見える子と魔女と■/07-02


 エルシィは微笑みながら私の前に紅茶を置こうとするが、ドーラがテーブルの上で腹を見せて大の字に寝ているのが邪魔だと一瞬にして顔を歪めたのが分かり、私はドーラを膝の上のせるとエルシィから「ありがとう」と言い紅茶とお菓子をテーブルに起きエルシィは私の対面に座った。


「どうぞ、召し上がれ」

「……あの、砂糖ありますか」

「ふふ、ハチミツが少し入っているから一度飲んで、それでも足りなかったら取りに行くわ」

「わかりました……ーあ」

「ふふ、気に入って貰えてよかった」


 私が緊張感が解れたと分かってほっとした表情を浮かべるエルシィも自信のカップに口をつけゆっくりと話を始める。


「まずは話す前に貴女の名前を教えてくれない?」


 エルシィに言われるまで自身の名前を言っていなかったことに気づき慌てて答えた。


結月ゆずき つむぎです」

「それじゃ紬って呼んでいい?」

「はい。私はエルシィさんで良いですか?」

「うん、よろしくね。紬」


 エルシィは優しく私の名前を呼び終えると、小さく笑いながら指を指した。


「”それ”名前は知っているとおもうけれど、紬が抱え込んでいるのがドーラ。私達はこの社に長い間生活させて貰いながら周囲の人達を見守っているの」

「ドーラから聞きました。駅の近くの神社の神主から頼まれたとか」

「ふふ、大昔にね。こっちに来た時に、何代か忘れたけれど、住職に住まいが無いならここを使ってくれと言ってくれてね。それから拠点として、ずっと住まわせてもらっているお礼に見守っているの」

「大昔から?」


 エルシィの言葉に疑問を感じ聞き返すと想像よりもはるか上の答えが返ってきた。


「一昔が10年と聞いているから100年前だから大昔」

「ん、え?100年前」


 エルシィが答えた数字に私は驚いた。

 なぜならエルシィの見た目は18,9歳の女性にしか見えなかったからだ。

 この人はいったいどれだけの時間を生きてきたのだろう。

 100年以上生きて時間が止まっているような姿にエルシィは人間でない何モノかなんだと、ようやく実感し始めてた。

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