第275話 スマホやパソコンを作ると言ってもネット環境を整えれるわけでは無い。

 スマホやパソコンを作ると言ってもネット環境を整えれるわけでは無い。電話やメールやチャットは魔力の繋がりで相当な距離離れていても問題なく可能だが、例えば分からない事を調べたりすることも出来なければ動画投稿サービスに投稿された動画を楽しんだりすることも出来ない。

 だからぶっちゃけ最初はガラケーで構わないかなと思っていたのだが、ネイアがアプリを作れると言うのであれば任せてみても良いかなという事で、それっぽい魔道具を急遽拵えてみたので、さっそくそれをネイアに渡してみた。


 「簡単な物なんですけど、スマホを作ってみたので渡しておきますね」


 「え?!も、もう出来たんですか?」


 「今のところ搭載している機能は、電話、メール、チャット、カメラ、電卓ぐらいで、正直今のところガラケーと同レベルかそれ以下の機能しかないですね。勝っているのはカメラの画素数とメモリ容量ぐらいかな。一応ご家族分、3台ほど渡して置きますね。それとアプリの開発用のパソコン何ですが、一応作ってみたんですけど、正直かなり使い勝手は悪いと思います。使いながら気づいた点や改良点を教えてくれるとありがたいです」


 「そっちももう出来てるんですか?!ふわぁ……とんでもないチーターですね」


 「最近は自分でもちょっと自覚があります」


 「ちょっとなんですね」


 「あとネイアさんはツーリングが趣味という事で、魔導バイクを作ってみたのでそちらもプレゼントさせて下さい」


 「バイク!?良いんですか?!」


 「ええ、万が一遠方で壊れたりしてしまった時などの為にタンクの部分が次元収納になっていて、そこに予備の魔道バイクも2台ほど入っているので使って下さい」


 「い、至れり尽くせりですね」


 「それで、お父さんにも何か差し入れをと思ったのです、オリビエさんにお聞きしてもお父さんの趣味を知らないと言われてしまって。何が良いですかね」


 「そこまで気を使って頂かなくとも……ん?主人の趣味?」


 「どうしました?」


 「………………………知らない」


 「ええ~……」


 「結婚してもう20年以上経ちますけど、あの人が趣味らしい事をしている所を1度も見たことが無いです―――ちょっと聞いてきます」


 そう言うとネイアは立ち上がり俺を1人残してさっさと部屋から出て行ってしまった。

 本人に直接聞くんだ、それ。

 で、少しして戻ってきたネイアは何とも言えない微妙な表情をしていた。


 「どうでした?」


 「美味しい物を食べる事が好きだと答えられました。これ、趣味なんでしょうか?」


 「ふむ……前世でも食べ歩きを趣味としている人はいたので、立派な趣味なのでは?」


 「いえ、うちは外食は殆どしませんし……あの人の言う美味しい物って、多分普段の食事とか、たまに出すお肉とかだと思うんですよねぇ」


 そういえば、以前オリビエ先生がダンジョン肉を食べた時に、実家で食べたお肉の話しをしてくれたような?

 ……うん、思い出せない。


 でもそう言う事ならちょうど良い。

 お肉や果実を生成出来る魔道具をプレゼントしよう。


 今は手持ちが無いので次元収納から木の板と魔力液、それとペンを取りだしてさっさと魔法陣を描き上げる。

 ついでに木の部分が腐らないように防腐と、強度を増す為に硬化の魔法陣を描き加えた板も作り、最後にゴーレム魔法でそれらを組み合わせて箱型にする。


 「うわ!木材がうにょうにょ動いてくっ付いた!気持ちわる!!」


 ……気持ち悪くないもん、ゴーレム魔法超便利だもん。

 いや、気持ち悪くはあるか。


 「ゴーレム魔法でくっ付けたんです。ゴーレム魔法は成形にも使えますし大変便利ですよ?」


 「ゴーレム魔法?そういえばこの前オリビエが来ていたロボットのコスプレもゴーレムだって言ってたような?」


 「コスプレ……」


 「ゴーレム魔法ってゴーレムを作る為の魔法ですよね?」


 「基本的には、ただ幾らでも応用が利く魔法です。覚えておくとDIYとかやりたい放題ですよ?」


 「確かに!それは便利そうですね。この前は言いそびれましたけど、私DIYも好きだったんです。こっちじゃホームセンターすら無いので手を出していませんけど。私も覚えようかしら」


 本当に多趣味だなぁ。

 この様子だと他にも色々趣味があったのでは?


 「オリビエさんも使えますので、折を見て教えて貰うと良いかもですね。で、今俺が作ったこの魔道具なんですが、これはダンジョンから手に入るお肉を生成出来る魔道具でして、他にも果物なんかも………あっ」


 「どうしましたか?」


 「これ、お肉を1ブロック生成するのに魔力を1000も使ってしまうんです。魔力値が足りないかも。果物に至っては5000も必要ですし」


 「1000?それ、どれぐらいですか?」


 あっと、そうだった。数値化したのも俺だから1000と言われてもそれはピンとこないだろう。


 「魔力残量が分からないと不便だと、魔力を数字化する魔道具を作ったんですが、参考までにネイアさんの魔力を計らせて貰っても?」


 「そんな魔道具まで、ええ、お願いします」


 「それでは失礼して」


 次元収納から測定器を取りだしてネイアの魔力値を測定させてもらう。


 「未来の世界の猫型ロボットのポケットみたいですね」


 「ぼーくーアーバーえーもーんー!」


 「ぷははは!まったく似てない!しかも先代!」


 測定させて貰ったネイアの魔力値は1080。

 初めて会った時のイブを上回っている、と、思う。正確な数値は覚えていないが。

 ともすれば、ネイアの魔力値はSランク冒険者並みという事になる。

 が―――


 「ギリギリ生成出来ますが、生成しちゃうと魔力がほとんどからになってしまいますね」


 ネイアにはパン屋の仕事があるので【試しの遺跡】連れて行けないしなぁ。


 念の為オリビエ父(聞くタイミングを完全に逸してしまった為、名前はまだ聞けていない)の魔力値も測定させてもらったが、そちらは21と極端に低かった。


 当面の応急的処置として、魔力を1万程蓄えられる魔石(縮小版)をセットし、そこに予め俺が限界まで魔力を蓄えさせておいた。

 これでお肉を生成する度にネイアが500ぐらい魔石に魔力を補充すれば、2日に1回はお肉を生成出来るだろう。

 一応果物用の魔法陣を描いた物も用意するが、こちらはたまの贅沢だとか、オリビエ先生が帰省した際にでも生成してもらうなりして欲しい。


 最後に布教用にミニゴーレム数機と、第3王子の駆るヨルレア・フェーレの活躍、及びガステアの駆るトワイライト・ゴールドの活躍する映像が納められたデータとポータブルDVD風の再生機を渡して、お暇する事にした。


 そういえば、結局最後までオリビエ父の名前は聞けなかったな。

 

 

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