第676話 あー、本日は晴天なり、本日は晴天なり――
あー、本日は晴天なり、本日は晴天なり――まぁ、仮に曇ってて雨が降ってても、それはそれで絵になるから良いんだけどね。いやなら魔道具で無理矢理晴天にする事も出来るし――
という事で、アーキセルのムーゼン対ウェインのルスモスの親善試合の日になった。
今日は三日月島全体をお休みとさせて貰っている。
ミックはこちらに呼び寄せたし、その手伝いで三日月島組のダークエルフ達もこちらに来ている。
三日月島のダークエルフ達だが、人間の貴族――特に貴族の男性に対して抱いていた恐怖心の様な感情は大分和らいだようだ。
ちなみに、何人かは既にミックとそういう関係らしい。
そういえば、うちのドワーフ達も元々はそう言った理由で連れて来た筈なのに、いつまで経っても全くそっち系の話は聞かんな……
やっぱりあれか? ドワーフとエルフってあんまり相性が良くないっていう、ファンタジーのお決まり的なあれか? 詳しくは知らんけど。
まぁいいや。
ついでに今日は三日月島までの定期便もお休みである。
ミランダは、『一緒にお祭りを楽しむぞ!』 と言うヘブロムに捕まって、どこかへ連行されていった。
ヒルダも、恋人であるフルが出場するとあって、応援に熱を入れている様だ。
春だねぇ……
さて、俺はというとアーキセルから親善試合会場まで、ムーゼンを運ぶための輸送機を運転しいる。
ちょっと空から降下するムーゼン部隊を見てみたくなったのだ。
ムーゼンには特別なパラシュート型魔道具を装着してあげているので、ジェットパックのないムーゼンでも安全に降下が出来る。
本当に安全な筈なのだが、なぜかパイロット達はビビリにビビっている――
「ほ、本当にこんなちゃちパラシュートで、ムーゼンの落下スピードを安全な速度まで減速させられるんだろうな? アーバン」
ライジングが何度も確認して来たし――
「ああヒルダ……地上で蘇生薬を持って待機しててくれよ……出来れば回復魔法が使える人も傍にいてくれ……というか普通に降ろして……」
フルはずっとぶつぶつと何やら呟き続けているし――
「そもそも、なんで大事な出場枠を碌に戦えもしないおじさんで1つ埋めちゃうんだろうねぇ? 上はこんなおじさんに何を期待していると思う? あ、僕のムーゼンは無人の状態で降下してね。僕はこの輸送機と一緒に降下して、地上で乗り込むから。え? 駄目なのかい? アーバン殿もおじさんの扱いが厳しいなぁ……とほほ」
おっさんは愚痴が多い。
その他のパイロット達は、さっちゃんに祈りを捧げていたり、何度もイメージトレーニングを繰り返したりしている。
イメージトレーニングは、この中では一番建設的な気がするから特に文句はない。周りの人間も文句言ってないでイメトレしてる人を見習いなよ。
キミ等本当にエリートなのかい? ポンコツ10傑と似たにおいがするよ?
暫くして、輸送機は親善試合会場の上空に到達した。
『皆さん、目的地に到着しました。降下させますが、準備は宜しいですか?』
俺の声が船内に響くと同時に、5カ所のハッチが同時に開かれた。
ちなみに、今回ムーゼンの移動に使用している輸送船は、この為だけに造った物であり、今後特に使う予定はない。
次元収納の肥やしにする予定だったが、王弟に売ってくれと言われたので、今後は国の管理下で使われる事になるだろう。
輸送船の外観は飛行機に巨大なコンテナが付いた様な形で、色は緑。
コンテナには左右2つずつ、後方1カ所、計5カ所のハッチが付いており、それが上に向かって開く。
ハッチにはレールが付いていて、そのレールにぶら下げられた形のムーゼンが1つのハッチにつき2機ずつせり出してくる。
一度に5機のムーゼンを同時に降下させる事が出来、かつ完全に同時に降下させる事で、輸送機のバランスを崩す心配がない。
……まぁ、次元収納を搭載すれば全部丸っと解決するので、レール何か付けずに、各機が自分で飛び降りた方が手っ取り早いが……それは言わないお約束なのだ。
『こちらムーゼン。各機降下準備完了。いつでもどうぞ~』
代表しておっさんが返事をしてくれた。
ちなみに、この返事は通信ではなく、スピーカーで喋っているのを輸送機のモニターのマイクが拾っているだけだ。
それにしても、あれだけ愚痴ってたのに、いざ降下となると潔の良い返事だな。
「ではでは、ポチっとな――」
俺が降下のボタンをポチると、5機のムーゼンを固定していた金具が外れ、5機のムーゼンが一斉に降下を始めた。
『ちょ、ちょっとタンマ! やっぱ怖すぎいいいいいいぃーーーーぃ――――……』
最後にライジングがなんか叫んでたけど、気にしない気にしない。
う~ん、やっぱり降下シーンは、パワードスーツゴーレムより搭乗型ゴーレムの方が絵になるなぁ。
『それでは、第2次降下部隊、降下開始しますね』
『『『………こ、こえぇ………』』』
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【ゲーツ=マクスウェル】
『各機、聞こえるかい? あまりパラシュートを開くのが早すぎると、降下地点がばらけ過ぎる。開くタイミングはこちらで指示するから、合わせてね』
これは、思ったよりキツイなぁ……おじさんには堪えるよ。
『た、隊長! まだパラシュートは開いては駄目なんですか?! 大分地面が近づいてますが?!』
『アーバン殿の言葉を信じなさい。どうせ蘇生薬があるよ』
『それ、死んじゃってるじゃないですか?!』
『最終的に生きてたら、それは生きてるよ……少なくとも、昔の戦場で死んでいった友たちよりはマシだよね』
『なぁにこんな時に物思いにふけっているんですか! 哀愁醸し出してないで、今はパラシュートを開くタイミングを計る事に集中して下さいよ!』
『おじさんに対して当たりがキツくないかい? ……目算で500……そろそろかな――各機、パラシュート展開!』
『『『了解!』』』
パラシュートを展開すると、体がぐっと上に引っ張られる感覚があった後、ムーゼンの効果スピードは徒歩のそれを彷彿とさせるぐらいに緩やかになった。
「さすが、アーバン印の魔道具……しかし、あの輸送機とやらは王家が買い取るらしいから、今後は王宮魔道具師製のパラシュートで降下させられる事もあるのかな?」
それは勘弁して欲しいなぁ……
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