異世界からの帰還者と来訪者達(1)
この日は、トゥ・ア・ニューワールド計画の第一弾として、異世界――ディストーデット・ワールドに送り出した者達の送還予定日となっていた。
ゲートの周辺には、多くのお偉方が、その結果を見る為に集まっていた。
その集まった者の多くは、どうせ何も戻って来はしないだろう、そう思いつつ――
『間もなく、ゲート再接続予定時刻です――』
各艦内に通信が入る。
色々な人間が、モニターや肉眼で、その時を見届けようとしていた。
『ゲート再接続まで30秒――……15秒――……』
ゲートが上下に別れ、外輪が右回り、内輪が左回りに、ゆっくりと回り始めると、その隙間が青い光を放ち始めた。
『10秒―…5……4……4……3……2……1……ゲート、繋がります!』
カウントダウン終了と同時に、円形のゲートの内側の次元が歪む。
『……何も現れんな……』
『やはり先行調査隊は壊滅か――』
『ゲートが不安定過ぎたな』
『あるいはワープアウト先が戦艦の耐えれるような空間ではなかったか――』
『科学者達ならば後者だと言い張るだろうな』
そんな言葉を交わす彼等の声に、落胆の色はそれほどみられない。
やはり、これは想定の範囲内という事なのだろう。
『……そういえば、どこぞの星団さんは、次の調査隊に自分達を選んでくれるのならば、それなりに良い戦力を送り付けるなどと言っていたな? あの時の言葉、忘れてはいないだろうな?』
『もちろんですとも――是非、次は我々をご指名下さい』
『この結果を見ても、まだその様な事を口に出せるとは……お主、何を企んでおる?』
『何も? あの時申し上げた通り、我々が望むのはこの宇宙にとって、より良い結果になる事、それだけですよ』
『ふん――』
各星団の話を横目に、ゲートは逆回転を始め、徐々にゲート内の歪みも正常に戻って行った。
『……想像通りのつまらん結末になったな』
『ですね。まぁ、トゥ・ア・ニューワールド計画はまだ始まったばかり、そう焦る事もないでしょう』
ゲートが完全に動きを止め、青い光も消えたの見計らって、第1弾調査隊は全滅、お偉方がそう決断を下そうとした時だった。
突如、ゲート付近に15隻の戦艦が姿を現したのだ。
それはトゥ・ア・ニューワールド計画の第1弾として送り込んだ24隻の戦艦に含まれていた戦艦達であった。
『な――!?』
『戻ってきおった!?』
『い、いや……今あの戦艦達は何処から出現した?』
『明らかにゲートを通ってなかったぞ?!』
『というか、ゲートはもう閉じています――』
『と、とにかく通信を――』
慌てふためく各星団の代表者達の乗る戦艦に、目の前に突如現れた戦艦から通信が入った。
『あー……こちら、トゥ・ア・ニューワールドプロジェクト、第1先行調査隊所属、第5級戦艦ガルセバイア艦長、ザハーディ=フォダト中尉であります。只今帰還致しました――』
『おお! フォダト艦長、無事で何よりだ!』
喜色満面の声を上げたのは、フォダトが所属する星団の代表者だった。
『……痛み入ります。さて、早速ではありますが、我々から皆様にご報告があります――』
『な、何を言っている! 先ずは各星団ごとに持ち帰った情報を精査すると事前に決まっている! 他の星団にまで情報を渡す事は違反行為だぞ!?』
『はい。我々は今からその違反行為を行おうと考えております。まず、我々がゲートアウトした先には、とても美しい星が存在しておりました。その星のデータを各戦艦に送信致しますので、受け取りを承諾して下さい。勿論、他の星団に後れを取っても良いとお考えの方は、受け取りを拒否して頂いても構いません――では、送信致します』
フォダトがそう言うと、次の瞬間には各艦に実際にデータが送信された。
しばらくして、全ての艦がデータを受け取った事を確認したフォダトは、各艦に乗艦している各星団の代表達が、そのデータを確認し終わるのを静かに待った。
『……な、なんという……』
『美しい……』
『惑星エイレンなど目ではない……』
『欲しい……何としてもこの星が欲しいぞ!』
『くそ! フォダト艦長! 何故これ程の星の存在を他の星団の者達にまで簡単に渡してしまったのだ! 自分が我が星団にどれだけの損失を齎したのか、分かっているのか!』
『フォダト艦長だけではない。他の4つの星団の帰還者達もだ……一体何を考えている?』
フォダトは、彼等のこれらの言葉を聞き、全員がデータの閲覧を終了したと判断し、話の続きを始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます