第613話 留学生達を迎えに、ニーナレーアでウェインまで移動する事になった。
留学生達を迎えに、ニーナレーアでウェインまで移動する事になった。
ちなみに、ネモフィスの方はいつも通り定期便としてのお仕事中である。
顔合わせの意味もあるので、今回もオリビエ先生にも一緒に来てもらっている。
「そう言えば、オリビエ先生が国外に出るのって、何気に初めてですか?」
「え? ああ……一応そうなりますか、ね? 三日月島へは行った事がありますが」
ああ、そっか。三日月島も一応国外なのか……うん? 国外か?
……まぁ、どっちでもいいか。
オリビエ先生以外の同行者はメイドが4人。それと運転手としてソドという御者の男性を連れてきている。
以上だ。
あんまり大勢で行っても迷惑かなぁと控えておいた。
「それにしても、本当に草原ばかりですね。あ、見た事のないモンスターが走ってますよ」
甲板の縁から軽く身を乗り出しつつ、オリビエ先生が草原を指さした。
そちらを見ると、紫色の牛? が走っていた。
結構大きい。多分全長4メートルぐらいあるんじゃないかな?
「牛ですね……毒々しい色なので、多分お肉はあんまり美味しくないです」
「か、変わった感想ですね……」
そんな下らない雑談をする俺達を乗せたニーナレーアが目指しているのは、俺が先日覗き見した街、ウェインの首都、シンハリベラという街だ。
……あの街、首都だったんだな。
ニーナレーアの下に、出迎えのウェイン人達が集合している。
その数ざっと100ぐらい。
皆、一様に見上げたニーナレーアを指さして、口をパカパカさせている。
俺がソドに、彼等から少し離れたところに着地するようにお願いすると、ニーナレーアはゆっくりとその高度を下げていく。
ニーナレーアから下船した俺の目に、最初に映ったのは、映像でもその姿が確認出来た背の高い巨乳美女である。
ナイスお出迎え。
ただ、肝心のその女性は俺の方を見ておらず、口を開けてニーナレーアを眺めている。
それはその女性だけにあらず、その他のお出迎えの人達全員、同じ様にしていた。
……アーバンさんの存在感はニーナレーアによってかき消されたのである。
このリアクション、飽きてきたでござる。
たまには
「うおぉー! かっけぇ! 乗せてくれー!」
とか――
「パパ―、アレ買って~」
とか――
「俺も空飛ぶ船を造れるようになってやるぜ!」
とか――
そんな事を言う人はいないのだろうか。
……ああ、アーキセル貴族だと、「それ売って~」は居るか。
「あ、あの皆さん。アーキセル王国から留学生のお迎えに上がりました。私はオリビエ、そしてこちらが、アーバン=ネフィス殿です」
気を使ったのか、オリビエ先生が慌てて自己紹介と、俺の紹介をしてくれた。
「え? あ、ああ……し、失礼した。私は、
国家族長? 初めて聞く単語である。
まぁ、多分国で一番偉い人の事だろう。
ラ・ラーリィが右手を差し出してくる。恐らく握手であっているだろう。
俺はそれに応じ、その手を握り返した。
……
…………
………………
ずっとニギニギされているんだが?
美人との握手は嫌じゃないんだが、これ、ひょっとしてこちらから振りほどくのが礼儀だったりすのるのか?
いやでも、通常振り払うのは失礼だよなぁ……どうするか。
「……か、顔色一つ変えないとは……1つ聞くが、アーバン殿は既婚者だろうか?」
「え? はい、私には嫁と子がおりますが、それが何か?」
「そ、そうか。いや、失礼した――」
ラーリィは少し残念そうに、その手を引っ込めた。
なんやったんや。
「それで、今回我が国へ来てくださる留学生の方々は?」
俺はきょろきょろと辺りを見回すが、人が多すぎてどれがその留学生か分からない。
「あ、ああ。紹介が遅れて申しわけない。おい皆、前へ」
ラーリィの指示に従って、10人ほどの男性が数歩こちらに近づいて来た。
年齢は下が10歳ぐらい。上が40歳ぐらいと幅広い。
「こ、この度は、我々にアーキセル王国の魔法陣技術の叡智の一旦を授けて頂ける栄誉と機会を頂き、きょ、恐悦至極でございます!!」
代表っぽい二十歳ぐらいの青年が、大きな声で挨拶してくれる。
ガッチガチに緊張してるやないかい。
「そんな大層な物ではありませんが、こちらとしても、異国の方と交流を持てる機会は貴重であり、重要ですからね。こちらこそ、我が国にお越し下さる決心をして下さり、感謝していますよ」
とりあえず、にっこりと微笑んで緊張を緩和させて上げよう。
にこ~。
「きょ、恐縮です!!」
……全然緩和されてなさそうだな。
まあいいや、そのうち慣れるだろう。
「それでは皆さん、早速ですが出立の準備をなさって頂けますか?」
はてさて、将来的にウェインの搭乗型ゴーレムは、どんなデザインになるかなぁ。今から楽しみである。
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