第587話 教会風の結婚式場として用いた建物だが、

 教会風の結婚式場として用いた建物だが、今後は平民に無料で貸し出すらしい。

 主に結婚式場として。

 

 その決定を下したのが【踏まれたタンポポ】の2人である。


「やってみて思ったんだ。結婚式って良いもんだなって」

「平民は金がない。だから普通、式なんてやりたくても出来ない。せめて、式場ぐらい無料の場所があっても良いんじゃないかって思った。です。維持・管理費は、冒険者としての私達の稼ぎから出す。ます」


 だそうだ。

 偉いね~。


 金にがめついネフィス家なら、間違いなく使用料をふんだくるところだよ?


 そんな2人に感銘を受け、俺からは式場用の魔導カメラをプレゼント。

 思い出を写真として残して置きたい者も多いだろう。


 さてさて、3人の式も無事に終わり、一段落。

 俺は久しぶりのまったりタイムだ。


「よしネバン。パパとお馬さんで競争だ」

「あい!」


 俺はメシュエルに跨り、ネバンがホープに跨る。


「我……馬ではないのだが……」

「ひひーん! ぶるるるぅ! お馬さんだぞー!」


 ふっ――悪いがこの勝負、俺が貰った。

 馬力が違うのだよ、馬力が。


 などと下らない事をして遊んでいると、チョコが俺の胸に飛び込んで来た。

 

 転移の魔法で飛んできたようだ。


 ……蛙の着ぐるみパジャマみたいな恰好をさせられている。


「あっ! やっぱりアーバン君の所にいた!」


 直ぐにサリーが入って来る。

 続いて服飾神も――


「ゴムがきつ過ぎて嫌だったのでしょうか? 出来るだけ着る者に負担の少ない様に工夫している心算なのですが――」


「もしかして、単純にデザインが嫌だった? ほらチョコちゃん。ウサギさんもあるよ?」


「……くぅ~ん……」


 この2人、一緒にウエディングドレスを手掛けてからというもの、すっかりと仲良くなった様だ。

 ずっと一緒に、何かしらを作っている。

 その大半がチョコ用の洋服の様だが――


「サリー、服飾神様。チョコのファッションショーは1日3着までとお約束しましたよね? これ、何着目ですか?」


「……5、5着目だけど――で、でも、服ちゃんの服が3着で、私の服はまだ2着目だから、ルール的にはセーフ!」


 アウトでござる。


「誰が作ったヤツでも、合計で3着までです」


「うぅ……アーバン君のケチ!」


 ケチちゃう。


「チョコが嫌がっているでしょう?」


「わん!」


「えぇ……可愛いのに……」


「サリー、ここは大人しく引きましょう。服は見る者を喜ばせる側面もありますが、本来着る者の為の物です。嫌がっている者に無理やり着せたのでは、服飾神の名が廃ります」


 良い事を言っている風だが、今更感もあるな。


「それじゃあ、例えばシマエナガボディのカボたちの服やアクセサリーを作ってみてはどうですか? カボたちは可愛い物が好きですし、喜ぶと思いますが」


 確か、エカリテに派遣したカボ達は、エルフや獣人からアクセサリーやらを献上されて喜んでいた筈だし。

 ……ん? エカリテのカボ達……そういえば、最近チェックしてないな。

 ………………なんか、嫌な予感がするから覗くのが怖いな。


「もこもこボディの方ならともかく、アイアンボディのカボちゃんに似合うお洋服は、ちょっと想像出来ないなぁ……」


 サリーの反応はイマイチだ。

 それじゃあ、もこもこボディの奴にだけでもと提案しようとすると、意外にも服飾神がサリーに待ったを掛ける。


「サリー? 先ほども言いましたよ? 服は着る者の為にこそあるのです。先ずはその鋼鉄のシマエナガボディのカボ達に似合う可愛い洋服やアクセサリーを一緒に考えましょう」


「そうだね服ちゃん! それじゃチョコちゃん、また明日!」


「……わん」


 サリーと服飾神は慌ただしく去って行った。

 その時だった――


「うー!」

「いぇーい! ボク達の勝ちー! ブイブイ!」


 ホープに跨ったネバンが、先にゴールラインを越えてしまった。


 な、なにぃ!

 この俺のゴールデン・メシュエル号が、四つん這いホープ号如きに後れを取っただとおぉ?!



---------------------------------------


【おまけ】


「ところで、メシュエルってチョコの言葉って分からないの? ほら、犬と猫の違いはあれど、同じ動物だし」


「……いや、そもそも我は猫ではないのである」


 名前はメシュエル――て続くのかな?


 だったら一人称は吾輩にして欲しかったのである。


「そもそも、我はモンスターだし、チョコは神であるが?」


「そうだったね」


 どっちもペット枠だから忘れてた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る