5永遠はレントより遅く

[晴れ渡った冬の日の朝、ヘレーネは光とともに消えていった]


      詩人

どこにいった!? ヘレーネよ、我が最愛の人よ!


[詩人は自分の部屋中を探し回るが、ヘレーネは見つからない]


      詩人

何故なのだ。世界が終わるのはもう、止められないのか……。


7日目は安息の日

今日は8日でレムニスケート

永遠の始まりは、9という死で

安らかな幕引きとなる


      詩人

そうか、もう終わるのだな。


眠らずに

越えた幾夜を思っては

流れた涙も

凍ってしまえ


      詩人

象牙の塔に籠もってから、もう何年か……。世界の終焉を止めるために学んできたというのに、結果として他でもない私が世界を終わらせてしまうなんてな。


始まりの終わりがやって来る

目覚めよ、全ての霊魂よ

世界霊魂はこの日のために

イデアの海を愛で満たした


時流が強く断絶し

疚しさ引きずるメモリアを

今解き放て、再来の時

晴れた天球、全能の空


      詩人

私は永遠を知った。『時流などない』と、私は机上の最後のノートにそう記して閉じた。恐らく、私の世界が眩んでも、否応なしに世界は続く。続いた世界にこの言葉、標となって灯してくれよ。

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