第113話 「え、えっと……解説のゴドウィンさん。

 「え、えっと……解説のゴドウィンさん。今の試合を振り返ってみていかがでしたか?」


 「え?振り返るのかい?そうだね単純にチーム舞い降りた堕天使があまりに弱すぎた。何処と当たっても勝てなかったんじゃないかな?」


 おい止めろ。せっかく出場してくれた生徒に何て事を言うんだ。


 「なるほど、チーム右手に剣を、左手に盾を、心に誇りをは武術部と魔術部の生徒で構成されたチームだったわけですが、剣や魔法の腕前がゴーレムの操作に与える影響はあるのでしょうか?」


 「もちろんあるさ。今回のHMGシリーズは剣と盾を装備しているから剣術の型なんかはそのまま流用出来るし、魔力コントロールの練度は普通の魔道具にはそこまで重要じゃないけど、ことゴーレムに関しては重要さ。特にHMGシリーズは影響が操作に出やすいね」


 「その辺りの練度の差が勝敗を分けたわけですね、ありがとうございました」


 勝敗を分けるってほど接戦じゃなかっただろ……おっと、俺もムスタファの事は言えないな。


 「さぁ、次の試合に移ります。青コーナー、チーム美術部の5人!!」


 出て来たのは5人の女子生徒だ。

 美術部って女子生徒が多いのか?

 待てよ?だとしたら仮に俺が入部したら女子生徒に囲まれて裸婦画を描くことになったのか?……それはキツいな。


 「チーム美術部の5人は当然全員美術部です。それも1年生から5年生までが各1人ずつという少し変わったメンバー構成だそうです。さぁ、リンクという名のキャンバスに勝利という絵画を描けるのか?!」


 さっきからちょいちょい実況のメロウが一言差し込んでくるのが気になるな。

 上手い事言えてるのかコレ?


 「続きまして赤コーナー、チーム謎の仮面集団!」


 出て来たのは制服に目元だけの仮面で顔を隠した生徒が5人。制服からすると男子生徒が1人に、女子生徒が4人のようだ。

 男子生徒がしているの白い無地の仮面、金髪も相まって赤いゴーレムが良く似合いそうだ。マスクの形がパピヨン型なのが気になるが。

 女子生徒たちも各々違うマスクを装着している。大体どれも煌びやかで宝石が散りばめられている。


 「チーム謎の仮面集団はその名の通り全て謎!学年、氏名、性別、全て非公開だそうです。まるで仮面舞踏会の様ですね。ゴーレムという仮面を纏い華麗なダンスを披露してくれるのか?!」


 さては何も思いつかなかったな?ダンス部でもないのに無理やりダンスに掛けて来たぞ。あとあの生徒たち性別は隠す気ないだろ。


 「それでは選手の皆さまはゴーレムに魔力を流して下さい」


 先ほどまでと同じく、チラズが促すことによって選手たちがゴーレムに魔力を流していく。


 「それでは皆さん、準備は宜しいですね?………はじめ!!」


 「さぁ、第3試合の開始です。おっと、これはチーム美術部の5人、変わった陣形を取っていますね」


 メロウの言う通り、美術部の5人の陣形はかなり珍しい。縦一列だ。


 「あの陣形にはどういった意図があるのでしょうか?解説のゴドウィンさん」


 「ちょっと分からないな。普通ああいった陣形は敵の密集隊形を1点突破するときなどに用いるものだと思うのだけれど」


 「同数の戦いで用いるものでは無いと?」


 「そうだね」


 「なるほど、チーム美術部の5人があの陣形からどういった戦術を見せてくれるのか、楽しみですね。迎え撃つチーム謎の仮面集団は横一列、これまでにも見られた陣形ですね」


 「奇策を用いないなら、アレが一番5機でのパフォーマンスを発揮できる陣形なんじゃないかな。今回はレンタルしたゴーレムで戦う訳だから、事前に訓練する時間もなかっただろうしね」


 それにしてもムスタファはずっと真面目に解説してるな。意外だ。今後大会などを行う場合、解説は彼に任せて良いんじゃないだろうか。


 「さぁ、いよいよ両チームのゴーレムが接触し―――あぁっと!!チーム美術部の5人の先頭のゴーレムが剣を捨てて両手で盾を構えた!!」


 「「「「「えっ?!」」」」」


 謎の仮面集団が驚きで声を上げる。というか俺も驚いた。


 「そのまま敵ゴーレムに突っ込む!!」


 タックル?あまりポイントは出ないと思うけど……


 「こ、これは―――後ろのゴーレムが先頭のゴーレムの背中を押している?!」


 「なるほど、場外に押し出すつもりだね」


 「こ、この!!」


 「当然相手は藻掻くが……これは脱出出来ない!チーム美術部の5人、そのまま敵ゴーレムを押し出した!!」


 「これは中々思い切ったね。これで実質5対4。戦闘をかなり有利に運べるね。なかなかエレガントじゃないか」


 「おや?5体で1体を相手にするのはエレガントでは無いから好きじゃないと仰っていませんでしたか?」


 「ボクは取り囲むのが嫌いだと言ったんだよ?連携は集団戦闘の華、嫌いじゃないさ」


 「そ、そうですか」

 

 取り囲むのも連携だろうに。

 やっぱり、今後も解説をムスタファに任せるのはちょっと考えよう。


 その後の試合は中々の泥仕合だった。

 1人1人の技量は謎の仮面集団の方が上。しかし数の有利はやはり大きい。


 結局制限時間ギリギリで美術部の5人が100ポイント獲得し勝利した。

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