第227話 おお、王子よ。気を失ってしまうとは情けない。
おお、王子よ。気を失ってしまうとは情けない。
身体能力も上がっている筈なのにあんなにあっさり気絶するとは。
と、どうもそんなことを言ってる場合じゃなさそうだ。
[戦闘結果を、計算中...通常戦闘で、対象を討伐出来る、可能性、1.8%、遠距離魔法のみの、戦闘で、対象を討伐出来る、可能性、2.1%、
おおう、エボ君が暴走気味である。
まさかダンジョンの中で切り札を使うとは、しかも
ついでに俺がいる事も完全に無視である。いや、俺の事は気にするな、みたいな事はいったけどね?
臨場感の為にリアルタイムでコックピットの音声を盗ちょ―――共有出来るようにしておいて良かった。
「とりあえず巻き込まれたくないので一旦脱出」
俺はすぐに脱出の魔道具を取りだしてボタンを押し込んで魔力を流した。
エボは後でお説教です。
1分後、再び転移の魔道具でドラゴンのいる部屋に戻る。
そこではヨルレア・フェーレがボロボロになったドラゴンのブレスを耐えつつ、螺旋雷と魔法銃を撃ちこんでいる姿があった。
ここで俺が手を貸すと、2人で討伐した判定になり第3王子の魔力値の成長率が下がりそうなので、もう少し観戦しておく。
ドラゴンが少しでも近づこうとすると、ヨルレア・フェーレは直ぐに距離をとる。
出来るだけ一定の距離を保とうとするヨルレア・フェーレだが、いくら広いとはいえここは部屋のなか、流石に詰めらそうになる場面もある。その時は無理に接近戦闘せず、ただひたすらに距離を稼ぐ事に専念しているようだ。
ちょっと退屈な撃ち合いだな。
ちなみに、ダンジョンの部屋は無傷だ。この部屋、というかダンジョンの至る所に魔法を吸収する魔法陣が描き込まれていて、そのキャパシティは魔石の比では無い。何処に魔力をため込んでいるのかというと、このダンジョンに埋め込まれたコアの様な物が存在していて、全てそこに貯め込まれている様だ。ちょっと欲しい。取ろうと思うと頑張れば多分取れるが、コアを取りだすと当然ダンジョンは崩壊するし、崩壊させてしまうと訓練やらドロップアイテム集めやら大変そうだから止めておこう。後色んな所から怒られそうだし。
ドロップアイテムと言えば、ダンジョンのモンスターが宝箱を落とす確率や、その中身が何であるかの操作、またその中身を形成するのも全て魔法陣で行っている様だ。つまり例の謎肉やらは全て魔法で作られた物という事になる。魔力を注ぐだけで無限に増える金属もあるし、不思議でもないのか?とにかく、この魔法陣を読み解ければ例の魔力値を上昇させる桃などが魔法陣で簡単に生み出せるようになりそうなのだが、膨大な魔法陣に合わせて、なんの効果も持たないダミーの魔法陣を大量に描き込まれていてこのダンジョンの魔法陣を全て解読するには2年ぐらい掛かりそうだ。収集はカボたちに任せて空いた時間にコツコツやって行こう。
おっと、考え事をしている間にそろそろ勝負に決着が付きそうだ。
ドラゴンは徐々に動きが鈍くなり膝をついた。
ヨルレア・フェーレ、というかエボはそれでも決して近づかず、遠距離攻撃のみで戦い続ける。そろそろヨルレア・フェーレの魔力も無くなると思うけど、さて、ドラゴンが絶命するのが早いか、ヨルレア・フェーレの魔力が切れるのが早いか、さぁ張った張った。
最後にヨルレア・フェーレが放った螺旋雷は、何とかドラゴンの命を奪う事に成功し、ドラゴンはそのまま光の粒子になって消えていった。
[対象の、消滅を確認。ヨルレア・フェーレの、魔力残量...0.1%、操縦者の、意識が回復するまで、活動を停止します]
さて、第3王子が目を覚ます前にカメラのデータを回収しておくか。
正義の輝きを使う可能性は低いと思っていたけど、念の為に魔力吸収を施しておいたのだ。魔石だとキャパオーバーしてしまう可能性があったので、カメラが吸収した魔力はダンジョンのコアに流れるようにしてある。
カメラのデータを蓄積しておくための魔法陣が描き込まれた板を全て回収してから、第3王子を起こすために外からヨルレア・フェーレを遠隔操作しハッチを開く。
王子に目立った外傷はないようだ。とはいえ打ち所が悪い可能性があるのでサービスで回復魔法を掛けておく。
「……う……ぅ」
「お目覚めになられましたか」
「ア、アーバン殿……!?ド、ドラゴンは?!」
「殿下が気を失っている間にエボが
「エ、エボが?私の代わりにヨルレア・フェーレで戦ったのか?……という事は、私の操縦はエボ以下、という事か……」
「……ん?あ、いえ、切り札である広範囲攻撃魔法である
機体の名前と、必殺技の名前を同じにするとこんな事もあるか。ちゃんと発動って言ったんだけどな。まぁ必殺技の名前は第3王子のセンスだし、本人が気に入っているみたいだから別に良いか。
「こ、ここでアレを使ったのか?!……その割には壁など一切無傷のようだが?」
「ダンジョンの壁は、ほぼ全ヵ所で魔法を吸収する様です。吸収できる限界もかなりな量なので、実質ダンジョンの壁を魔法で壊すのは不可能ですね」
「そうなのか……待て、アーバン殿はどうやって無事だったのだ?アレが使われれば部屋全体に魔法が行きわたるであろう?」
「……事前にエボが警告してくれましたから。一旦魔道具で脱出し、再び戻ってきたのです。なぁ、エボ?」
[……ハイ……]
「そうか。それにしても、気絶してしまうとは、我ながら情けないな…」
「最初から強い者など……そんなにはいません。今回の敗北も必ず殿下を成長させてくれています」
魔力量とか、身体能力とかは特にね。
「それとも、たった1度の敗北で諦めますか?」
「まさか。負けたくないとはもう思わないよ。勝つまで、何度でもだ」
「その意気です。とはいえ流石に私がいない時にドラゴンと戦うのはオススメしません。お互いの時間の都合が会えば、その時には喜んでお付き合い致しますので」
「ああ、心得た。勇敢と無謀は違うからな」
「それでは戻りましょうか。あぁ、ヨルレア・フェーレの魔石は空ですので、後で補充するのをお忘れなきようお気をつけください」
「分かっているとも」
「あ、そうだ殿下、エボのメンテナスをしたいので一旦エボをお借りしても?」
[メンテナンスは、不要だと、判断します]
「何をいうエボ、開発者であるアーバン殿が必要だと言っているのだから見てもらうべきだろう。アーバン殿、よろしく頼む」
「ええ、お任せ下さい」
[………]
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