ミステリアス・スパークル:青春の謎解き

@minatomachi

第1話 桜の下の秘密

桜ヶ丘学園の春——満開の桜が校庭を彩り、新学期の始まりを祝っていた。青空の下で咲き誇る桜は、その美しさで誰もを魅了し、学園の生徒たちの心を躍らせていた。


朝倉紗英は、そんな桜のトンネルを抜けながら、胸に広がる不安を感じていた。親友の中村莉奈が突然この世を去ってから、紗英の心にはぽっかりと穴が開いていた。莉奈の死は事故と片付けられたが、彼女の残した日記には謎めいたメッセージが記されていた。


「学園の地下室、そして黒崎蓮……」


紗英はその言葉を何度も頭の中で繰り返していた。学園の地下室など、噂でしか聞いたことがないし、黒崎蓮という名前にも覚えがない。それでも、莉奈が最後に残した手がかりを無視することはできなかった。


「紗英、大丈夫?」声をかけたのは、同じクラスの藤原恵だった。彼女はネットワークに詳しいハッカーで、紗英にとって心強い味方だった。


「うん、大丈夫。莉奈のことを考えてただけ」紗英は微笑みを浮かべて答えたが、その笑顔はどこか寂しげだった。


「学園の地下室って、本当にあるのかな?」恵は好奇心旺盛な目で紗英を見つめた。「それに、黒崎蓮って誰なんだろう?」


「それを調べるために、私たちがいるんだよ」紗英は決意を込めた声で答えた。「莉奈が残した手がかりを追って、学園の謎を解き明かそう」


放課後、二人は学園のミステリー研究会に足を運んだ。そこには会長の佐藤真希が待っていた。彼女は3年生で、学園の謎解きに関しては一目置かれる存在だった。


「紗英、恵、待ってたよ」真希は落ち着いた笑みを浮かべて二人を迎えた。「莉奈さんのこと、聞いたわ。私も協力するよ」


「ありがとう、真希さん」紗英は深くお辞儀をした。「莉奈が残した手がかりを元に、学園の地下室と黒崎蓮について調べたいんです」


真希は頷き、手元の資料を広げた。「地下室のことは以前から噂になっていたけど、確かな情報は少ない。だけど、この学園には隠された歴史があると言われているわ。そして、黒崎蓮……彼については全く情報がない。でも、何かのヒントがあるはず」


三人はその夜、学園の古い図書館に足を運び、隠された秘密を解き明かすために調査を開始した。古い書物や新聞記事、そして学園の歴史を紐解いていく中で、徐々に明らかになる真実。


「ここに書かれている……黒崎家はかつて、この学園の設立に関わっていたんだ」真希は古い書物を指さしながら言った。「黒崎蓮は、その末裔かもしれない」


「でも、どうやって彼にたどり着くの?」恵が疑問を投げかけた。


「まずは地下室を探そう」紗英は決意を新たに言った。「そこに何か重要な手がかりがあるはず。莉奈が残した最後のメッセージを信じて」


その夜、三人は学園の地下室への入り口を探し続けた。そしてついに、桜の木の下に隠された秘密の扉を発見した。


「これが……地下室の入り口?」紗英は驚きと共に呟いた。「莉奈のメッセージは本当だったんだ」


ドキドキと胸を高鳴らせながら、三人は扉を開け、暗闇の中へと足を踏み入れた。そこに待ち受けるのは、果たしてどんな真実なのか——


次回予告

学園の地下室に隠された秘密とは?黒崎蓮の正体に近づく紗英たちの前に立ちはだかる新たな謎。次回、「地下室の影」。紗英たちの冒険は、ますますスリリングに——

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