第197話 カボに新しいボディを作ってみた。
カボに新しいボディを作ってみた。
大きさ80センチ、人型だが3頭身。見た目は昔見た単三電池で動く小さなロボットを参考にしている。相変わらずまるパクリだとポリシーに反するので、多少は変えている。色は黄色とオレンジがメインで、キツネ耳の様な耳を付けている。材質は元冒険者たちが追加で持って帰って来てくれたオリハルコンを使用している。総オリハルコンでは無く、内側はいつものように魔物の素材だ。
このオリハルコンだが、鉄の数倍丈夫で、ミスリルより扱いやすく、重さは鉄の半分と結構便利だ。難点があるとすると入手しづらい点ぐらいかな。カボにそんな金属使う必要があるかと聞かれると、特に無い。
頭部にカメラやマイク、スピーカーなど色々集中してるのに対して、ボディにはカボの本体である木箱、カメラが録画録音したデータを蓄えておく為の板状の魔道具、それと縮小した魔石が埋め込まれているだけだ。
魔石だが、縮小しても溜めて置ける魔力量に変化はなく、また、その状態で溜めれる魔力量にも変化はない。
もしこれが広まれば魔石の価値は格段に上がってしまうだろうが、まぁ、今のところは縮小の魔道具を持っているのは俺だけ、或いは極少数の者だけだろうから、それほど問題視しなくて大丈夫だろう。
[私ハサポートAIノカボデス、何カオ手伝イ出来ル事ハ有リマスカ?]
………別に手足が生えたところで、やっぱり手伝ってもらう事はないな。
「色々学習して欲しいからメイドさんとその辺を散歩してきてくれる?」
[了解シマシタ]
「アーバン様、カボちゃんを案内する役目は是非私目に!」
いつも箱詰めなどの作業を手伝ってくれる若いメイドが手を上げた。さては仕事をサボりたいだけだな?良いけど。
「それじゃ、お願いするね」
「やった!そ、そうだ、カボちゃんについて何か注意事項は御座いませんか?」
「注意事項?」
「ここには連れて行ってはイケないとか、火や水に弱い、定期的に魔力を与える必要があるなど、そのような事は御座いませんか?」
「……特にないかな。魔力は5日ぐらい持つし、火にくべても水に沈めても問題なく活動できるし、ああ、でも水深5,000メートルとかになると水圧に耐えられるかちょっと不安だな」
[…………]「…………」
「注意事項は特にないけど、学習が目的だから色々教えながら散歩してね」
「はい、畏まりました」
メイドは恭しく頭を下げた後、カボの手を引いて工房から出て行った。
さて、カボの事はメイドに任せるとして、俺は次にダンジョン探索用のパワードスーツゴーレムの製作に取り掛かる。
サリーが第5王子と婚約した今、流石にサリーを誘うわけにも行かなくなったので、今目を付けているのは、チラズ、オリビエ先生、そしてカボだ。
カボは魔力値が伸びることが無いが、ヨルレア・フェーレに搭載するサポートAIとしてレーダーやエネルギー残量の管理、そのたサポーターとしての学習の為に連れて行きたい。
それと出来ればダンジョン探索に慣れた元冒険者の4人の中から1人は連れて行きたいな。普通に考えればイブかウルドになるだろう。
チラズやオリビエ先生がダンジョンについて来てくれるかは置いておいて、パワードスーツゴーレムを作っておいて損はないので、取り敢えず人数分作って置く。
今回は全ての機体の材質は鉄をメインに作る。これは魔石の縮小にも成功した事で、エファン機に組み込んでいる魔法を吸収する魔法陣がさらに効率良く利用できるようになったからだ。最初に魔石に魔力を溜めておき、その魔力を使いながら進み、途中魔石の魔力が切れれば、そこからは自身の魔力で進み、魔法を使ってくる敵などの攻撃魔法をワザとその身で受けて魔石に魔力を蓄えれれば、またその魔力で進める。
次元収納も小型化出来るのだから、魔石を収納した次元収納を組み込めば良いのでは?とも考えたのだが、魔石に魔力を蓄えるのはそれなりに大変なので(使用人たちが)出来れば控えたいという事で、この形式に落ち着いた。
最初はサービスで、俺の魔力で魔石を充電(充魔?)しておくが、次からは使用者自身の魔力で行って欲しい。
俺の愛機は相変わらずツヴァイをベースにした。なんだかんだ思い入れのあるデザインだ。
初めて作った時より早く作れるようになっているとはいえ、縮小の魔道具が使える事で工程は増え、1機目が完成する頃には日が暮れていた。
ふと、辺りを見回すとまだ、メイドとカボが戻って来ていない事に気が付いた。
もしかして何か問題でも発生したのか?
と、思った時に、ちょうどメイドがカボを連れて戻ってきた。
「ただいま戻りました」
[任務終了。散策モードヲ終了シマス]
普通にこの時間まで散歩していただけらしい。
そういえば、どれぐらいの時間とか指定しなかったな。
「お帰り。何も問題とか無かったかな?」
「はい。カボちゃんは言う事をちゃんと聞いてくれるお利巧さんですし。メイドが立ち入ることを許されている場所はあらかた案内出来たと思います」
1日でそんなに案内したのか、それは日も暮れるよな。
「お疲れ様、今日はもう上がって良いよ」
「それでは、失礼致します」
工房を出て行くメイドを見送って、俺はカボに向き直る。
「何か問題が発生したりしてない?」
[問題アリマセン。全テノ機能ハ正常ニ作動シテイマス]
「それは良かった。それじゃ、今のカボの魔法陣の状態のチェックと記録、それと動画の画質や音声を確認するから、背中のカバーを外すぞ?」
俺はゴーレム魔法でカバーを止めている8カ所のネジを同時に回して外し、カバーを取り外す。
[キャー、エッチー]
「………」
[………]
「余計な事を言わない」
[失礼シマシタ]
先ずはカボの本体である木箱を取り外し、それを開け、中の魔法陣をチェック。その後写真に収めて記録として残しておく。こうすれば例え次の瞬間に木箱ごと魔法陣がボロボロになろうとも、今の状態のカボを再現できる。
次に録画データの確認。
録画データが記録された板を取り出して再生用の魔道具にセットする。
ポータブルDVDプレイヤーの様な見た目の奴だ。
「ほら、カボちゃん。アレは噴水、アレは生垣、どちらもお庭をとても綺麗に彩ってくれてるのよ」
[噴水、生垣……記録シマシタ]
画像、音声共に問題なさそうだ。これならこのままパワードスーツゴーレムに組み込んでも問題無いだろう。
俺は今日カボが消費した分の魔力を補充しながら動画を4倍速で確認する。
カボの魔石の補充が終わったので、動画を切ろうとして、その前に一度等倍に戻した時だった。
「ここは、使用人の為のシャワー室よ。使用人の為に態々アーバン様自ら設置して下さったの。たかだが使用人の為にここまでして下さる貴族様は他に居ないわ。私たちは幸せ者ね。あ、今ちょうど何人か使用しているみたい。みんなにカボちゃんの新しくなったそのめちゃくちゃプリティな姿を見て貰いましょう」
おや?おやおや?
ここから先は人として絶対見てはイケない動画なのでは?
いやしかし、しかしだ。そう、メイドさんも気にしていたでは無いか、水場でも問題無いのか、と。俺は無いと返事をした。確かにカタログスペック上なんの問題もないのだ。しかし開発者として、実際に問題が無かったのか、この眼で確かめる必要があるのでは無いのか?ある!間違いなくある!
……ということでちょっとだけ。
「みんな~みてみて、アーバン様がカボちゃんの新しい姿をお作りになったの。凄く可愛いでしょ!」
うむ!眼福である!!
「きゃ~、かわいい!」
「そう?私はもっとフサフサさせて頂きたかったわ」
「サリー様のシェルやスノーみたいな?」
「もっとこう、もっこもこのふっさふさな感じ」
「……それ、可愛いの?」
「間違いなく可愛いわ」
「カボちゃん、こっちおいでぇ。一緒にシャワー浴びましょう」
「ちょっと、魔道具って繊細なんじゃないの?濡らしたりして大丈夫?」
「アーバン様曰く、水中でも問題ないそうよ?」
「そうなの?凄いのね、カボちゃんは」
[カボハ凄イ、覚エマシタ]
……流石にそろそろ罪悪感の方が強くなってきた。
……………もうちょっとだけ見たらこの部分のデータは消そう。
そう考えていた時、後ろからオリビエ先生に声を掛けられた。
「アーバン様、何をご覧になってるんですか?」
ぎゃーーーー!
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