第97話 肝心の景品だが、正直5つともあまり興味を惹かれなかった。

 肝心の景品だが、正直5つともあまり興味を惹かれなかった。


 1つ目は魔法剣。それこそ俺も作った事がある火の魔法剣だ。威力も俺が作るものより控え目で、正直要らない。いや、売って換金するのもありか?天然物は高く売れるらしいからな。


 2つ目は魔道具で、ダンジョンで使用すると入り口に戻るという物だ。使い捨てな上にダンジョン限定なので使い処がない。ただ、魔法陣の構造は興味がある。とは言っても既出の魔道具なので、既に書物で写しを見たことがある。かなり複雑な魔法陣だが、1ケ月もあれば解読出来るだろう。態々現物は必要ない。


 3つ目は謎の金属の塊。これは本当に何なのか分からない。説明書きにも未発見の金属の可能性が高いとしか書いていない。


 4つ目は魔法薬。飲めば最大魔力の2割が瞬時に回復するという物だ。店売りなら大量に買い込むが、1つしかないのでは微妙だ。また俺は錬金術は門外漢なので、おそらく複製、量産は不可能だろう。


 5つ目も魔法薬。飲めば最大魔力が微昇するらしい。効果は最大魔力の約0.3パーセント。本当に雀の涙だ。


 悩んだ末、俺は謎の金属の塊をゲットした。もちろんあわよくばゴーレムの素材にでも使えればな良いな、ぐらいの考えである。ちなみに量は両手で持てる大きさで重さは2キロ程度と割と軽い。


 「本当にそれで良いのですか?用意した私が言うのもなんですが、それは1番有用性に欠ける気が致しますが」


 「ええ。これがどういった金属なのか興味があります」


 もしかしたら、何か面白い特性を持っている可能性もあるからな。


 「畏まりました。では、手続きを致しますのでこちらへ」


 あ、手続きとか要るんだ。




 その後、フローラにせがまれて的当てを実演して見せたり。またも入部を進められて断ったり、サリーやチラズに普通同時に生み出せる魔法は2つまでで、それも精度が落ちるから、命中率が大事なあの場面では不適切だと言われた。

 そんなまさか。現に俺に複数魔法のコントロールを教えてくれたオリビエ先生が同時に扱う魔法の数は10を軽く超えていた。


 「俺に魔法を教えてくれた家庭教師の先生は、普通に10は生み出していたけど?」


 「アーバン君以外にもそんな化け物が?」


 ちょっと?誰が化け物ですか。失敬な。


 「サン家は魔法の名家として名高いと自負していますが、おそらく両親でも3つか4つが限度だと思われます。その家庭教師のお名前は?」


 「オリビエですけど」


 「オリビエ……聞かない名ですね。それだけの腕があれば噂になっている筈ですが……家名は?」


 「先生は確か平民だと言っていたと思います。だから家名はありませんね」


 「「「平民?!」」」


 皆の声がハモった。


 「あ、ありえません。平民の魔法が貴族の魔法を凌駕するなど―――」


 「平民は学ぶ機会などまず与えられませんからね。平民が使う魔法は独学が殆どだと聞きます」


 「爵位を没収された元貴族?いえ、それだとはやりオリビエなんて名前聞いた事が……偽名?」


 「多分生まれも平民だと思いますよ?平民だという事で家庭教師の仕事も中々見つからなかったと聞いた気がします。もと貴族なら少しぐらい伝手がありそうじゃないですか?性格も魔法の腕も素晴らしい人物でしたし」


 だからアーバン君の様な、美人ならなんでも良いというエロガキの所で家庭教師をする羽目になったのだろう。


 「グ、グランシェルド君。そのオリビエという人物に連絡は取れるのですか?」


 「多分。父が見つけて来た家庭教師なので、父に聞けば連絡先は分かるかと」


 美人の家庭教師じゃなきゃやる気が出ない!と何人も家庭教師を変えさせて両親を困らせた記憶が微かに残っている。これは酷い。まぁ、おかげでオリビエ先生に巡り合えたわけだが。


 「連絡先が分かったら教えて頂けますか?」


 「勿論。本人の許可が取れれば、喜んで」


 「え?」


 「……ん?」


 俺の言葉にフローラと、周りの人間が呆けた表情を見せた。

 ん~?俺何か変な事言ったか?


 「あの、アーバン先輩。話によるとオリビエという人物は平民なんですよね?」


 「そうだね」


 「何故、平民如きの許可が必要なんですか?」


 おっと。普段常識人なチラズとは思えない鬼畜発言―――かと思ったが、この世界の貴族の価値観だとこれが普通だと、今は知っている。


 そんな常識クソくらえだ。


 と個人的に思うが、ここで彼らに俺の考えを説明しても同意は得られないだろう。これも長年の経験則だ。時間の無駄と諦めてしまう癖がついてしまった。

 俺の考えを変えるつもりは無いが、彼らの考えを変えれるとも思っていない。

 なので、ここは適当に相手に合わせた。


 「そうだね。では連絡先が分かり次第、お知らせします」


 笑顔を張り付けて応えた。

 もちろん本人が望まないなら教える気は無い。

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