第15話 港町デート

 日夏に帰られない様に必死こいて調べたデート先であるメリケンパークにご到着。ここは三ノ宮駅から徒歩一五分程で着く、神戸市民憩いの場。


 メリケンパークは神戸港にある公園で、船にまつわる展示を行う博物館や、日本を代表するホテル、神戸のランドマークである神戸ポートタワーがある。


 入園料は無料。高校生に優しい設定額だね。


 様々なモニュメントや建築物を楽しみながらパーク内を南に進んで行く。パーク内の照明も神戸らしく、めっちゃオシャレである。


 南まで進んで行くとBE KOBEのモニュメントがあった。


 真っ白く自分の身長より大きいBE KOBEの文字は、阪神淡路大震災をきっかけに生まれた、「神戸の魅力は人である」という思いを集約したもの。新しいことに挑戦する人や、気持ちを愛する神戸を誇りに思うメッセージとして広がっている。


 そんなBE KOBEは観光客にも有名な人気スポットで映えスポットのひとつだ。


「せっかくだし、ここで写真を撮らない?」


「別に良いけど、ネットにあげないでね」


「あげねーよ。そんなモラルのない人間じゃないさ」


「ふぅん。だったら、その写真を見返して、にやにやするんだ」


「変態じゃねぇか」


「変態でしょ? 私のパンツ見てたし?」


「あれ? 今日もいちごパンツ?」


「よし、撮らない」


「わーわー。うそうそ。冗談だよ、冗談」


 日夏の気持ちが変わらないうちにさっさと撮ってしまおう。俺はスマホをインカメに設定して構える。


「最高の一枚をよろしくね。カメラマンさん」


「ナチュラルにプレッシャーをかけて来やがる」


 腕を精一杯伸ばしてインカメでピントを合わせる。


 画面を見ながら夏枝がこっちに寄ってくるもんだから、彼女の香りがして、ドキっとしながらシャッターを切った。


 カシャ。


 すぐにスマホの画像フォルダに入っていく写真を開いてみせる。


 そこにはブレブレの写真があった。


「自分で言うのもなんだけど、こりゃ四流だわ」


「四ツ木くんなだけに四流?」


「反論の余地なし」


「言い訳の準備は?」


「言い訳の余地のなし」


「潔し。じゃ、カメラマンを交代しましょ」


 今度は夏枝がスマホを出して腕を伸ばす。


「ほらほら四ツ木くん。もっとこっち寄って」


「こうか」


 余裕ですよー。みたいな感じを出しつつ、ドキドキで彼女へと近づく。


 いや、こんな美人に近づく行為をして、ドキドキしない男子はいないわけですよ、はい。


 カシャ。


 日夏がスマホのシャッターを切って、すぐに写真を見せてくれる。


「……」


「……」


 ブレブレだった。


「言い訳の準備はできたか?」


「わたし撮るより撮られる側だから」

「お前は歌う側だろ」

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