代に集られていたエレアに【超直感】は幾つもの情報を伝えるのみで、それを捌くのはエレアの力量と技量次第。
今回も告げてはいた。頭上から来ると。恐ろしい攻撃が来るぞと告げていたが自立して動く土の依代は想像以上に厄介かつ、強固に作られていた。
————負ける。このままではアッシュ以外に、負ける。
「それは……嫌だあああッ!!」
膨れ上がった魔力が途端、圧縮された。密度にして通常の三倍。
身体強化も、水も闇も、己に使用していた魔力を瞬間的に三倍にまで圧縮して見せたエレアは、跳ね上がった身体能力と魔法強度で以て、依代も牙も、ジュリアの放った魔法の全てを叩き伏せて見せた。
「ここぞという時ばかり!! ……私だって!! 貴方に負けてばかりじゃいられないんですよッ!!」
風で出来たのならそれ以外でだって牙と成る!
ジュリアは四属性の柱を、『牙』を頭上に作り出す。それは一つ一つが高速で地に突き立ち、地中に深く噛み跡を残す。
だがその一つたりとて今のエレアに触れる事は叶わなかった。
ただでさえ素の身体能力が高いエレアが三倍の精密身体強化に至ったのだ。
三倍からは身体強化の上昇幅のみならず、強化項目が増え出す。二倍までが強度や筋力。三倍からは靭性や感覚器までもが強化される。
そう、感覚の強化はエレアにとっての最上のシナジーを生む。
視界は回復魔法で癒し、その上で目を閉じたままエレアは行動を続ける。
そんな今のエレアを素の動体視力で捉えるのは非常に難しい。ジュリアとて二倍圧縮強化を施してようやく目で追えている程だ。
突き立つ『牙』を余裕をもって避けていたエレアは、徐々にそれを最低限の回避にとどめていく。仕舞いには着弾前に『牙』に剣を振り抜いて破壊し出した。
思い通りに動く身体が嬉しい。
思いのままにやりたい事が出来て嬉しい。
曖昧だった感覚がより研ぎ澄まされて嬉しい!
また一歩アッシュに近づけて……嬉しい!!
全身から水と闇の魔力を滲ませるエレアの目蓋が薄らと開き、青い瞳が覗く。見て感じる景色に口元が笑みを作る。
それは無垢で純粋な笑み。にも関わらず放つ迫力は段違い。
理由はある。魔力の三倍圧縮に至り、それを優れた感覚と直感で即座に身に付けたエレアだが、完全に制御下に置けている訳では無いのだ。
つまり、アッシュが意図して放っていた強力な威圧を無意識に漏らしている事になる。
「これだから天才はっ……!」
とは言え、常日頃から圧縮技術に慣れ、研鑽を続けてきたジュリアには効果は薄い。
故に怒りの中に冷静さを残したジュリアは絶えず思考を続ける。
……私と言う存在は、あんな少しの勘所だけで習得に至る馬鹿みたいな天才じゃ無い。地道にずっと訓練を続けて身体にゆっくり染み込ませる事しか出来ない。積み上げてきたものを、その全てをやりくりしてぶつけるしか無い。
『精霊の依代』は解除し、魔力の無駄な浪費をカット。観客の目にも楽しい少し派手な戦いはもう十分です。ここからは……仕留めに行く。
使う魔法は得意な属性だけで良い。ワンドは腰に差し、ロッドを両手で持ち、二倍圧縮した魔力で生み出した『風』を二倍魔法圧縮。
魔力の圧縮と魔法の圧縮は難易度が全く違う。
魔力と言う砂粒二つを一つに圧縮するのはただの馬鹿な技術。
対して魔法として顕現した現象をぎゅっと圧し縮めるのは対象が大きい分ずっとやりやすい。
その分、魔力圧縮程の劇的な変化は魔法圧縮には無いけれど、それでも魔力三倍圧縮の魔法に匹敵はしているだろう。
……私の憧れた人は、私の好きな人は、この程度の苦境で諦める人では無いんですよ。天才だろうがなんだろうが、全て糧にして自分のものにする————
「————そうだ、そうでした。……助かりますよエレア。踏み台は高くて大きい方が、よく跳べますものね?」
「良いね……付き合ってよ。私の力試しにさ!」
高濃度の風の刃が乱れ飛ぶ。
その全てをカルに叩き込まれてきた剣術にて丁寧に、且つ確実に叩き斬る。
風の剣が、風の槍が、風の矢が、これまでに見てきたあらゆる魔法をより濃密にした物を絶え間無く作り出し放つジュリア。
剣は打ち払い、槍は叩き落とし、矢は斬り裂く。
間断なく飛来するあらゆる魔法を何一つとして残すこと無く全て平らげ、進撃するエレア。
魔法の尽くを、ジュリアの尽くを真正面から粉砕するエレアの姿は、溢れ出る威圧感と、纏う水と闇が相まってまるで魔王。
一歩一歩は緩やかなのに、剣の閃きが目で追えない。いつも通りの笑顔が恐ろしく、敵う気がまるでしない。
今の自分じゃエレアに敵わない…………。
ジュリアの精神が絶望に支配されかける————なんて事は無く。
であれば。であるならば……! とことんまでやっても良いですよね……!?
理性を剥がされたジュリアの底にあったのは、“探究心”。
ジュリアの口元にも浮かんだ笑み。
戦う事が楽しいのでは無い。
ぶつかり合える事が嬉しいのだ。出し尽くせる事が楽しいのだ。全力を出して尚敵わないが故に、何をやっても良いと思えた事に笑ってしまったのだ。
喜び。必死さでは無く歓喜。楽しくて、面白くて、何処までやれるか興味と好奇心で心が昂る。
それがジュリアの変化の兆しだった。
「……ふふっ、あははっ! 『風刃』!!」
ロッドを振るう。その軌道上に風刃は現れ射出される。
「事前に無数の風で作り込んで……こうでしたっけ……『
エレアに風刃が差し迫った瞬間、無数に分裂した。
「————っ!?」
幸い威力は低下しており、エレアが咄嗟に展開した水の壁を闇で凍らせる事で被弾は無かった。
「じゃあ次はこれですね! 『
くるりとロッドを頭上で回転させ、全周囲に暴風を撒き散らす。
「大きな剣もありましたよね! あっ、あれもそこに一緒に混ぜてしまいましょう! 『
見てきた物を再現する。再現したものを組み合わせて遊ぶ。
破壊の暴威を押し固めた巨大な剣がエレアの頭上に落ちていく。
「すごい……凄い! 水闇纏い『遠魔斬り《えんまぎり》』ッ!!」
それに対してこちらもまた笑みを持って返し、水の水日月に闇纏いで魔法特攻を与えた斬撃を放ち真っ二つにしてしまう。
それを見たジュリアはやはり笑みを浮かべる。何をしてもきっと……そう! きっと大丈夫!
「『るどら……ルドラ……破壊よ、風よ、彼方の雲すら晴らしてみせた、遠き風よ……私の目標、私の憧れ。彼の全力の、そのカケラを今ここに』」
渦巻く風。闘技場中の風がジュリアの持つ杖の先へと集っていく。
魔力の圧縮、魔法の圧縮、無魔法の増幅、光魔法による強化、さらには祈りも願いも意志も込めて、淡い
……嗚呼、きっとこれでも雲には届かない。彼にはまだ及ばない。遠いなぁ……それでも。今はこれが私の最高なんだ————
「————『ルドラ・レス』」
魔法名を告げる。翠が煌めく。
嵐と言う言葉では足りない。
地面を抉り取りながら進む破壊的な風がエレアに向けて放たれた。
「……ジュリアちゃんはいっつも控えめ過ぎなんだよ。アッシュくらい自分勝手も困るけど、でも本当はこんなに凄いんだから」
エレアの脳裏に浮かぶのは、お父さんの本気の斬撃と、アッシュが見せたもう一つの規格外の技。子どもサイズの鉄剣でフェーグさんが持つ大剣を斬った技。
特別な魔法なんて使ってない。ただあの時のアッシュは凄く真剣で集中してて、格好良かった。
目前に迫る“風”に焦らない。
剣を大上段に構えて、思い出すは二つの一瞬。
ぶれない体幹。ぶれない剣筋。空気さえも斬り裂く太刀筋。
一意専心。斬る事のみに意識を注いで、集中のはるか先へ。
剣を速く振る必要は無い。恐怖も焦りも要らない。ただ、ひたすらに、“コレを斬る”。
「……スー……ハァー……」
左足を大きく踏み込む。
魔力が全身から溢れ出す。
溢れ出したそれが剣に宿る。
そのまま袈裟斬りに振り下ろす。
……………………。
気付けば“風”は斬れていた。
「まったく……笑っちゃいますよ。馬鹿エレア……」
魔力も気力も使い果たしたジュリアが倒れる。口の端から涎が垂れた。試合の勝者が告げられた。
垂れてからそれが気になって、ジュリアが心配になって、勝った事に意識が行った。
「はっ……!? ジュリアちゃん!」
気絶したジュリアに駆け寄るエレア。
シャリアがマイクで勝者を告げたお陰でのめり込んでいた意識を引き戻された観客がまばらな拍手を送りだす。
それは次第に大きくなり、舞台に音が満ちていく。
これまでの全ての試合を詰め込んだかの様な戦い。一回戦で見て良い質を優に超えた戦いはこうして終わった。
第九試合、勝者 エレア。
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