第4話 好きな人
僕に好きな人はいたのだろうか。その子は僕のことを「かわいい」と表現した。かっこいいではなかった。
でも、好きな人からそう思われるのは嫌いなわけではなかった。サークルで一緒になった。たまたま聞かれたのが、「先輩は、どこの学部ですか?」だった。他には、サークルのミーティングのときに、彼女の手持ち扇風機を自分の顔に当ててくれた。めちゃくちゃ照れくさかった。友だちに話したら、羨ましいと言われた。
あとは、あだ名をつけてくれた。そのこと一緒に遊んだこともあった。カラオケに行った。映画の席も隣だった。
インスタでは親しい友だちに追加してもらえた。
でも、そんな日々は続かなかった。サークルを辞めてしまったのだ。理由は、顧問のパワハラや同級生の嫌がらせがおおきかった。それで精神的に苦しくなった。辞める前から、その子との溝はできていた。前のように仲良く話すことも減っていった。会話することもなくなった。
一緒にいれるのは永遠ではないと思い知らされた。今も恋しくなる時がある。思い出だけを見つめ直している。その子に彼氏ができたのか気になって仕方がない。ブロックされていてもおかしくはない。その子との会話は鮮明に覚えている。
「先輩は晩ごはん何食べたんですか?」
今も未練が残っている。ゼミで一緒になったこともあったのだが、全く話さなかった。関わりを持つこともなかった。向こうがこっちのことをゼミの先生に相談していた可能性もある。
その子と授業がかぶっていたこともある。
嬉しかったのは、同じ授業を取ろうとしてくれたことだ。自分の時間割を見せた。その子は同じ授業を履修していたのだが、わざわざ4限から自分の1限の時間にあわせてくれた。
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