出立の時
とりあえず父に出立の挨拶をし、僕とテール、そして僕の護衛兵の1人としてゲインが付いてくれる事になった。
「だけどゲインは確か屋敷の警護担当じゃなかったっけ、どうして今日は僕の護衛に?」
「ガリアス様のご命令でしてね、今日はニック様の初陣なので私が付いてくれるのが安心だと」
「ニック様、ゲインはガリアス様がお若い頃に直接警護兵へとお誘いしたのですよ」
「村では力自慢ではありましたが、まさか自分が領主様の屋敷をお守りする事になるとは、ですが今日は何よりもニック様をお守りいたします」
あまり詳しくはなかったがゲインは父に誘われて兵になったのか、僕らの戦闘はないかもしれないが万が一の為にゲインのような頼れるベテラン兵を僕に付けたんだな。
「それじゃあ、そろそろ参りましょうか」
「ああ」
「お、参りますか、それじゃあ掛け声はこのゲインにお任せを、クッキ領主ガリアス・テリナン様ご嫡男、ニック・テリナン様のご出立だ!皆々鬨の声を上げよ!」
「エイエイ!オーーーー!」
鬨の声が響き、僕達はオリビアとコールがガニアン卿の魔物討伐をしている土地へと向かっていた。
テール以前にも教育係から習っていたけど、テールから改めて聞いたこのクッキ領についてだけど、スゴー王国という大国があり、その王国に仕える公爵家のテリナン家が代々治めている土地なんだ。
公爵家は王国に仕える臣下でも身分が高く、大国にとっても重要な土地である為クッキ領を任せているんだ。
クッキ領の人事権は基本的に父に任されており、テールの父であるオリビン卿やオリビア達の父であるガニアン卿は父の代から仕えはじめたと聞いた。
彼らは父より騎士の称号を与えられた事で臣下として働いているのだ、今は亡くなっているが僕の祖父の代から仕えている臣下もいたが継承が上手くいかずにお家が取りつぶされてしまった事もあり、父の支えになっているのはオリビン卿やガニアン卿のようだ。
広大な土地を管理するのが大変なのもあるが一部を彼らに任せているあたり、相当の信頼感がありそうだな。
僕も父に与えられてばかりではなく、自らスカウトする必要があるのかな?その疑問をテールにぶつけてみた。
「テール、ちょっといいかな?」
「なんでございましょうか?」
「オリビン卿やガニアン卿、それからゲインは父自らが取り立てたけど、やっぱり僕もこれはという人材は自ら取り立てないとダメだよね」
「いずれはその必要があると思いますが、失礼を承知で申し上げれば今のニック様で人材を見極めるのは少々難しいので経験を積むことが肝要かと」
経験か、まあそうだよな。
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