第654.1話

【ロイドット】


 後方に戦場が見えて来たな……そろそろ反転したいが……こいつ、反対方向には進めないんだよなぁ……格好悪いがこのまま尻から突っ込むしかないか。


 さて、戦況は……ふむ、どうやらムーゼンが押している様だな。


 とはいえ、かなり拮抗しているか。

 ここで俺の華々しいデビュー……と行きたいが、正直俺は水中戦以外多分弱い。

 ついでに言うと、この形状のワールロイドに地上戦は出来ない。


 そこで、アーバンに追加してもらった2つ目の能力の出番だ。


 俺はそのままワールロイドを戦場上空に移動させる。

 そして、味方であるムーゼンを巻き込まない様に、ちょうど2手に別れている。

 俺はそのちょうど中央、その少し奥を狙って、味方を巻き込まないように――うわっ!

 

 あ、あぶねぇ。危うく飛んできたビームで撃ち落とされるところだった。

 俺は味方だぞ! ちくしょうめ!


 さて、気を取り直して……ここだ!


「<きんぎょばち>!」


 ワールロイドの口から放たれた水球は、俺の狙い通りの場所に着弾すると、そこから半球のドーム状の水が広がっていく。

 それはあっと言う間に広がり、直径600メートルほどの水の空間を生み出した。


 水の中では5体のゴーレムが藻掻いている。

 どうやら奴等は泳ぎがヘタクソなようだ……ついでにムーゼンも――


 ……す、すまん。別にさっきの仕返しのつもりじゃなかったんだが、ギリギリ範囲に入っちまった。


 お、どうやらムーゼンがきんぎょばちから抜け出す事に成功した様だ。


 直ぐにハッチを開くと、中からびしょびしょの騎士が飛び出して来た。

 そ、そうか、ムーゼンの操縦席は水が浸入してしまうのか……わ、わりぃ事をしたな。


 おっと、今はそれよりアクアフィールドに捕らえたゴーレムの対処が先だ。


 俺は直ぐにこいのぼりモードを解除すると、自由落下に任せてきんぎょばちへ向かって真っすぐに……これ、ちゃんときんぎょばちに落ちるよな?


 ばしゃん!


 大きな水しぶきを上げ、ワールロイドがきんぎょばちの端へと着水した。


 あ、あぶねぇ。ギリギリだったぜ。

 派手に登場して落下して自爆とか洒落にならんからな。


 だが、水の中に入っちまったらこっちの物だ。


 見せてやるよ、ガステアとも張り合った、俺の腕前をよぉ!!




 ………腕前を見せるまでもなく、相手は殆ど身動きすら出来なかった。

 あっという間に5体の敵ゴーレムを倒せはしたが……なんだろう、この感じ。


 きんぎょばちは魔力の消費量がエグイので、1日1回が限界だし、後はこのドームの中で見学するだけか――


 ……ん?


 あれ?


 俺、まだ魔力が残っているな……なんでだ?

 知らない間にアーバンがきんぎょばちに必要な魔力を抑える改良でもしてくれたか?

 とにかく、あと2発ぐらい撃てそうだな……


 よし、もっと暴れてやるぜ!



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 鯉なのか金魚なのか……

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