第698話 ヘブロムが相談があると持ち掛けて来たので、
ヘブロムが相談があると持ち掛けて来たので、俺の自室で話を聞く事にした。
ちなみにコーネリアも一緒である。
「それで? 相談って何ですか?」
「ふむ……ミランダの事なのだが――どうも最近様子がおかしい気がしてな……」
ふ――読み勝ったぜ。
最近のミランダが、良くぼーっとしている事には俺も気が付いていた。
ヘブロムの事だからミランダ絡みの相談だと思ったのだ。
何故か俺に持ち掛けられる相談のうち5割ぐらいはこの手の話なのである。
どう考えても人選ミスであるにも関わらずだ。
だから今回は先手を打って、コーネリアも同席して貰ったのだ。
「ほぅ、ミランダ嬢の様子が? 私は全く気が付かなかったが……具体的にはどのようにおかしいのですか?」
……ふ――読み負けたぜ。
うちの嫁、その辺の事は俺よりも駄目かも知れない。
いや、一応ニーナやサリーにも声を掛けようかと思ったのだが、今は2人とも外出中なんだよ。
「う~む……具体的にと言われると困るのだが……いつものキレがないというか、いじり甲斐がないというか――……」
「なるほど。つまり、一言で言えば元気がないと言う事でしょうか?」
「少し違う気がするが、まぁそうだな」
「ふむ……何故でしょうね……」
これはコーネリアに任せてたらあかんヤツな気がする。
仕方ないので俺も会話に加わる事にした。
「ヒルダが退職してしまったからでは? 職場から友人が居なくなって寂しいのではないでしょうか?」
「なるほど! それだ! よしアーバン、直ぐにヒルダを連れ戻せ!」
んな無茶な。
「本人の意志で退職した人間を無理矢理連れ戻せるわけないじゃないですか」
「お前、元公家なのだろ? 権力を使えば問題ない」
「問題しかありませんよ」
「ぬぅ――……では代わりの人間を雇え!」
「代わりと言われましても……」
ミランダは友達が少なそうだしなぁ。
「代わりとまではいかなくとも、今ミランダの職場にはタナファ以外はカボばかりなのだろう? ダークエルフ達もあまり艦橋までは姿を見せないと聞いているし――とりあえず艦橋で働く人員を増やしてみるのはありではないか?」
いや、急に増やせとか言われましても。
「俺としては女を推す――ミランダに下らん虫が寄ってくるのは面倒だからな」
なんかお父さんみたいな事を言い出したな。
「それじゃ~…………」
今、うちの人員で手が空いている人材を考えた時、パッと思いついたのがさっちゃん配下の天使達だった。
天使達はさっちゃんの下を離れたがらないが、教会でバイトもしているみたいだし、バイトでちょっとした期間だけさっちゃんの下を離れるのは問題ないのだろう。
バイトのブリッジクルー……なんて不安な響きだろうか……
という事で、さっちゃん配下の天使達にブリッジクルーのバイトをしてもらう事になった。
ブリッジに入ってもらおうのは常に5~6人。
こちらはちゃんとお給料が出る。
天使達の制服はミランダに合わせて、全員白い軍服っぽいミニスカートの制服にしてみた。
もちろん背中はきちんと翼を出せるようになっている。
この軍服は言うまでもなく服ちゃん作だ。
……なんか、気が付いたら服ちゃんに仕事を頼むのが当たり前になって来ちゃってるな。
本人は楽しいからもっと依頼してくれて構わないって感じだけど……
……服ちゃんのお給料についてはサリーに任せておこう。
さて、これでネモフィスのブリッジは女性が6・7人、男性1人、カボ4・5機と、タナファハーレムが形成されたわけだが――
ヘブロム曰く、どうもミランダの様子は戻らないらしい。
幾らなんでもヒルダを引きずり過ぎでは?
どんな風に様子がおかしいのかと、俺はカボのカメラでブリッジの様子を覗いてみる事にした――
モニターに映し出されたのは黒い靄……あ、これ天使の嗜み魔法だ。
ネモフィスのカボは基本小さいから、ローアングルになってしまっているようだ。
さて、肝心のミランダの様子だが――
『ミランダ艦長、進行方向にアーキセルの木造船が見えます。如何致しますか?』
『ミック様が手を入れて下さった海域から少し外れているわね……接近して警告を出します。警告を無視する用ならアーキセルの船を装った他国の偽造船の可能性があるから、アーキセル王家に確認を――』
『ミランダ艦長、木造船から本艦に向けて、魔法砲弾が発射されておりますが――』
『なんて無謀な……アーキセル王家には事後報告で構いません。天使の皆さんは、申し訳ありませんが出動願います。木造船の乗組員を次元収納にでも閉じ込めちゃって下さい。乗組員を全員確保した後、木造船も次元収納に格納します』
『一緒に閉じ込めちゃわない理由はなんですか?』
『王家に引き渡した際に、王家側の手間を省くためですが――天使の皆様が面倒だと仰るなら、そのまま一緒に収納しますが――』
『そんなに気を使わなくても構いませんよ。私達はただのバイトクルーで、ミランダ艦長は艦長さんなんですから』
『……では、よろしくお願いします』
『『『はい』』』
『ミランダ艦長、三日月島周辺に巨大な渦が発生している模様です……モンスターの仕業でしょうか?』
『……ミック様でしょうね』
『如何なさいますか?』
『先ずはミック様に直接会って状況を確認しましょう。ただのお遊びなら止めさせますが、きちんと理由がある行動ならそれを知りたいですし――……』
『畏まりました。それではミック様に連絡を入れますね』
『ええ。お願いします』
『…………渦潮でサーフィンがしたかっ『直ぐに消してください』……はい』
『ミランダ艦長のスカート、ちょっと長いですよね……もっと短くした方が可愛くありません?』
『これ以上短くしたら下着が見えちゃうじゃないですか。そうでなくても貴族令嬢の中では足を出し過ぎなぐらいですし――……』
『下着は嗜み魔法で隠せば良いじゃないですか。足は……まぁ、貴族の常識は分かりませんけど――でも、三日月島で遊んでいる貴族令嬢の多くは、ビキニとか普通に着てますよ?』
『いや、水着と仕事着を一緒にされましても――……』
『ダークエルフの皆さんは仕事着イコール水着ですけど?』
『……アレはアーバン様の趣味です』
……違うとは言い切れないなぁ~。おっと、思わず台詞を介入させてしまった。
と、まぁこんな感じで、立派に? 艦長としてのお仕事をまっとうされて居られるようで、俺には様子がおかしい様には思えない。
そんな感じで、そろそろ覗き見を止めようかなと思っていると、ヘブロムがブリッジに入って来た。
『よぅミランダ、俺様がまた遊びに来てやったぞ!』
『わひゃい!?』
わひゃい?
『なんだなんだ? まだ調子は戻らんのか? 俺様はいつものミランダが好きなのだ。早く調子を取り戻してくれんと、つまらないではないか』
『しゅ、しゅき?!』
しゅしゅき?
『やはりアーバンに無理を言ってでも、ヒルダを連れ戻した貰った方が良いのではないか?』
『い、いえ、そういうのではないので……』
『そうか? ふむ……取り敢えず今日のところは引き下がるが、このまま本当に調子が戻らないようなら、俺様が直にヒルダに交渉に行くからな? それが嫌ならば早く調子を戻す事だ。ではな――』
『は、はい。がんばります……』
ヘブロムはやって来て早々にブリッジを去っていった。
……あ、甘ぇ……何歳だよ……
これもう放っておいて良いかな?
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以下
一部コメントへの返信となります。
コメント:
ご存知かと思うけれど、神父はカトリック教会においての司祭、牧師はプロテスタントにおけるソレ。
プロテスタントは一応偶像崇拝はしていないので、偶像というか拝むアイドル(その名の通りの信仰対象)がある、いる事から鑑みると、今回の場合は神父の方がより似ているのではないかと思う。なんとなくで決めたならしゃーないね、語源のバックボーンを知らない民の方が多いだろうけれど、作家としての矜恃の問題だから直すも直さないもご自由にって感じかな。
返事:
ご指摘ありがとうございます。
こちら、コメント主様の仰るとおり、最終的にはなんとなくで決めました。
申し訳ございません。
以下に神父ではなく牧師という言葉を用いた理由を幾つか説明しておきます。
・サマヨエルのもとにいる天使の殆どは女性です。
女性15人、男性5人です。(第504~話参照)
牧師と聞いて男を想像されたのかも知れませんが、牧師には女性でもなれますが神父には女性ではなれません。
・牧師の文言に(死が二人を分かつまで)という一文がありません。
こちらはプロテスタント風の式をイメージしているからです。
・この式場自体なんちゃって教会です。大聖堂などではない場合、神父ではなく牧師が妥当だと考えました。
・語源よりも現在どのように使われいるかを重視しました。
・そもそもキリスト教ではないので、牧師という言葉もどうかと思いましたが、司会という言葉では少々味気なく感じ、牧師という言葉を選びました。
それでもコメント主様の様に、それらを知った上でなお、現在の意味合い等より、語源こそが大事だと考え、神父という言葉の方が適当だと思う方や、それなら司会が適当だと思う方も多く居るかとも存じます。
神父や司会という言葉の方が良いのではないかという意見が多い様ならば、あらためて修正させて頂きたいと思います。
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