第24話 白龍のお試し(ランス視点)
「気持ち悪くなんてありません!ランス様はむしろ私になんて勿体ないくらい素敵です。かっこいいし優しいしお強いですし」
捲し立てるようにそう言ってから顔を真っ赤にするセシルを見て、俺はどうにかなってしまいそうだった。
こんなに可愛らしいのに聖女としての覚悟を決めることのできるほど意志の強い女性が、パートナーとなってしかも俺に好意的でいてくれる。
本当はその場で抱き締めてしまいたかった。ユーズ団長やベル様、ミゼルやユインがいなかったら確実に抱き締めていただろう。そのままの勢いでキスもしてしまったかもしれない。あぁ、そうであればむしろユーズ団長達がいてくれて良かったと思うべきなのか。
ミゼルがセシルの肩を抱いている所を見たときには本当に腸が煮えくり返りそうだった。現時点でミゼルは性別を持たないけれど、それでもセシルには触れて欲しくない。
そんな風に思ってしまうことを騎士としては良くないと思っていたけれど、ベル様の肩を抱くユインへユーズ団長が抗議している様子を見てそれでいいんだと思えた。
ユーズ団長のベル様への執着もなかなかのものだと思う。ベル様から離れるようにとユインへは明るい口調で言っていたけれど、すぐにベル様とユインの間に割って入るあたりユーズ団長も気が気でなかったのだろう。
そしてそんなユーズ団長をユインは嫌がるどころか楽しそうに見ている。
ユーズ様はユイン達ににわざとだろうと言っていたけれど、本当にわざとやっているのではないかと思えてくる。
もしかして白龍は騎士のことを試しているのだろうか。騎士だけではなく、聖女のことも試しているのかもしれない。騎士と聖女の絆がどれほどのものなのか。
そんなことを考えていたら、ミゼルがクスリと笑った。
「君の考えはあながち間違っていないよ。まぁすべての白龍がそうだとは限らないけどね」
ミゼルにはこちらの思いはお見通しだ。
「さて、日も暮れてきたことだし、そろそろ帰ろうか」
ミゼルがそう言うとベル様が残念そうにセシルの両手を掴んだ。
「あっという間だったわね。またいつでも遊びに来て」
「はい!ありがとうございます」
ベル様とセシルはすっかり仲良くなったみたいだ。
「ランス、数日後に白龍使いの騎士全員を召集して会議を開く。それまではセシルとゆっくり過ごしてくれ」
ユーズ団長の言葉に思わず身が引き締まる。会議ということは恐らく瘴気の件だろう。
「またね、ミゼル」
「あぁ、別にユインに会うつもりはなかったけど会えたら会えたで楽しかったよ」
ミゼルとユインはそれぞれ腕を組みながらふふん、と目線を合わせる。この白龍達の関係性もなかなかよくわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます