第218話  ウルド用にバッファローをイメージしたゴーレムを製作していると、

 ウルド用にバッファローをイメージしたゴーレムを製作していると、王城からの使者が息を切らせながら伝令を持ってきた。


 「現在王都に向けて大量の巨大モンスターが接近中、ヌゼ殿並びにコーネリア殿は直ちに搭乗型ゴーレムでの応戦を願う!」


 との事。


 コーネリアは現在【試しの遺跡】で訓練中だし、ヌゼはワーゲルと遊ぶために王城に出向いている。

 訓練を行うメンバーはきちんと報告しているし、ヌゼが王城に居る事を把握していないなんて事は無いだろう。

 だぶん情報の行き違いじゃなくて、それを装って俺やチラズの耳にも王都にモンスターが接近している事を知らせて、あわよくば出撃して欲しいとかそんな感じじゃないだろうか、勘だけど。

 いや?もしそうなら第5王子とサリーが婚約状態なんだから普通に要請って形を取りそうなもんか?本当にただの行き違いか?分からんし、考えるだけ無駄だな。


 さて、今回俺は出撃するのかと問われると今回は出撃しない。

 

 俺はゴーレムに乗って戦うのも好きだが、自分が作ったロボット型のゴーレムが戦う姿を見るのはもっと好きなのだ。万が一の時は手を貸すのはやぶさかではないが、それまでは傍観者に徹しようと思う。


 ということで、まずは前もって作っておいた複数の空撮用ドローンゴーレムの紹介です。

 今のところ俺が作るゴーレムの魔力が届く距離は500メートルが限界なのだが、これらにはカボを元に作ったAIを搭載しているので、距離は関係なく魔力が切れるまで対象を撮影しに行ける。ちなみに喋らない。


 俺の体は1つしかないので、直接戦闘をこの目で見れるのは1カ所だけだ。残りはドローンたちに撮影してもらって、帰ったらゆっくり鑑賞会をしようと思う。

 で、俺が見に行くのはまだ戦闘する姿を見たことのないトワイライト・ゴールドだ。チラズのドラゴレイムの戦闘も見逃したのだが、どうせ速攻で終わっちゃうだろうし、そもそも出撃するんだろうか?


 「アーバン義兄さんは出陣されるんですか?」


 ちょうど俺がそんな事を考えていると先にチラズに尋ねられてしまった。


 「いや。俺は今回は見学するよ。チラズは?」


 「そうですね、態々王家が知らせてきたと言う事は現在の戦力では王都に被害が出る可能性があると判断したからでしょう。王都に被害が出るのは見過ごせませんし、義兄さんの許可が頂けるなら出陣しようと思います。王家の思惑に乗るのはあまり面白くはありませんけどね」


 「ん?なんで俺の許可が要るの?」


 「え?いや、なんでと聞かれても……むしろ要らないんですか?」


 「要らないけど?」


 「そ、そうですか……では出陣しようと思います」


 「うん、必要は無いと思うけど気を付けてね。あ、そうだチラズはまだそこまで魔力値が多く無いし20~30メートルサイズで戦うと良いと思うよ」


 一瞬で終わっちゃったら後で鑑賞会をする時に見応えが無いからね! 


 「アドバイス有難うございます。そうですね、そうします」


 それにしても、そうか、チラズも魔力を上げないとなぁ、ゴーレム魔法の習得も早まるかもだし。ダンジョンは【試しの遺跡】だけじゃないんだし、元冒険者の4人には【西のダンジョン】のボスのいる階層まで潜って貰って、そっちが魔力値上昇の訓練に使えるなら2手に分けるのもありかな?

 最近皆からは休みが多すぎるという謎の御小言を頂いたし、そろそろ【西のダンジョン】の探索を再開しても良いだろう。

 それにしても、休み何て多ければ多い程嬉しいものなんじゃ無いのだろうか?


 さて俺はパワードスーツゴーレム(ジェットパック装備)でトワイライトの戦闘を見学しに行こう。


 それにしてもわざわざ俺の為に巨大な敵を用意してくれるなんて、オーヘイムだかカドゥレーンだかは中々気が利く国である。でも出来ればロボット対ロボットが見たいので巨大ロボを用意して下さい、よろしくお願いします。


 ……なさそうだな。

 もういっそ態と隙を見せて盗まれる用の搭乗型ゴーレムでも造ってやろうか。

 ロボットは奪取、強奪、鹵獲される物だし。

 冗談です。やり過ぎですね、わかります。


 そういえば以前こんなアイデアを思い付いた。

 見知らぬ誰かへのプレゼントとして、ダンジョンの最奥にゴーレムを封印しておくのはどうだろうか?と。

 遺跡から発掘されるとか、谷底で凍り付いているとか、そんなパターンのアニメを幾つか知っているし、今の俺ならダンジョンの魔法陣をちょちょいと描き換えてボスを討伐すると奥の壁がボロボロと崩れ落ちてそこから発掘されるなんてパターンも作れるのでは?


 ……誰がダンジョンの最奥まで辿り着けるんだよ。

 ウチの子たちだけじゃん、ダンジョンの奥まで辿り着けるの。


 まぁ、俺の死後数千年後とか発掘されるのもそれはそれで浪漫を感じなくは無いが、出来ればこの眼で発見者のリアクションを見たいしな。

 という事でこのアイデアも没にしたのを、強奪用ゴーレムなんて馬鹿な事を考えていて思い出した。


 おっと、余計な事ばかり考えているとガステアがモンスターを全滅させてしまうかも知れない。急いで出発しよう。

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