第565話 手続きは簡単に済み、これでFランク冒険者アーバーンの爆誕である。
手続きは簡単に済み、これでFランク冒険者アーバーンの爆誕である。
「それで、さっそく【西のダンジョン】に行くので、許可を下さい」
「……その、お1人で向われるのでしょうか?」
受付嬢がなんとも言えない顔で尋ねてくる。
悲しんでいるような? 憐れんでいる様な? 止めたそうな? なんかそんな感じの表情だ。
「ええ、そうですけど――」
「……その装備で、ですか?」
「はい」
ちゃんと剣も買ったが?
「……本来、冒険者の行動は全て自己責任ですから、ただの受付嬢である私がとやかく言う資格はないのですが――」
そう前置した受付嬢に、ダンジョン舐めんな! と、長々と説教をされてしまった。
30分くらい。
「――そういうわけで、まずは他の冒険者チームに荷物持ちとして参加させてもらうなり、新人冒険者どうしでチームを組むなりして挑む事をお勧めいたします……って、聞いてますか?」
「え? あ、はい。わかりました。なので【西のダンジョン】に入る許可を下さい」
「ぜ、全然聞いてませんでしたね……はぁ……自分が担当した新人冒険者に死なれるのって、精神的に結構キツいんですよ? だから、生きて帰って下さいね」
受付嬢はため息を付きつつ、【西のダンジョン】へ入る許可書を発行してくれた。
中々真面目な女性の様だ。
ただ、マニュアルから外れると、上司に怒られるかも知れないから気を付けてね。
「有難うございます」
俺は許可書を受け取って、冒険者ギルドを後に――
「そこのおっさん。ちょっと待て」
おっさん……俺の事だろうか?
このボディ、見た目は二十歳ぐらいなんですけど?
振り向くと、俺に声を掛けて来たのが【踏まれたタンポポ】だと言う事が分かった。
【踏まれたタンポポ】は後ろに多くの男どもを引きつれたままだ。
……この人達、30分以上もあんな下らないやり取りを続けてたのだろうか?
「なんですか?」
「途切れ途切れだけど、受付嬢との会話は聞こえてた」
「そんなボロい剣1本で、1人で【西のダンジョン】に行くつもりなんだって?」
「ええ。そのつもりですけど?」
「死にたがりか?」
「何故他の奴等とチームを組みたがらない?」
俺の目的が生き残る事でもダンジョンを攻略する事でもなく、ただ特訓する事だからだが?
というかエファンは確か7歳前後から似たような状況だったはずだ。
冒険者として珍しくないと思うんだけどなぁ……
「えっと……そういうの苦手で……友達もいませんし」
アーバーンにはな。
本来のアーバンさんには友達が沢山居るのだ。
居るよな?
「……っち! おい、おっさん。ちょっとそこで待ってろ。アタイ達が一緒にいってやる」
「基本的な事だけ教えてやるよ。次からは仲間探しも含めて自分で何とかするんだ。いいな?」
……エファンもこうして先輩冒険者に色々助けて貰ったりしたのだろうか?
そのおかげでエファンが俺と出会うまで生き残れたとしたら、その先輩冒険者達に感謝だ。
「結構で――」
「「「えええええ?!」」」」
俺の断りの台詞を遮って、後ろの男どもが騒ぎ出す。
「ふ、ふざけるなよ! 俺がどんなに頭を下げてもチームに入れてくれなかったのに、なんでこんな冴えない奴をチームに加えるんだ!」
「チームに加えるんじゃなくて、臨時でチームを組むだけだ。今日限りのな」
「俺なんて金を出すって言っても、一時的なチームすら組んでくれなかったじゃないか?!」
「下心見え見えでキモいからな」
「そんな野郎が【踏まれたタンポポ】に一時的にでも加入するのは気分が悪い。しょうがねぇ、気は進まねぇが俺んとこのチームでその野郎の面倒を見てやるよ」
「てめぇのチームは既に【死神の神室】の許可書を貰ってんだろうが。大方アタイ等が最近【死神の神室】にしか潜らないからだろうが、宛てが外れて残念だったな」
「あの、俺も最近冒険者になったばかりで、良かったら俺にも色々教えて欲しぃな~なんて――」
「その割には既に何日もここで顔を見ているが?」
「何度も言うがテメェ等にワンチャンなんてねぇよ。さっさと失せろ」
「ダンジョンまで付きまとうのも止めろ。群がられて他の冒険者も迷惑してる。まぁ、私達は直ぐにお前等が潜れない深層に潜るから、それまでの辛抱ってだけだけど」
それでも渋る冒険者達だが、あまりに騒ぐからと対応に出て来たギルドマスターに散らされていた。
「やっと静かになった」
「じゃあちょっと【西のダンジョン】入る許可を貰ってくる」
別について来てくれなくて構わないんだけどなぁ……
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