なよ風

鴻雀子

なよ風

なよ風は躑躅の花を裂くまいと

なまくらの刃にひたひたと桃の汁

透明の透明を満つ氷水

木犀や一粒降って止んだ雨

三鷹より電車近づき冬浅き

咳抑へて葱沈むまで茹でゐたり

春愁の靴紐解くほどけるまで

白梅や涙のやうな傘を閉づ

青芝にペットボトルが捨ててある




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