第18話 テンシ Anĝelo



 墓所ぼしょらすものとらえてみれば、天使てんしであった。


 天上てんじょうよりちてきてきるにこまったすえ、かれはこのような行為こういにおよんだのだ。


 天使はつばをとばして不満ふまんべる。このていどの不正ふせいまうものみながやっていることではないか、と。


 さよう、そして彼のような薄汚うすよごれたよわ立場たちばの者をはずかしめたてることも、みながやっていることである。地上の人間にんげんにとってはなによりのたのしみと言ってよい。

 われわれ人間が笑顔えがおになるのはよろこばしいことなので、神はしばしば天使たちを地上に落としてくださる。


 ころころ、ころころと、毎日まいにちあちらこちらで天使がころがり落ちるおとがする。


 ほこりをいとられたあとの天使たちは、立派りっぱに地上の者のかおをして、次々つぎつぎに落ちてくる天使をとらえ、責めたててはたのしむのである。




 Fino



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