第6話 オープン戦

福岡タイタンズの新シーズンが始まる前に、オープン戦が行われることになった。このオープン戦は、選手たちが実戦形式で自分の調子を確認し、ファンたちが新戦力を応援する重要な機会だ。恭子ももちろん、タイタンズの応援に駆けつける。


恭子は友人たちと共に、居酒屋「タイタンズ庵」でオープン戦の話題で盛り上がっていた。


「オープン戦が楽しみだわ。新しく加入した煌斗陽太選手のプレーを早く見たい!」奈々が興奮して言った。


「そうね、彼がどんな投球をするのか、とても楽しみだわ。」恭子も同意した。


店主の大石も会話に加わった。「陽太選手はとても優秀なピッチャーだと聞いています。これでうちのタイタンズも優勝間違いなしだ!」


「大石さん、その言葉、頼もしいわ。」恭子は笑いながら言った。


オープン戦の日、恭子と友人たちは早めにスタジアムに到着した。スタジアムは多くのファンで賑わっており、新しいシーズンへの期待が高まっていた。


「みんな、準備はいい?今日は全力で応援するわよ!」恭子は新しい応援グッズを手に、友人たちに呼びかけた。


試合が始まり、タイタンズの選手たちは緊張しながらも真剣な表情でプレーに臨んでいた。片桐輝羅はキャプテンとしてチームを引っ張り、煌斗陽太も初めてのオープン戦に挑んだ。


「頑張れ、タイタンズ!陽太、ナイスピッチング!」スタンドからは大きな声援が飛び交った。


試合は接戦となり、9回に突入した時点でスコアは3-2で東京サンダースがリードしていた。福岡タイタンズは逆転のチャンスを迎えていた。


タイタンズの守備がフィールドに広がる中、サンダースのバッターがバッターボックスに立った。抑えの平野がマウンドに上がり、最後の守りを固めるために集中していた。


最初のバッターはサンダースの4番打者、強打のスミスだった。平野は慎重に投球し、カウントを稼いだ。スミスがバットを振るも、ボールは力強くミットに収まった。ファウルが続いた後、平野は変化球でスミスを三振に仕留めた。


次のバッターも平野の投球に苦しみ、内野ゴロでアウトとなった。平野は冷静に、確実にアウトを重ねていった。最後のバッターもフライを打ち上げ、センターがしっかりキャッチして3アウト。タイタンズはサンダースの追加点を防いだ。


タイタンズのベンチは緊張と期待に包まれていた。逆転のチャンスを迎えたこの局面、先頭打者の煌斗陽太がバッターボックスに立った。スタンドからは「陽太、頑張れ!」という大きな声援が飛び交った。


煌斗は初球を見送り、次の球を鋭く打ち返した。ボールはセンター前に落ち、煌斗はヒットを放った。次の打者は新人の田中陽太。彼は緊張しながらもバッターボックスに立った。


「陽太、ここで一発見せて!」恭子は声を張り上げた。


田中陽太は集中し、2球目を捉えて右中間に強烈なライナーを放った。煌斗は一気に三塁まで進み、田中陽太も二塁ベースに立った。


続くバッターもヒットを放ち、煌斗がホームイン。スタンドは歓声で沸き上がり、スコアは3-3の同点となった。


次の打者がバッターボックスに立ち、満塁のチャンスを迎えた。タイタンズの勝利が目前に迫る中、スタジアム全体が息を呑んで見守った。


代打の野上が打席に立ち、緊張感が高まる。サンダース山崎の一球目が投じられると、野上は冷静に見送った。次の球、野上は狙いを定めてバットを振り抜いた。ボールは高く上がり、スタンドを超えてホームランとなった。逆転のサヨナラホームランに、スタジアムは歓喜の渦に包まれた。選手たちはホームベースに駆け寄り、野上を迎えた。


オープン戦を終え、新たなシーズンに向けてタイタンズは万全の準備を整えた。ファンと選手たちの絆も一層強まり、シーズン開幕への期待が高まる。


「これからも全力で応援するからね、タイタンズ!」恭子は新たな決意を胸に、次の試合に向けての準備を進めるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る