ゲート周辺宙域攻防戦 ―開戦―
【ヌゼ=ネフィス】
〚こちら監視室のカボです。アビスの心臓なる兵器を搭載した戦艦と、それを護送する戦艦5102隻の艦隊がワープの準備に入りました。これより作戦を開始いたします。各艦は速やかにゲート周辺宙域への転移を行って下さい〛
別宇宙から持ち込まれた戦艦に、新たに搭載された魔道具による通信機からカボの声が流れると、艦長用のシートに座るフォダトの顔に、再び緊張の色が宿った。
――やれやれ、折角私が緊張をほぐしてやったと言うのに……これで本当に正規の艦長なのだろうか?
「ヌゼ殿、ゲート周辺宙域に転移後、直ぐに戦闘になると思われますが――搭乗型ゴーレムに乗り込まなくともよろしいのですか?」
「ふむ……初手は私は指示に徹する為に、視野の広い戦艦に乗っていようと思います――戦いが佳境に入ってから登場した方が格好良いでしょう?」
「そ、そういう物ですかね? わかりました……」
フォダトはコホンと咳ばらいをしてから、艦内放送を始めた。
『これより我々はゲート付近へと転移を行う。転移後、各搭乗型ゴーレムは即時発進されたし――』
フォダトは艦内放送用のマイクを置くと、今度は艦橋内で声を張り上げる。
「転移準備!」
「転移準備!」
若い男性――の様に見える男が復唱する。
「転移開始!」
「転移開始!」
言葉が終わると同時に、環境のスクリーンの映像が黒く塗りつぶされた。
「――一瞬で情景が切り替わるこの感覚、まだ慣れませんね」
「ワープは違うのかね?」
「ええ……数秒間光の渦の様な光景が広がり、到着と同時にそれを抜け出る感じですね」
「ほ~……」
私とフォダトがそんな雑談をする中、各艦からは次々と搭乗型ゴーレム達が発進していく。
「各搭乗型ゴーレムへ通達――作戦通り、敵の主力が到着する前に、ゲートの防衛戦力を殲滅せよ! 敵主力のワープアウトまでの予測時間は凡そ1分!」
こちらがギリギリで行動を開始したのは、相手方がこちらの動きを察知して逃げ出さない様にするためだ――
少々慌ただしいが、通常時のゲートの防衛は意外に戦力が少ない。
おそらくそれどころではないからだろうが――……
『『『了解!』』』
各ゴーレムの乗り手達が、返事と共に、周辺に漂う戦艦やMEに攻撃を仕掛けていく。
天使、エルフ、ダークエルフもそれなりに戦えるが――やはり目立つ活躍をしているのはガステア=トワイライト……と、もう1人。
「おいおいおい……彼は水中特化だったのではなかったのか? あの動き……まるでガステア殿か、あるいは――」
それ以上の化け物だ。
ロイドットの乗るワールロイドと、ガステアの乗るトワイライトが、まるで最初から2つで1つだったのではないかと思う程に息を合わせ、時には互いの背中をカバーしつつ、時には二重螺旋を描きながら、時には撃墜数を競う様に敵MEを瞬殺していく……
こ、これは――
これはマズい!
「フォダト殿! 私も出撃する! 艦からの指揮は貴殿に任せる!」
私は慌てて席を立った。
「えっ?! 最初は指揮に徹するご予定では――?!」
「あんな化け物が2人も居ては、たかが5000の艦隊など数分で沈められてしまう! 最初から出撃していなければ私の出番がなくなってしまうではないか!」
「は、はぁ……さようですか……ご活躍を期待しております……」
「うむ! では行ってくる!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます