第333話 6翼の金色ライオンが背に子供を乗せて闊歩する姿は中々に人目を集めるようだ。

 6翼の金色ライオンが背に子供を乗せて闊歩する姿は中々に人目を集めるようだ。

 使用人たちが遠巻きにこちらを見ている。


 「エファン、あそこに見えるのは何だ?」


 「あれはね、コーネリア城!お城は偉い人が住む建物の事だよ!だからこの国で最も偉いアーバンさまとそのお嫁さんのコーネリアさまが住む場所だよ!」


 メシュエルに問われてエファンが答える、が――これは宜しくない答えだ。

 下手をしたら反逆罪とかに問われかねない。


 「エファン、アーキセルで一番偉いのは国王陛下だよ。次いで第3王子かな。俺はもっとずっと下、大公家とか公爵家の下に侯爵家ってのがあってね――」


 「ええ?でもイブお姉ちゃんはアーバン様が一番偉くて一番凄いって言ってました!」


 「う~ん、それは俺が4人の主に当たる立場にあるからであって、別にアーキセル国内の話しでは無いんだよ?」


 「?」


 そんな可愛らしく小首を傾げられましても。いつもはもっと理解力があるじゃないかエファン君。


 「ではアレは?」


 「あっちはね、アーバンさまが造ったゴーレムを戦わせて遊ぶ場所だよ。あの水の玉の中で水の中で戦うのが得意なゴーレムを戦わせるの」


 「ほう。今の人間たちの間ではゴーレムで遊ぶの流行っているのか。そう言えばダンジョンであった時も変わった鎧を着ていたが、あれもゴーレムか」


 「そうだよ!アーバンさまは何だって作れちゃう天才なんだよ!」


 流石に何でもは作れないですエファンさん。


 さて、何故メシュエルが背にエファンを乗せて拠点周辺を案内されているかと言うと、話しは少しだけ遡る。


 早い話し、メシュエルと戦うことなくコアを引き抜いたのだ。

 ちなみに引き抜いたのは大量のカボたちにダンジョン内の魔法陣のデータををあらかた収集して貰った後なので安心して欲しい。


 ※※※

 

 魔力の流れを辿り、コアは100階層のさらに下に位置する事は分かっていたので、次元収納に抵抗する魔法陣をお手製の魔道具で描き換えて、壁やら地面やらをドンドコ次元収納に収納しつつ、強化した土魔法で壁を補強しながら突き進んだ。


 折角地面を進むんだから頭やら手やらがドリルの地面を掘削するロボを造れば良かったなという事に気が付いた時には、既に目の前にコアらしきものが現れた時だった。

 アーバンさん一生の不覚である。


 コアは【月光の塔】で手に入れた剣と同じ材質の黒い石のような物体に覆われていた。

 この黒い石のような材質、傷を付ける事すら出来ない上にゴーレム魔法を受け付けないのでコアを取りだすのが難しい。


 と言う事で直径5メートルの球体状のその石ごと次元収納へポイ。


 コアを次元収納に放り込んだ瞬間に、まるで魔王を失った魔王城よろしくダンジョンが崩れ始めたので、あわてて俺の魔力でダンジョンを維持しつつメシュエルの所へ移動した。


 「…戦う事すらせずに撤退したかと思へば、急にダンジョンが倒壊を始めて焦ったぞ。何がどうなっている?」


 メシュエルに説明を求められたので簡単に説明をした。


 「ダンジョンのコアを引き抜きました。強度を維持出来なくなりこのダンジョンは私が魔力の供給を止めれば倒壊します。つまり、貴方がここに居る理由も無くなりますね」


 「…そうだな。実は先ほどからここで来訪者を待たなければという使命感の様な物がどんどんと薄れているのを感じている。これはダンジョンが消える事を意味しているのだろうな」


 「と言う事でこの魔道具をお使い下さい」


 俺は脱出の魔道具をメシュエルに向かって放り投げた。

 脱出の魔道具が床を転がり、メシュエルの前足に当たって止まる。


 「これは?」


 「このダンジョンから脱出する為の魔道具です。私がダンジョンに魔力を供給している間はそれが使えます。我々と共にここを出ませんか?」


 「……」


 ※※※


 「エファン、あれは何だ?」


 「えっと~、何だろ?ボクがダンジョンに入る前は無かったと思うけど」


 「あれは観覧車だね。エファンがダンジョンから戻ってきたら一緒に遊ぼうと思って遊園地を造ってみたんだ」


 「かんらんしゃ?ゆうえんち…どっちも分からないです」


 「じゃあ今から一緒に行ってみようか。メシュエルさん、悪いけど俺も背中に乗せて貰えます?」


 「構わんが…お主たち、あのゴーレムを着れば飛べるのではないのか?」


 そんな身も蓋もない。

 そんな事言ったら観覧車自体意味ないじゃん。

 ジェットコースターだって速度はゴーレムで飛行するのと大差ないし。


 「……気分の問題です」


 メシュエルに跨るのは、あれだ、パンダカーにエファンと2人で乗るみたいな感覚だ。

 そう考えると俺1人で乗るのはかなり恥ずかしいな。

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