先行調査艦隊(3)

【ザハーディ=フォダト】


 調査開始わずか20分後――我々の眼前にそれは現れた。

 巨大な鳥だ。

 全長は10メートルほどあるだろうか?

 MEよりは小さいが――


「艦長。あの鳥、真っすぐこっちに向って来てます。どうしますか?」


「どうって言われてもな……サンプルとして持ち帰るにはデカすぎる。と言っても無視できるデカさでもない。可愛そうだが撃ち落させろ」


「……了解。『ブリッジから砲座。艦右舷より巨大な鳥が接近中。発砲を許可する。これを迎撃されたし――繰り返す――……』」


 まさか食べるわけでもない生き物を殺める事になるとはな。


 放たれた弾丸は一撃で怪鳥の羽の付け根を撃ち抜くと、怪鳥は苦しそうな声を上げて地上へと落下していった。


「……馬鹿げた戦争で何人も殺して来たが――生き物を殺す生々しい感覚がある殺生は久しいな……後味の悪い事だ――……死体の一部をサンプルとして回収する。ME部隊に採取に向わせろ。出撃させるのは2機で良い」


「了解」


 そんな感じの出来事は会ったが、我々の踏査は比較的平穏に進んだ。




 調査開始から45分。つまり、怪鳥を迎撃してから25分後――


「「「…………」」」


 我々はスクリーンに映し出された光景に言葉を奪われていた――


「街だ――……」


 誰かが呟く。


 そこに有ったのは街だった。

 そう、街だ。


 明らかに人工的な建物が並んだ場所。

 それが草原のど真ん中にポツンと存在している。


 つまり、そこには知的生命体がいる事になる。


 起源を同じとする者以外の何者かが――

 人類が宇宙に出て幾億年――知的生命体との接触は、正式な記録には残されていない。

 残っていても、それは都市伝説の様な物か――あるいは創作物の中だけの話だ。


「……生命反応があります。あの街には現在進行形で何かが暮らしているのは間違いないかと――」


 そんな報告を聞き、私はゴクリと息を呑んだ――


「………情けないが白状するぞ……私は今震えている」


「奇遇ですね……私もです」


 私の隣で副艦長を勤める男が呟いた。

 デロス=ガーシュ。

 私よりも400は年上の男だ。


 そんな男の方を見てみれば、確かに手が震えている。

 それは感動からか、興奮からか、はたまた恐怖からか――


「……まったく未知の言語に対して、言語解析は使えるのだろうか?」


「言語を持つ種族ならば可能でしょうね。解析には多くのサンプルとそれなりの時間が必要でしょうが――……」


「……見たところ、文明レベルは極めて低いように見えるな」


「そうですね……如何なさいますか?」


「……流石に私の独断では決めかねる。本部に通信を繋ぎたいが――無理だな。先ずは会議だ。だがあまり時間は掛けれない。他のチームに嗅ぎつけられる前に判断を下すぞ」


「では、主要な人物をブリーフィングルームに集めましょう」


 ああ、胸が高鳴るな――


 まるで子供の頃に読んだ冒険譚に、こんなシーンがあった気がする。

 まるで自分達がその物語の主人公になった気分だ。


 あの物語では確か――そう、結局現地の者には受け入れられず、主人公は追い出されたのだったか。

 

 今回の場合、戦いにはならないだろう――文明レベルが違い過ぎる。

 

 後はこの情報を持ち帰った時、上がどんな判断を下すかだが……

 ああ、駄目だな。碌でもない結果しか想像できない。


 願わくば、上の連中がこの星の権利を巡って喧嘩でもして、結局決着がつかず、この星は誰のものでもないので手出し無用、なんて結果になれば最高なんだがな……


 ……ないな。

 原住民から奪って平等分配――それがもめた場合の現実的な着地点だろう。


 はぁ……止めだ止め。

 暗い未来を想像するより、今はあの街の住人とどう接触するかを決める方が先だ。

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