1Last supper

      詩人

最後の晩餐はどうしようか。もう迷いはない。明日の日に、エデンの東、遠くへと、全ての命が帰るから。止めるのは愚かだと、連綿と紡がれた歴史が告げるのだ。


仏の手と神の手を

千切って入れたこの鍋を

悪は見えない、心の根

全ての道に薔薇が咲く


今宵、世界終焉前夜

祝福されたこのイブに

フィニスの刻限は放たれる

色即是空も空即是色も


Pattern of the eden

収束するは永遠に

青空晴れて、生きたかった

でも、もう病める心はね


できた料理に華の色

味のしないこの舌でも

想像が愛を運んだ

創造が味を生んだ


腹が膨れて安堵した

きっとこれが最後の晩餐

デザイア・ブレイク

もう食べない


      詩人

だから、私は食べることをやめたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る