第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト俳句の部【一句部門】

知良うらら

鍋ひしゃげ ダリの時計になりにける


  鍋ひしゃげ ダリの時計になりにける



 キャンプ場での焚火めしラーメンの話。


 私のキャンプ用の愛用の鍋は、取っ手の取れた古~い雪平鍋で、そもそもキャンプ道具用のものではないので、長年使っていると外が真っ黒焦げになり、形も完全に変わって輪郭がぐんにゃりと曲がってしまっています。まるでダリという画家が描いた時計の絵みたいに。


 そもそも最初はそんなにキャンプにはまるとは思っていなかったので、壊れてもいい適当な鍋としてこれを使っていただけなんですけど、こうなってくるともはや味わい深いというか、外で食べるラーメンはやっぱこの鍋じゃないとな、とすら思って愛着を感じている次第です。


 キャンプと言うのは非日常、どうでもいい事を時間を忘れて楽しむこと。いつもの時計でなく、ダリの時計の時間の流れで楽しめば良いのでしょうね。

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